海外でありながら、なぜか私たち日本人にもなつかしさを感じさせる街があります。心に染み入る風景に感動する、世界のノスタルジックな街7つをご紹介します。
ポルト(ポルトガル)
ポルトガル北部に位置するポルトガル第2の都市、ポルト。大航海時代の15世紀初頭、冒険者たちを送り出した輝かしい歴史をもつこの街は、「ポルト歴史地区」として世界遺産に登録されています。
ポルトの街を歩けば、入り組んだ坂の多い街に身を寄せ合うようにして建つ歴史的建造物の数々が旅情を誘います。観光客が闊歩する大通りから、一本外れて住宅街に入り込むと、道端で魚をさばいて売る女性の姿が。高台からオレンジ屋根の家々が連なる市街を見渡せば、共同の洗い場で年配の女性たちが楽しげに洗濯をする姿が見られます。
先進国ではすっかり失われてしまった光景の数々は、どこか「ALWAYS-三丁目の夕日」の世界を思わせます。世界中から観光客が訪れる街でありながら、今も昔も変わらない日常の風景がここにはあるのです。
ハイデルベルク(ドイツ)
各地に個性あふれる街々が点在するドイツのなかでも一、二の人気を争う街が、ドイツ南西部に位置するハイデルベルク。ドイツ三大名城のひとつ、ハイデルベルク城を擁する古城の街です。ドイツ最古の大学を擁する大学町としても知られ、ゲーテやショパンをはじめ、多くの詩人や芸術家にも愛されてきました。
ゲーテも歩いた哲学の道から望むハイデルベルクの風景はまさに絶景。半ば廃墟と化した味わい深いハイデルベルク城と、バロック風の旧市街、周囲を取り囲む自然・・・すべてが見事に調和した眺めは、「一生忘れたくない」と思うほど心に染み入る風景です。「在住者おすすめ!ドイツの魅力が凝縮された古城の街ハイデルベルクが素敵すぎる」ではよりくわしく街の魅力をお伝えしていますよ。
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サフランボル(トルコ)
トルコ北部、黒海から内陸に入った山間部の谷に広がる小さな街、サフランボル。世界遺産に登録されているオスマン朝時代の古い街並みは、今も中世の雰囲気を残しています。土壁に木の窓枠が並ぶ木造家屋を眺めながら石畳の道を歩けば、タイムスリップしたような気分になるはず。
高台にあるフドゥルルックの丘からは、すり鉢状に広がるサフランボルの街並みが一望できます。オレンジ屋根の家々のあいだに顔を出すモスクのミナレット、歴史あるハマムから立ちのぼる湯気・・・「日本から遠く離れたトルコでこんなに懐かしい風景に出会うなんて」と感激することでしょう。
ホイアン(ベトナム)
ベトナムを周遊した旅人が口を揃えて「あそこはよかった」と話すのが、ベトナム中部の街ホイアン。数百年前からほとんど変わらない街並みは、「古都ホイアン」として世界遺産に登録されています。
かつて東西交易の中継地として発展し、西洋と東洋の建築様式が混在する街並みが形成されていきました。一時は大規模な日本人町が形成され、多くの日本人がここで暮らしていたからでしょうか。「昔の日本を見ているよう」という感想をもつ人も少なくありません。
「【ベトナム ランタン祭】明かりを灯せば、世界はこんなに幻想的になる!」でもご紹介したホイアン名物の色とりどりのランタンの光が街を彩る夜は、きっとあなたの心にも灯がともるはず。
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ルアンパバーン(ラオス)
東南アジアの内陸国、ラオスの山間部に広がる古都ルアンパバーン。1353年からおよそ200年間にわたって、この地を支配したランサーン王国の都として栄えました。小さな街でありながら80あまりの寺院が点在する東南アジアらしい風景と、フランス植民地時代のコロニアル建築が融合した独特の街並みは、「ルアンパバーンの町」としてまるごと世界遺産に登録されています。
京都を彷彿とさせる歴史ある寺院を訪ね歩いたり、ルアンパバーン名物の托鉢を見たり、おしゃれなカフェでゆったり流れる時間を味わったりするうちに、すっかり心が安らいでいることに気づくはず。ルアンパバーンは、訪れた誰もを不思議な心地よさで包み込み、この街の虜にしてしまう魔力をもっているのです。
麗江(中国)
雲南省の山中に位置する麗江は、少数民族ナシ族の都。今もナシ族の人々が多く暮らし、その美しい景観から「ナシ族の桃源郷」と呼ばれることも。ナシ族、漢族、チベット族といった、各民族の特徴が表れた建造物が並ぶ街並みは、「麗江旧市街(麗江古城)」として世界遺産に登録されています。
街じゅうに張り巡らされた無数の水路と瓦屋根の木造家屋は、日本の城下町を彷彿とさせます。街を歩けば、民族衣装を着たナシ族をはじめとする少数民族の人々の姿が。
万古楼と呼ばれる五重の塔からは、湖のように青銀の瓦屋根が一面に広がる風景が楽しめます。山と水路と瓦屋根の家々、どこか日本の原風景にも似た麗江の街に郷愁を覚えずにはいられません。
九份(台湾)
台北の北に位置する山間部に広がる小さな街、九份。日本統治時代に金鉱山として栄えましたが、1971年の閉山後、衰退の一途をたどります。1989年に映画「非情城市」の舞台となったのを機に、にぎわいを取り戻し、今では台湾屈指の観光地として人気を集めています。
石段や狭い路地の両側に立ち並ぶレトロなお店、いたるところに掲げられた赤ちょうちん・・・「千と千尋の神隠し」を思わせるノスタルジックな光景に、初めて九份を訪れた人も、どこかで見たようななつかしさを覚えることでしょう。九份名物の茶芸館で過ごす時間は、外国にいるとは思えないほど、心からほっとする至福のひとときです。まるで異世界!神隠しに遭いそうな、情緒ある台湾の町「九份」も合わせてどうぞ。
海外でありながら、私たちの心にすっと入り込んでくるノスタルジックな風景の数々。初めてなのになぜかなつかしい、そんな街々に会いにいきませんか。
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