(C)Kristina Sigunsdotter
2016年12月7日、スウェーデン第3の都市であるマルメ(Malmö)の住人たちは、とある違和感に気が付きました。昨日までは無かったお店が、突然街中に現れたのです。しかもそれは人間のための店舗ではなく、ネズミのためのお店! そのかわいらしいミニ・ショップの噂は、スウェーデンのみならず世界中にあっという間に広がりました。
物語の世界に迷い込んだような、ねずみのミニ・ショップ
(C)AnonyMouse
こちらが、そのねずみのお店の様子。左側がナッツのお店「Noix de Vie」(ナッツ・ライフのフランス語)で、右側が「Il Topolino」という店名のイタリアン・レストランです。ちなみに「Il Topolino」はミッキーマウスのイタリア名なのだとか。
ショーウィンドウの中も丁寧に作られていて、産地別のナッツがディスプレイされています。
(C)AnonyMouse
レストランのテラス席も凝っていますね。そして中には、見覚えのある顔が。
(C)AnonyMouse
踏みつぶされないか心配になってしまう小ささです。
(C)AnonyMouse
雨に濡れても、絵になりますね! そしてもちろん、横に貼られているポスターや配電箱もねずみサイズです。
では一体、誰がこんなに凝ったねずみの世界を生み出したのでしょうか?
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謎の匿名アーティスト「AnonyMouse」
実は、このかわいらしいミニチュア・ショップとレストランを創り出したのは、とある匿名アーティスト。「AnonyMouse」(アノニマウス)と名乗るこのアーティストは、名前も性別も、個人なのかグループなのかも全て謎。ちなみに「AnonyMouse」は、「匿名」を意味する英単語「anonymous」とねすみの「mouse」をひっかけた通称のようです。
(C)AnonyMouse
レストランの横にも、アノニマウスの顔マークが描かれています。
このねずみの世界は、様々なスクラップで構成されています。ボトルキャップ、ワイヤー、マッチ、空き缶などなど、いかにもねずみが利用しそうなものばかり!
(C)AnonyMouse
アノニマウスによると、このねずみの世界を創り出そうと思いついたのは、2016年3月だったそう。幼い頃に読んだ(「長くつ下のピッピ」などの作者であるスウェーデン出身作家の)アストリッド・リンドグレンの作品や、ディズニー映画に見られるような「動物が独自の生活を作り上げている」世界をイメージしたのだとか。
では、そんなアノニマスはいったいどんなアーティストなのでしょう?
合言葉は「Cheese out! 」、フレンドリーなアノニマウス
(C)AnonyMouse
前述のように、アノニマウスは匿名アーティストで、一切その素性を明らかにしていません。けれど、筆者がこの記事を書くためにメールで問い合わせをすると、すぐに親切で丁寧な返信がありました。コンタクトをする前に抱いていた「怖い人かもしれない」というイメージとは全く逆のフレンドリーさでした。
アノニマスのInstagramでもメールでも最後の締めの言葉は「Cheese out!」(チーズ・アウト!)だったので、これはねずみの世界の「さようなら」のあいさつのようです。作品ばかりでなく、あいさつまでかわいいですね!
アノニマスによると、既に次回作に取り掛かっているようですが、当面は今回と同様にスウェーデンのマルメを中心に活動していくそうです。世界進出が待ち遠しいです!
次はどんな世界観を見せてくれるのか、その活動から目が離せません。
Cheese out!
[Anonymouse Are Opening Tiny Shops For Mice In Sweden]
[Instagram/AnonyMouse]
[A photo by Shutterstock.com]