日本で最も高い場所にある湖
「日本一高い場所にある○○」と言われると、それだけでなんだかロマンチックに聞こえてきますよね。
例えば、「日本一高い所にあるホテル」と言われると、それだけで宿泊したくなりますし、「日本一高い場所にある駅」と言われると、用がなくても訪れて下車してみたくなるのでは?
では、日本一高い場所にある湖は、どこになるのでしょうか?
そもそも湖とは「水海(みずうみ)」とも読めます。淡水がかなりの広さで、海にも見えるくらい塊となって存在する場所を意味します。沼とは、その湖を小さくした水場です。池は、湖沼よりもさらに小さい存在。
スイスの湖沼学者フォーレル(1841-1912年)は、このような感じで分類しているようです。
<湖:水深が大きく,植物は湖岸に限られ,中央に深い所には沈水植物を見ないもの
沼:湖より浅く,最深部まで沈水植物が繁茂するもの.
池:通常,湖や沼の小さなものをいい,特に人工的に作ったもの>
(国土地理院の公式サイトより引用)
今回の話は、名前こそ「池」と呼ばれていますが、分類は湖のようです。
標高2,908mは日本一
水面には火山灰が流れ込んでいる
『日本大百科全書』(小学館)によると、その湖は標高2,908m にあるそうです。もちろんその高さは「日本最高位」と書かれています。
これだけの高さにあるとすれば、そもそもかなり高い山が必要です。必然的に3,000m級の山々が密集する北アルプス(飛騨山脈)か中央アルプス(木曽山脈)、南アルプス(赤石山脈)のどこかになりそうです。
答えは、北アルプスの南にある「御嶽山」です。長野県と岐阜県の県境にまたがる御嶽山は、2014年(平成26年)9月に日本中を震撼(しんかん)させた大噴火が起きました 。
今回紹介する湖は、その御嶽山の山頂(剣ヶ峰)のすぐ近くにある「二ノ池」 です。
もともとは、エメラルドグリーンの水をたたえた、登山客に知られた人気のスポットでした。その水は、近くの山小屋の飲み水としても利用されていたのだとか。しかし、その湖は今、消滅の危機にさらされています。火山灰が流れ込み、湖の大きさに影響が出てしまっているのです。
噴火警戒レベルが1になり登山可能に
噴火直後、噴火警戒レベルが引き上げられ、御嶽山は入山が禁止されました。
火山活動が落ち着くとともに噴火警戒レベルが下げられ、噴火警戒レベルが現在は1に下げられています(2022年6月27日時点)。
<火山活動は静穏。
火山活動の状態によって、火口内で火山灰の噴出等が見られる>
(気象庁の公式サイトより、噴火警戒レベル1の解説を引用)
しかし、引き続き、災害対策基本法によって火口周辺は立ち入りが禁止されています。
噴火による噴石や火山ガスの発生を理解し、十分に注意する限りにおいては、ある程度まで登山が可能になっていますが、一部登山道は通行禁止となっています。
とはいえ、まだ見ていない人にとっては、いつか実物を見ておきたい日本最高所の湖。御嶽山立入規制情報を定期的にチェックして、安心だと各人が納得して訪れられる日を楽しみに待ちたいですね。
[参考]
※ 二ノ池、消えてしまう… 御嶽山噴火時の火山灰が流入 – 北陸・信越観光ナビ
※ 御嶽山に新しい池「二・五ノ池」 3年前の噴火の影響か – 朝日新聞
※ 二ノ池山荘
※ 御嶽山警戒レベル1に引き下げ、4カ月ぶり 剣ケ峰山頂登山が可能に – 岐阜新聞
※ 国土の情報に関するQ&A – 国土地理院
※ 令和4年(2022年)6月23日 14時に、噴火警戒レベルがレベル2(火口周辺規制)からレベル1(活火山であることに留意)に引き下げられました。 – 木曾御嶽山安全対策情報
※ 噴火警戒レベルの説明 – 気象庁
※ 2014 年(平成 26 年) 御嶽山噴火による災害
[All photos by Shutterstock.com]
Masayoshi Sakamoto 翻訳家/ライター
翻訳家・ライター・編集者。東京生まれ埼玉育ち。成城大学文芸学部芸術学科卒。現在は、家族と富山に在住。小学館〈HugKum〉など、在京の出版社および新聞社の媒体、ならびに〈PATEK PHILIPPE INTERNATIONAL MAGAZINE〉など海外の媒体に日本語と英語で寄稿する。 訳書に〈クールジャパン一般常識〉、著書(TABIZINEライターとの共著)に〈いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日〉など。北陸3県のWebマガジン〈HOKUROKU〉(
