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ロシア人の食べ物なの!?ボルガライスの由来とは
武生の街並み(蔵の辻) 写真提供:福井県観光連盟
福井県には武生(たけふ)という土地があります。越前市に属する自治体で、奈良時代には国府が置かれた歴史ある場所。その武生で生まれたB級グルメが、ボルガライスになります。
オムライスの上にカツをのせて、デミグラスソースなどをかけた洋食のため、歴史ある武生で受け継がれてきた郷土料理とは言えません。しかし、地元の限られた飲食店では食べられてきたメニュー。起源ははっきりとしていないものの、おそらく歴史はカツカレーと似ているのではないかと筆者は予想します。
カツカレー「元祖」として知られる東京のお店に足を運んだ経験もありますが、カツカレーの生まれは、別々に食べると面倒なのでカツとカレーを一緒にしてほしいという顧客の要望がきっかけとなっているとか。
同じように地元の飲食店の常連が、トンカツをオムライスの上にのせてほしいとオーダーし、そのオーダーにお店の側が対応。実際に試してみるとその組み合わせがおいしかったため、定番メニューとして定着したのかもしれませんね。
市役所の職員がPRのための協会を立ち上げる
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その証拠に、ボルガライスのPRを行う日本ボルガラー協会の発足(2010年)以前は、地元の認知度も低く、扱うお店も5店舗ほどだったといいます。しかも、各店でオーダーされる数は、1日1食程度。特に地元の人に受け継がれてきた郷土料理というイメージでは、全くなかったのですね。
しかし、ボルガライスは現在、武生を飛び越えて福井県を代表するB級グルメのような扱いを受けています。その陰には、越前市の職員によって自主的に結成された、先述の日本ボルガラー協会の存在があります。福井県民の宣伝下手を指摘する日本経済新聞社の記事に奮起した地元の市職員による手弁当の組織で、
「学校給食にボルガライスを」
を目標に、予算のかからない範囲でボルガライスを盛り上げる活動をスタートしたのですね。
JALの機内食にもなったB級グルメ
写真提供:福井県観光連盟
活動内容としては、自分たちでオリジナルの宣伝動画を作りYouTubeにアップしたり、ホームページを無料ツールで作成したり、SNSを使って食べ歩きの情報を発信したりと、地道な作業の数々になります。
家族、親族などを説得して1口1,000円の協力金を募り、ゆかりのある有名人にポスター制作も依頼しました。その上でボルガライスには関係のない美容院や神社仏閣など、町中の目立つところに協力をお願いして張り始めると、露出が増え、地元メディアの関心も集まり始めます。
地元紙や地元局のメディアだけでなく、地方に支局を置く全国紙などもボルガライスを取り上げるようになると、ボルガライスを面白がって自主的に拡散を始めるファンたちも増えてきました。関心の高まりとともに、提供するお店も増え始め、いよいよブームは加速します。
そのうち、当時のサークルKサンクスなどコンビニエンスストアからボルガライスの弁当が発売されます。JAL(日本航空)の国際線でも 機内食としてボルガライスが登場しました。
さらに協会発足の夢である学校給食にも、カロリーを抑えたボルガライスが出されます。地元の伝統工芸である越前焼の窯元から、専用の皿が無償で作られた出来事もありました。結果として、ボルガライスは「郷土料理」に育っていったのですね。
ボルガライスの名店は?
写真提供:福井県観光連盟
ボルガライスが地元の学校の給食に出るまでの期間は、協会が発足してわずか2年です。その後も、山崎製パンの『ランチパック』が北陸・東海のスーパーなどで限定販売されるなど、順調な広がりを見せています。
それぞれのお店の大胆なアレンジは、ボルガライスの鍋や押しずし、ホットドッグを生み出しましたし、一方の「老舗」と呼ばれる名店も定まってきています。
「カフェド伊万里 」「ヨコガワ分店 」などはその代表例。福井県旅行の際には、ぜひとも武生まで出かけてボルガライスを口にしてみてください。
もしも福井県までなかなか行けないという人は、自宅でオムライスとトンカツを作り、自前のボルガライスを作ってみてもいいかも。手間がかかり、調理のタイミングもむずかしいと実感として伝わってくるはずですよ。
[参考]
「B級ご当地グルメ」その現状と今後の課題 – 牛田泰正 ご当地グルメ「ボルガライス」をランチパックに 福井 – 毎日新聞 ボルガライス、越前焼の専用皿でおいしく – 日本経済新聞 武生に来たらボルガライス~やりたいことをやりたいときに~ – 日本ボルガラー協会ボルガチョフ 『福井「地理・地名・地図」の謎』実業之日本社
菅原佳己著『日本全国ご当地スーパー隠れた絶品、見~つけた!』講談社
Masayoshi Sakamoto 翻訳家/ライター
翻訳家・ライター・編集者。東京生まれ埼玉育ち。成城大学文芸学部芸術学科卒。現在は、家族と富山に在住。小学館〈HugKum〉など、在京の出版社および新聞社の媒体、ならびに〈PATEK PHILIPPE INTERNATIONAL MAGAZINE〉など海外の媒体に日本語と英語で寄稿する。 訳書に〈クールジャパン一般常識〉、著書(TABIZINEライターとの共著)に〈いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日〉など。北陸3県のWebマガジン〈HOKUROKU〉(
https://hokuroku.media/ )創刊編集長。その他、企業や教育機関の広報誌編集長も務める。文筆・編集に関する受賞歴も多数。
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