三軒茶屋の南口を出てぶらぶらと7分ほどで台湾に到着!
三軒茶屋は北口から出ても南口から出ても、世田谷通りや国道246号線、それに茶沢通りにも、一歩入った裏通りにもおいしいお店がたくさん集まっていて楽しい街です。
さて、南口を出てそのまま商店街をぶらぶらと歩くこと7分ほどのところに、今回の目当てのお店「帆帆魯肉飯」がありました。白く塗られた木材の外観に、パイナップルをかたどった飾りがぶらぶらと。これならすぐに見つかります。
入り口の脇には台湾の縁起物や郵便受け、台湾風の住所表示もあって雰囲気が盛り上がります。たぶんこのホウキも台湾のものですよね。
入ってみれば、手前にテーブルとカウンター席、一番奥にキッチンがあります。台湾の気軽な食堂風です。
オープンなキッチンには電鍋が2つ。その昔、日本の電機メーカーが台湾で販売しはじめたレトロな炊飯器です。台湾では今でも現地のメーカーが製造販売する、一家に一台はなくてはならない調理器具のひとつ。ごはんも炊けますが、ゆっくりと時間をかけて煮物を作ったり、水蒸気で蒸したりとその用途はマルチです。
縁起物は壁にも、それにカウンターにもぶら下がっていて、なんだかいいことありそうな気がしてきます。
水が入っているポットとカップもかなり台湾キッチュでイケてます。「飲水思源」とは、「水を飲むのであればその源のことを思いなさい」という中国の故事成句。
コンロの上にはおいしそうに出来上がった魯肉飯の具がふつふつと。これです。今日は、これをいただきます。
なにかと「ちょうどいい」魯肉飯です
こちらが「魯肉飯セット(並)」(900円・税抜)、魯肉飯(並サイズ)、滷蛋、週替わりスープ、漬物付きです。
これですよ、これ!並サイズはたっぷり大満足の量です。ほっかほかのご飯の上に、煮込んだ肉「魯肉」がたっぷり、煮汁はご飯にはちょうどいい汁加減で浸みてます。
「滷蛋」(ルーダン)は八角やシナモンと醤油にお砂糖少しで作った煮卵。大根のたくあん漬けときざみ高菜ものっかっています。たまごを割って黄身の部分をご飯に混ぜたり、高菜もプラスしてピリッとさせたりと、好きなように食べすすみます。
スープ「湯」は週替わりで、この週は干し海老とセロリでした。すっきりとしているのですが、海老からの海鮮出汁がばっちりで旨味たっぷりです。
さて魯肉飯の印象ですが、一言でいうなら「ちょうどいいおいしさ」です。肉の身の部分と脂の部分がいい感じでハーモニーを奏でて、食感も共に同じように柔らかいんです。八角の香りも強すぎなくって、でも物足りないことはないという絶妙なバランス。台湾の濃い口しょうゆも使って、ほんわかとした甘辛でやさしい味付け。そうです、全体にやさしいんです。ホッとします。
魯肉飯が大好きで間借りでまずはお店をスタート
このお店をオープンしたのが唐澤千帆さんです。そんなに旅好きでもなかったのに、8年前に友達に誘われて出かけたのが台湾。到着してまず最初に食べに出かけたのが魯肉飯で、そのおいしさにいきなり衝撃を受けたのだそう。あれから30回以上台湾に通い詰めて、魯肉飯を食べ歩きました。
「こんなにおいしものがあるなんてと、驚きました。あまりにもおいしくて、魯肉飯をあっちこっち食べ歩いたんです。会社員でしたが、そのおいしさを日本で伝えようと、4年前から墨田区京島のシェアカフェhalaheluでの間借り営業を始めました」
そうこうしているうちに、SNSでの評判が評判を呼んで活動の場が増えていったそうです。
「お店の物件はいろいろ見て回って、予算に合う店舗が見つかりました。ちょうど入り口のドアのところに、台湾の形をした傷があって、めぐりあわせかもしれませんね」
にっこりと笑う唐澤さんにはほっこりさせられます。あ、この人が作った魯肉飯だからあのおいしさなんだなと気づきました。
店内のインテリアは台湾出身の友人の建築デザイナーが作り上げてくれたものだそうです。台湾らしさが本格的なわけですね。そして、千帆さんだから台湾でのニックネームは「帆帆(ファンファン)」。それが間借り営業でオープンした時から使っている店の名前になったそうです。
「ルーローハンは全体のバランスなんです。八角や五香粉といった台湾で使うスパイスで味をつけるだけじゃないですよ」と帰り際に。なるほどです。
コロナが落ち着いたら、従業員みんなで台湾へ行って魯肉飯を食べ歩きするのを楽しみに、毎日やってくるお客さんを幸せにしています。
住所:東京都世田谷区三軒茶屋1-5-17
営業時間:平日 昼12:00~15:00(L.O.14:30)夜17:00~20:00(L.O.19:30)、土日12:00~19:00(L.O.18:30)
定休日:月曜・水曜
HP:https://www.funfunluroufan.com/index.html
[All photos by Atsushi Ishiguro]