
フランスでバカロレアと呼ばれる大学など高等教育機関に入学するための国家試験が6月20日に終わり、結果が発表されました。
このバカロレアで毎年話題になるのが、哲学の試験。フランスは他の西洋の国と比べても、哲学の授業に重点を置いている国なのです。実際、バカロレアの試験も哲学からスタートします。
フランスでは高校で哲学を学ぶ

多くの哲学者を輩出したフランスでは伝統的に哲学を学ぶことを重要視しています。理系文系問わず、高校では哲学の授業は受けなければならず、バカロレアでも哲学の試験は必須となっています。
こんなにも難しいフランスの哲学の試験

バカロレアの試験は、高校生がこんな問題を解くのかとびっくりするほど、難しいものです。それでは、2018年の文系の哲学の試験の問題例を見てみましょう。
-La culture nous rend-elle plus humains ?
(文化は我々をより人間的にするか?)
-Peut-on renoncer à la vérité ?
(真実を放棄することは可能なのか?)
-Explication de texte : SCHOPENHAUER, Le monde comme volonté et comme représentation, 1818.
(アルトゥル・ショーペンハウアー『意志と表象としての世界』の抜粋テキストを解説しなさい。)
フランスのバカロレアでは、この中の1問を選び、論述しなければならないのです。哲学の試験は4時間かけて行われます。
筆者はこの問題を見て、正直どのような解答をすればいいのかと思いました。高校生がこんな問題を解くことができるなんて、すごい!教育の違いを感じさせられます。
バカロレアの哲学の試験はフランス人でも難しい

バカロレアの哲学の試験は、高得点を取るのが難しい科目と言われています。哲学の問題を解くには、ある程度、知的に成熟してなければならないのだそう。そうでなければ、それなりの解答を書くことはできないのです。

フランスの教育で大切なことは、批判精神と分析だといます。その集大成が、哲学なのだそうです。フランス人は仕事場でもプライベートでも議論を戦わせることが好きなように思います。そして臆することなく堂々と自分の意見を述べます。それは、哲学の思考の土台がしっかりとあるからなのでしょう。哲学の授業のあり方からフランス人の気質を知ることができるように思います。
フランスの文化がちょっと気になった人は、過去記事『フランス人は日曜日、街に遊びに行かない〜フランスと日本の週末の違い〜』『フランス人は日本人の2.5倍映画を観る〜日本とフランス、映画鑑賞の違い〜』もぜひ。
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Nanako Kitagawa ライター
2007年よりフランス在住。パリ第八大学大学院を卒業。専攻は文化コミュニケーション。趣味は映画、読書、写真、雑貨、料理、街歩き、カフェ巡り。初めて訪れたその日からすっかりパリの街に魅了され、今日も旅をするようにパリの街を歩き回る。
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