年の瀬がせまり、なんだか落ち着かない気分になっているあなたに、つかの間非日常にトリップする記事を1週間毎日お送りいたします!
TABIZINE「世界の謎」特集、どうぞお楽しみください。
空から何か不可解な物が落ちてくる様子を目撃した経験はありますか? あるいは地面にありえない物が落ちていて、びっくりしてしまった経験はどうでしょうか?
宮崎駿監督『天空の城ラピュタ』では、空からロボット(巨神兵)が落ちてくるシーンが描かれていましたが、あのように空から不可解な物が降ってくる現象を、「Falls from the skies」を短縮して「FAFROTSKIES」、ファフロツキーズ現象と呼ぶのだとか。村上春樹著『海辺のカフカ』でも空から大量の魚が降ってきたシーンが描かれていましたね。
実はこのファフロツキーズ現象、フィクションの世界だけでなく現実の世界各地で起こっており、もちろん日本でも繰り返し起こっています。そこで今回はTABIZINEの「世界の謎」特集にちなんで、世界の特徴的なファフロツキーズ現象を幾つか紹介したいと思います。
2009年に石川県にオタマジャクシが降った!?
(写真はイメージです)
今から8年前、石川県で「奇妙」な出来事が発生したというニュースを、覚えている人はいますか? 地方のニュースなので関係ない土地に住んでいる人は、全く覚えていないかと思いますが、2009年に空から大量のオタマジャクシが降ってくる「事件」が、石川県内各地で繰り返し起こりました。
その様子は地元の北國新聞はもちろん、毎日新聞、朝日新聞など全国紙でも報じられています。調べてみると瞬間移動のようなオカルト説から、竜巻がオタマジャクシを空に舞いあげたといった現実的な見解まで、さまざまな意見が出たのだとか。
専門家によれば口にオタマジャクシを含んだ野鳥が、飛行中に何らかのきっかけで吐き出したという話が最も有力だと言います。
筆者も過去記事「月に32回通うマニアが教える!『世界一美しいスタバ』富山環水公園店の魅力」で軽く触れましたが、水鳥が親水公園内にある運河の水中に飛び込んで魚を捕獲し、空に舞い上がって飛び去ろうとしたときに、くわえた魚を地上に落としてしまうという出来事を丸ごと目撃した経験があります。
後から現場にやってきた市民ランナーは、公園内の芝生で勢いよく跳ね回る魚の姿を見て、動転したような表情を浮かべていました。空を見上げ、周囲を見回し、腰に手を当て、考え込むようなそぶりを見せました。当然ですよね。
(写真はイメージです)
同じように野鳥が何かの拍子に飲み込んだオタマジャクシを空中で吐き出してしまい、その吐き出されたオタマジャクシを後から来た人間が目撃しただけなのかもしれません。
それでも空から降るオタマジャクシの「事件」が2009年6月初旬に報じられて全国的に話題になると、同じ6月中に類似の出来事が同じ石川県内にとどまらず、静岡、広島、埼玉、長野、宮城、鹿児島、愛知、岩手、福井、秋田などで次々と発生し、新聞などで盛んに報じられるようになります。
これだけ頻繁に空からオタマジャクシが降ってくるとなれば、かえって瞬間移動のような超常現象とは考えにくくなりますよね。いつもは見逃しているものの、石川県の「事件」で人が意識するようになったからこそ、類似の「事件」が全国各地で「目撃」されるようになったと言えそうです。
世界ではいろいろなファフロツキーズ現象が確認されている
(写真はイメージです)
先ほどは国内のファフロツキーズ現象を紹介しましたが、世界では他にもさまざまな現象が確認されています。
英デイリー・メール紙のオンライン版では、「Residents stunned as hundreds of fish fall out of the sky over remote Australian desert town」といった記事が2010年に公開されており、オーストラリアのノーザン・テリトリー(北部地方)にあるラジャマヌという内陸の小さな町では大量の魚が降ってきて、地面に打ち付けられても、まだ生きて動いていたと報じられていました。
このラジャマヌという場所は世界地図を見れば分かりますが、オーストラリアのアウトバック(人里から遠く離れた手付かずの広大な大地)に位置しています。クラレンス海峡に面した海岸の都市・ダーウィンからは、640kmほど離れた内陸にあります。魚がくわえたりのみ込んだりして運んで来たのであれば、元気に生きていたという点の説明がつかないですよね。
(写真はイメージです)
この件について気象の専門家は、竜巻の可能性が高いと発言しています。一度吹き上げられた魚は上空で凍ってしまい、再び地表に落ちるころに溶けるのだとか。竜巻によって上空に吹き上げられた瞬間に冷凍された鮮魚が、空を数百キロ移動し、落下する際に地表近くで解凍されて息を吹き返したのかもしれませんね。
世界のファフロツキーズ現象をまとめたチャールズ・フォートの著書『The Book of the Damned』を読むと、世界では他にもさまざまな物体が空から降ってきていると分かります。例えばフランスでは大量の小さなカエルが、突然青空に現れた分厚い雲から降ってきたなど、いろいろな事例が確認されているみたいですね。
こうした空から降ってくる物は上述した通り、
・竜巻で吹き上げられた物が再び地面に降ってくる
・鳥が空から落とした物が地面に降ってくる
といった原因が主に考えられるそう。それでも中には竜巻や鳥では合理的に説明できないファフロツキー現象もあると言います。
理由が分からない現象は、理由が分からないままにしておいた方がミステリアスで味わいがあるという考え方もあります。ならば、謎は謎のままに解明せずに、科学を超えた世界の存在に期待をふくらませつつドキドキしていた方が、人生は楽しいのかもしれませんね。
[The Book of the Damned – Charles Fort]
[Residents stunned as hundreds of fish fall out of the sky over remote Australian desert town – the Daily Mail]
[並木伸一郎監修『知ってびっくり! 世界のなぞ・・・ふしぎ物語』学研教育出版(2012年)]
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