冬の秘湯は最高のパワースポット(12)名湯・鳴子温泉で湯めぐり三昧<宮城県>

Posted by: 阿部 真人

掲載日: Jan 22nd, 2021

首都圏から交通の便が良い冬の秘湯を探してみました。山梨や信州、那須や福島もいいのですが、良質のお湯と歴史、風情のある温泉街でおすすめなのが宮城県の鳴子温泉。多彩な泉質で、駅の周辺に旅館や温泉施設がたくさんあります。鳴子温泉で湯めぐりを楽しみました。

男湯露天
(C)鳴子観光ホテル

東北の名湯・鳴子温泉へのアクセス

車窓の虹
(C)Masato Abe

冬場の東北は晴れたと思ったら雨が急に降り出したり、またその逆だったりと、忙しく天気が変わります。そのおかげで美しい虹を新幹線の車窓から見ることができました。東京駅から東北新幹線に乗り2時間弱で古川駅。鳴子温泉駅へは古川駅で陸羽東線に乗り換えます。

ふたたび車窓の虹
(C)Masato Abe

古川から鳴子温泉までは陸羽東線で45分ほど。その間、ふたたび別の美しい虹がかかっているではありませんか!2回も続けて見えるとは、何かいいことがありそう。

滝の湯
(C)Masato Abe

そして鳴子温泉駅到着。駅にも足湯がありますよ。上の写真は共同浴場・滝の湯。鳴子温泉は古くから秋保温泉・飯坂温泉とともに奥州三名湯に数えられる名湯なのです。承和4年(837)年、鳥谷ヶ森(鳴子火山)の大爆発で熱湯が噴出し開湯したと伝えられています。

歴史を遡れば、源義経が兄・頼朝に追われて平泉へ落ちのびる途中に鳴子を訪れているといいます。また松尾芭蕉も「奥の細道」で鳴子を通って山形へ峠越えをしたそうです。

温泉神社
(C)Masato Abe

滝の湯の脇の階段を上ると鳴子温泉神社があります。神社に建つ「啼子之碑」には、「鳴子」の名前の由来が記されていました。

源義経が頼朝に追われて平泉に逃れる際、峠にさしかかったところで義経の正室・北の方が赤ん坊を出産します。ところが、なかなか産声を上げず温泉に浸かってようやく産声を上げたことから「啼子(泣き子)」という名が付き、やがて「鳴子」になったともいわれるそうです。

創業400年、歴史のある鳴子観光ホテル

雪の温泉街
(C)Masato Abe

今回お邪魔したのは鳴子観光ホテル。駅から歩いて5分もかかりません。ですが上り坂なのです。送迎バスもありますから宿泊するときに確認してください。

創業はいまから400年前の1620年といいます。お湯の名は「源蔵湯」。現在のご主人はなんと18代目だそうで、初代にあやかって代々当主は「源蔵」と名乗るのだそうです。

由来書
(C)Masato Abe

宿の由来がロビーに掲げられていました。そうそう、鳴子といえばもうひとつ、こけし人形があります。江戸時代から続く、ろくろを使って挽いた人形玩具です。鳴子こけしの特徴は、首が回り、回すとキュ、キュと音がするのだそうです。

ロビー
(C)Masato Abe

寒い冬場は木造の宿ですと、すきま風が入り込みますが、鉄筋コンクリートの建物なら、ぬくぬくとしていられますね。雪を眺めながらロビーでゆったりとくつろぐこともできます。

ウェルカムドリンク
(C)Masato Abe

ロビーにはチェックインしたお客さんへのウェルカムドリンクの無料サービスがあり、コーヒーやオレンジジュースなどはもちろんですが、タピオカドリンクもありましたよ。

和室
鳴子ロング
(C)Masato Abe

今夜は6階の純和室。窓からは鳴子の町が一望できます。外は冷え込んできたようで、少し雪が舞い始めました。このあと雪が積もりそうな気配でした。東北に来たんだナと実感します。

湯けむりもうもう 美肌の湯

浴室前のつるし雛
(C)Masato Abe

そして待望の温泉です。浴室の入り口は階段を上っていく形で、途中つるし雛も飾られ、期待感が高まりますね。

昔の品々
(C)Masato Abe

また浴場入り口には、「源蔵湯」時代の古い写真や、屋号が記された化粧まわし(でしょうか)など宿の歴史を感じさせる展示が掲げられていました。

皇太子時代の天皇陛下
(C)Masato Abe

実は天皇陛下も皇太子時代の1994年、冬季国体で鳴子を訪れた際、鳴子観光ホテルに宿泊しているのだそうです。上がそのときの写真。

成分分析表
(C)Masato Abe

泉質は、含硫黄-ナトリウム-硫酸塩・炭酸水素塩泉、低張性中性高温泉(旧泉質名含芒硝重曹-硫黄泉)。pHは7.2で中性のお湯で、少し白濁し硫黄(硫化水素)の匂いが漂っています。肌への刺激もなく、いいお湯です。

女性浴室
(C)鳴子観光ホテル

ナトリウムや塩化物、硫酸、炭酸水素など、さまざまな成分が含まれていますが、最も注目すべきはメタケイ酸が多いこと。温泉1kg中に100mg以上含まれていれば美肌効果が高いといわれますが、鳴子のお湯には274.8mgものメタケイ酸が含まれていました。まさに美人の湯ですね。

