松江城を知り尽くした武士とめぐって城を攻略!
松江城のたもとに現れたのは、武者姿の武士(もののふ)。松の木の下で何とも言えない威光を放っています。
足袋……
臑当(すねあて)……
佩盾(はいたて)……
籠手(こて)……
小刀と胴という出で立ち。お主、何者?
“わが主の城、松江城にようこそおいでなすった。わしは侍大将の亀二郎じゃ。本日は皆様とご一緒しようゾ。ワッ、ハッハッハッ”
それにしても眼光が鋭スギる。後ろの巨大な石垣にも圧倒されそう。ここは城の入口にあたる「馬溜(うまだまり)」と呼ばれる場所。石垣の高さは約13m。松江城で一番高い城壁で、敵が侵入すれば、上部の狭間からの一斉攻撃でひとたまりもないありさまに。
松江開府の祖といわれる堀尾吉晴が5年の歳月をかけ、慶長16(1611)年に築城した国宝・松江城。石垣だけが残る大手門を超え、天守へと続く「本坂」の石垣などには刻印が。この分銅型の紋は堀尾氏の家紋。400年以上の歳月を経た今でも、このような家紋が残っているとは戦国ロマンを感じさせます。
この紋は、築城の際の目印や魔除け、安全などのために刻まれたといわれ、五芒星や扇などの刻印も。
そんな「本坂」の途中には、ある女子高生が偶然見つけたというハート型の石垣も。“見つけられると恋が叶うとの噂もあるのじゃ! ワッ、ハッハッハッ”と、侍大将の亀二郎さん。歴女と話すのが好きという“亀さん”と一緒に城を回ると、そんな小ネタまで解説してくれるのでおもしろさも倍増。興味深く松江城の生い立ちを知ることができます。
狭間から敵を一網打尽
石段を上ってやって来たのは「二の丸上の段」。城の入口に立ちふさがるようにあった高さ約13mの石垣の上にあたります。この整然と設けられた挟間から敵を攻撃するのです。衝立のようにある柱の上に板を渡せば、瓦の上からも二重攻撃を仕掛けられるとのこと。さすが質実剛健な構えと実戦本位の造りをもった松江城。“でもなぁ、実戦として使われたことはないのじゃ! それだけ松江が安泰だったということじゃのう”。
挟間から覗いてみると、下に広がる「馬溜」を一望。
長方形の狭間は弓矢用、正方形の狭間は鉄砲用とのこと。
傍らには「松江神社」も。出雲地方では多く見られる、後ろ足を立てていつでも飛びかかれる態勢の狛犬が特徴的。
築城年が明らかになっていないことなどもあり、一度国宝から除外されたこともある松江城ですが、この松江神社で建築年を示す「祈祷札」が発見され、2015年に国宝に再認定されたのです。
井戸もある4重・5階建ての国宝・松江城
いよいよ天守にやって来ました! “わが主の城じゃ”と亀さんもうれしそう。外観は4重、内部は5階、地下1階の構造。石垣を含めた高さは約30mで、白壁は少なく、黒く厚い下見板張りで覆われているのが特徴。
実戦本位の造りが示すように、天守内には石落としや武者窓、狭間などが数多く設けられ、籠城戦を想定した井戸も。名古屋城や浜松城にも天守内に井戸はあったのですが、現存しているのは松江城のみという、とても貴重な遺構。
松江城の築年数が明らかになり、国宝に再認定される礎になった2枚の「祈祷札」のレプリカも展示されています。
木材が不足していたこともあり、天守にある総数308本の柱のうち130本は鎹(かすがい)や鉄輪(かなわ)が施され、リユースしたと思われる「包板(つつみいた)」が使われ、中にはハートが浮かぶ柱も。
最上階の5階は、壁のない360度展望のきく望楼。松江城下はもちろんのこと、宍道湖まで見渡せる眺望が広がっています。
※2022年3月現在、新型コロナウイルス感染症対策のため営業時間やサービス体制などが通常と異なることがあります
[Photos by (C)tawawa]
TAI WATANABE ライター・エディター・ディレクター
10代のころ、自転車でメキシコ・グアテマラを縦断し多くのことを学ぶ。それをきっかけに情報誌・旅行誌の取材を通じて、中南米・カリブ海を中心に世界各国で豊富な取材を経験。海外を見てきたからこそ日本は大好き! 紙とWEB、ふたつの媒体特性に精通した複眼的視点を持っている。
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