「KLMオランダ航空」をご存知ですか? その名の通りオランダの航空会社で、現地語では「Koninklijke Luchtvaart Maatschappij」、英語なら「KLM Royal Dutch Airlines」と表記します。実はこの航空会社、名前に王室を表す「ロイヤル」が付くだけあり、1919年にオランダ王室の援助を得て創設されました。けれどそれ以外にも、現在の王室とも深いかかわりがあるのです。本国オランダ人も驚いた、その王室とのかかわりをご紹介いたします。
現国王が20年以上も副操縦士をしていた!
オランダの現在の国王は、ウィレム=アレクサンダー王51歳。2013年に、母ベアトリクス女王が生前退位されたことを受けて、長子であるウィレム=アレクサンダー王が即位されました。それ以降、マキシマ王妃と共に公務に励む日々を過ごされています。
そんなウィレム=アレクサンダー王がオランダ国民の度肝を抜く告白をしたのは、50歳を迎える2017年4月の誕生日頃に受けたインタビューの際。なんと王は、KLMの副操縦士として(当時)21年間も勤務していたというのです!乗務するのは月2回、近距離フライトが中心だったとか。本人いわく、あくまでもこの副操縦士としての活動は「趣味」で、本業である王としての執務に影響しない範囲で行っていたようです。
(画像はイメージです)
当然ですが、パイロットの制服を着て勤務し、機内放送を担当することもあるそう。けれど「全スタッフを代表して話していたので、名前は名乗っていなかった」「私の声で気が付く人もいたようだけれど、ほとんどの人は機内放送なんて聞いていない」とのこと。
普通の人は、なかなか「王様が飛行機の操縦席にいる」なんて想像もできませんよね!そしてこの国王の告白に合わせ、KLMのほうでも、ウィレム=アレクサンダー王がコックピットに座る画像などをSNS上で公開しました。
ボーイング737機で再デビュー!
けれどその王様の告白の当時、彼の副操縦士としてのキャリアも変化の時期を迎えていたのです。実は王が操縦に携わっていた「Fokker70」という機体が、段階的に廃止されることになったのだとか。そのため、後継機であるボーイング737機の操縦訓練を始めるとインタビューで答えていたのです。訓練の内容は、シミュレーションや教科書による理論などの座学も含むのだそう。
そういった免許事情もあり、しばらくは商業フライトへの搭乗を休まれていたウィレム=アレクサンダー王。けれど無事にボーイング737機の訓練を修了できたようで、先日久々に王の搭乗情報がオランダのメディアを賑わせました。11月下旬の週末、アムステルダムのスキポール空港からトルコのイスタンブールまでの2時間50分のフライトで、無事に副操縦士としての任務を果たされたのだそう。
131人の乗客の大半は王の存在に気が付かなかったようですが、前方の席の数名は気が付いたそうです。乗客の一人が王のボディーガード(やはり同乗しているのですね)に「写真を一緒に撮って下さいませんか?」と手紙を渡すと、王は「飛行機の中では王ではなく、副操縦士としてありたい」という趣旨の丁寧なお断りの返事を下さったのだそう。
そして無事に飛行機が目的地に到着したのちに、全ての乗客に対して王の存在をアナウンスしたのだとか。みな一様に驚き、そして光栄に感じたのだそう。王様の操縦する飛行機に乗るなんて、一生に何度もある経験ではありませんからね!この日の乗客は、非常にラッキーでしたね。
残念ながら、ウィレム=アレクサンダー王の搭乗情報は事前には明らかにされていません。けれど、アムステルダム発着の欧州近郊フライトに乗れば、いつかは王が副操縦士を務めるフライトに巡り合わせるかもしれませんよ。これからKLMに乗る方は、他の航空会社にはないワクワクを体験できるのではないでしょうか。
王のトリビアとしては、過去記事『【連載】海外の嘘のような本当の話/第3回「王様と自動車整備工、二足のわらじを履く部族王」』も興味深いですよ!
[All photos by Shutterstock.com]
[Koning en piloot: ik vind vliegen gewoon fantastisch]
[Royal flight: Dutch king flies Boeing 737 to Istanbul from Amsterdam]
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