女性露天
(C)鳴子観光ホテル

女性の浴室も露天風呂も広々としているそうです。義経の側室・静御前にあやかって「静香の湯」と名付けられています。

男性浴室
男性露天
(C)鳴子観光ホテル

屋号「源蔵の湯」にあやかった男性用の浴室は、御影石造りの大きなお風呂で、実際には、浴室は湯気がもうもうとたちこめて気持ちのよいお湯です。また露天風呂はヒノキ造りの湯舟なんです。

貸切風呂
(C)Masato Abe

さらに貸切りのお風呂が3つ。こちらは有料になりますが、早朝割引もあるようですね。ちなみに、鳴子観光ホテルの日帰り入浴は大人1,100円です。

食事処
(C)Masato Abe

そして夕食は食事処「蔵饗人(くらうど)」でいただきます。間接照明の落ち着いた空間。ごちそうさまでした。

やっぱり冬は雪の秘湯。温泉と食事で体も心も温まるのがイチバンですね。

夕食
(C)Masato Abe

鳴子温泉 鳴子観光ホテル
住所: 宮城県大崎市鳴子温泉字湯元41
電話:0229-83-2333
HP:http://www.narukokankouhotel.co.jp/spa/

多彩な泉質が楽しめる鳴子温泉の湯めぐり

さて、鳴子温泉は日本にある11種の泉質のうち9種類がある、とても貴重な温泉地だといいます。宿の近くにも共同浴場の滝の湯をはじめ、日帰りで入浴できる施設や旅館、ホテルがたくさんあります。

滝の湯
(C)Masato Abe

上の写真は滝の湯。駅から7〜8分ほど坂道をまっすぐ上っていきます。鳴子温泉に宿泊すれば、無料サービス券で入浴することもできます。通常の入浴は200円。昔ながらの木造の建物が温泉気分を盛り上げてくれます。泉質は、含硫黄・ナトリウム・アルミニウム・カルシウム・鉄-硫酸塩泉。熱湯とぬる湯がありまして、ぜひ一度は体験してみてください。

鳴子温泉 滝の湯(共同浴場)
住所:宮城県大崎市鳴子温泉字湯元47-1
HP:https://www.city.osaki.miyagi.jp/index.cfm/24,1129,107,232,html

早稲田桟敷湯も日帰り入浴できる施設のひとつ。駅から5〜6分でしょうか。戦後まもなく早稲田大学理工学部の学生が実習で掘り当て、石山修武教授らが建てた施設だそうです。小さな入口の不思議な作りで、浴室は天井が高く広々としています。泉質はナトリウム-硫酸塩・塩化物泉、低張性中性高温泉の優しいお湯で、日帰り入浴は大人550円。

早稲田桟敷湯
(C)Masato Abe

早稲田桟敷湯
住所:宮城県大崎市鳴子温泉字新屋敷124-1
電話:0229-83-4751
HP:https://www.city.osaki.miyagi.jp/index.cfm/24,1130,107,232,html

旅館すがわらは源泉かけ流しと無料の貸切風呂が自慢の宿。駅から15分ほど歩きます。泉質はナトリウム-硫酸塩・塩化物泉で、メタケイ酸の成分が498.6mgと極めて高く、美肌の湯として知られています。また青みがかったお湯は、温泉通から「すがわらブルー」と呼ばれているとか。日帰り入浴もできます。水・木・金・日の10:00〜17:00で料金は500円です。

旅館すがわら
(C)Masato Abe

鳴子温泉 旅館すがわら
住所:宮城県大崎市鳴子温泉新屋敷5
電話:0229-83-2022
HP:http://www.ryokan-sugawara.com/index.html

旅館・姥の湯も体験していただきたい温泉です。というのも、4つの浴室それぞれが別々の源泉。ひとつの宿ですが、泉質の異なる源泉がなんと4つ(硫黄泉、アルカリ性単純泉、硫酸塩泉、含ぼう硝重曹泉)もあるのです。自炊棟もあるようですね。

しかも、こちらの姥の湯は義経の妻・北の方が出産の際、産湯に使ったお湯という伝説もあるんだとか。こちらも駅から6〜7分ほど。日帰り入浴は大人650円です。

姥の湯露天
(C)Masato Abe

鳴子温泉は1泊だけで済ませるにはもったいない温泉地です。せめて2泊して近所の旅館やホテル、日帰り入浴施設で多彩な泉質を味わってみてください。

旅館・姥の湯
住所:大崎市鳴子温泉河原湯65
電話:0229-83-2314
HP:http://ubanoyu.com/
PROFILE

阿部 真人

Masato Abe 還暦特派員

大学を卒業後、およそ30年間テレビ番組を作ってきました。57歳の時に、主夫となり、かつ自由人として旅に生きることを決意して早期定年退職。登山を始め、東京の街歩きガイドや温泉めぐり、豆大福探訪などなど60歳の還暦を迎えて好奇心が高まっています。

大学を卒業後、およそ30年間テレビ番組を作ってきました。57歳の時に、主夫となり、かつ自由人として旅に生きることを決意して早期定年退職。登山を始め、東京の街歩きガイドや温泉めぐり、豆大福探訪などなど60歳の還暦を迎えて好奇心が高まっています。

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