その人の育った環境や暮らしぶりが垣間見える、身だしなみやライフスタイル。外見は着飾ることができても、相当意識しない限り隠しきれないのが、話し方や言葉遣いではないでしょうか?
階級意識が根強く残るイギリスでは、話し手のアクセントや言葉遣いから、その人のバックグラウンドを容易に知ることができます。文章でアクセントを説明するのはかなり難しいので、今回は言葉遣いにフォーカス。イギリス王室(ロイヤルファミリー)を頂点とする上流階級の人々が、決して使わない英単語をピックアップしてみます。どれも「え、そうなの!?」と思ってしまうものばかり!
トイレット/Toilet
「ジェンツ」「レイディース」「バスルーム」など、イギリスを始め英語圏ではさまざまな呼び方をされるトイレ。「トイレット」もそのひとつですが、上流階級の人たちは決して口にしません。ロイヤルファミリーが用を足すのは、トイレットではなく「ルー(loo)」あるいは「ラバトリー(lavatory)」です。
パードン/Pardon
すみませんという意味の「パードン」。イギリス文化に興味を持っている人はよく耳にする言葉だと思いますし、筆者も礼儀正しい印象を持っていたのですが・・・。なんとこのパードン、上流階級の人にとってはものすごく失礼にあたる言葉なのだとか! 「ソーリー」あるいは「ソーリー、ワット?(Sorry, what?)」というのが適切です。
【パードン&トイレット小話】英キャサリン妃の母キャロル・ミドルトンが、エリザベス女王との会話で下流階級が使用する「パードン」と「トイレット」を使ってしまった・・・という一件が、オンライン版のBBCニュースで報道されたことも。
次はなんと、イギリスとは切っても切れないと思っていたあの言葉!
ティー/Tea
イギリスと切っても切れない紅茶文化。ここでの「ティー」はいわゆる「紅茶」という意味ではなく、夕方の時間帯にいただく「ティー(ハイティー)」のことです。英国貴族の間で広まった、フィンガーサンドイッチやスコーンなどで構成される午後の時間帯のアフタヌーンティーとは異なり、ハイティーは肉料理やミートパイなど労働者階級の人たちの夕食。なので、上流階級の人たちはアフタヌーンティーを楽しむことはあっても、ハイティーの習慣はないのです。
同じ英語圏でも、混同されがちな「ティー」。アメリカやオーストラリア、英語を公用語とするシンガポールなどでは、アフタヌーンティーを「ハイティー」と呼ぶこともあるので、お気をつけください。
スイート/Sweet
食後に食べる甘いもの、上流階級の人たちは何と呼ぶのでしょう? 答えは「プディング/pudding」。クリスマスに欠かせないイギリスの伝統的なケーキも「クリスマス・プディング」ですが、単体でプディングというと、食後のデザートを指します。
一方、日本語でもかなり浸透しているケーキやデザートという意味でのスイーツ(スイート)は、中流階級以下の人たちが好んで使う単語だとか。ちなみに「スイート」は、もともとアメやグミなどを意味するイギリス英語(※アメリカ英語の「キャンディー」と同じ扱い)です。
さて、英語圏であれば確実に通じる「デザート」。こちらは上流階級の人たちの間では、プディングを食べ終わった後にナイフとフォークで恭しくいただく、フルーツの盛り合わせといった意味合いがあるようです。
いかがでしたか? 周囲にイギリス人の知り合いがいる方は、今回ご紹介した内容をぜひ話してみてください。きっと、みんな食いついてくるトピックだと思いますよ。
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