https://hokuroku.media/ )創刊編集長。その他、企業や教育機関の広報誌編集長も務める。文筆・編集に関する受賞歴も多数。
【日本の不思議スポット13】ゼロ磁場のパワースポットとして有名な「分杭峠
Aug 9th, 2023 | あやみ
日本全国には、いくつか「ゼロ磁場」といわれている場所がありますが、そのなかで最も有名なのは「分杭峠(ぶんくいとうげ)」でしょう。この峠は、火伏の神を祀る秋葉神社へつながる信仰の道「秋葉街道」としても利用されてきました。今回は、「分杭峠」のミステリーに迫ります。ゼロ磁場についても解説していますので、ぜひチェックしてみてくださいね。
動物の生首を供物に捧げていた諏訪大社【本当は怖い日本の神話3】
May 5th, 2023 | TABIZINE編集部
日本の神話に表されているのは美しい話ばかりではなく、残忍なエピソードや怖い言い伝え、恐ろしい風習などが少なくありません。しかし、そこからは、日本人が自然や神々とどう関わってきたかが見えてくるといいます。そこで、『本当は怖い日本の神話』(古代ミステリー研究会・編/彩図社)から、日本の神話の興味深いピソードを抜粋して紹介します。
【日本三大そば】岩手「わんこ」・長野「戸隠」・島根「出雲」の歴史や特徴
Dec 31st, 2022 | あやみ
大晦日といえば「年越しそば」。今日、そばを食べる予定の人も多いのではないでしょうか。ところで「日本三大そば」と聞いて、どこのそばが思い浮かびますか? 今回は、日本を代表するそばとして挙げられる3つのそばの歴史や特徴を紹介します。そばの種類や食べ方の違いに驚くかもしれません。
【実はこれが日本一】到達すると認定証がもらえる!「海岸から一番遠い場所」
Nov 1st, 2022 | 坂本正敬
日本一高い山は「富士山」、日本一大きな湖は「琵琶湖」、日本一高いタワーは「東京スカイツリー」など、有名な日本一はいろいろありますが、あまり知られていない、ちょっと意外な日本一を紹介するシリーズ「実はこれが日本一」。今回は、海洋国家・日本において、海岸線から最も遠い場所を紹介します。
続々誕生している車中泊場所「RVパーク」ってどこにあるの?6・7月新規オ
Aug 20th, 2022 | Mayumi.W
車の中で寝泊まりをする車中泊。安く自由に旅ができて気軽とも思える車中泊ですが、日本ではまだなかなか浸透しているとは言えません。そんな中、安心して車中泊を楽しめる場所「RVパーク」が続々誕生しています。今回は、全国に広がりつつある車中泊スポット「RVパーク」をご紹介。「RVパーク」を知れば、旅の選択肢がもっと広がるかも!
【実はこれが日本一】4万発の花火が打ち上げられる「諏訪湖祭湖上花火大会」
Aug 9th, 2022 | 坂本正敬
新型コロナウイルス感染症の拡大で花火大会がここ数年、中止となってきましたが、今年は各地で復活しているようです。そこで、さまざまな日本一を紹介するTABIZINEの連載、今回は、日本一の打ち上げ数を誇る花火大会を紹介します。
【実は日本が世界一】最長のエリンギは59cm!長野の企業がギネス記録認定
Aug 3rd, 2022 | 坂本正敬
意外な日本の世界一を紹介するTABIZINEの連載。今回は、日本の技術はこんな分野でもすごかったという話を紹介します。
【超お得きっぷ】気軽に雲上の絶景とトレッキングが楽しめる!上高地通り抜け
Jul 5th, 2022 | mimoru
岐阜県の高山市奥飛騨温泉郷、中部山岳国立公園にある観光施設「新穂高ロープウェイ」。そんな人気のロープウェイとバスの片道切符がセットになった欲張りプランが期間限定で販売されます! これから始まる夏休みや秋の紅葉シーズンにおすすめですよ。
【実はこれが日本一】標高2,908mの「池」の運命は?噴火で変わった二ノ
Jun 28th, 2022 | 坂本正敬
TABIZINEでは今までに意外な日本一を紹介してきました。例えば、日本一高い場所にある橋や駅なども紹介しましたが、日本一高い場所にある「湖」といえばどこになるのでしょうか。
【長野の難読地名】赤怒田、鬼無里、麻績・・・いくつ読めますか?
Jul 17th, 2021 | 内野 チエ
日本各地には、なかなか読めない難しい地名が多数存在します。地域の言葉や歴史に由来しているものなど、さまざまですが、中には県外の人はもちろん、地元の人でもわからないというものも。今回は長野県の難読地名を紹介します。あなたはいくつ読めますか?