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日本最古の銅像は兼六園に!
【日本武尊像の歩み(抜粋)】
1877年(明治10年):西南戦争が起きる
1880年(明治13年):兼六園に日本武尊像が建てられる

現存する世界最古の銅像は、4,000年以上前のエジプトのペピ1世の像です。日本には、およそ1,300年前の飛鳥時代や奈良時代につくられた青銅製の仏像などが存在しますが、人物像としては、兼六園の「日本武尊像」が日本最古の銅像になります。
兼六園といえば、TABIZINEの過去記事「江戸時代のエコ技術!?SDGsな力で動く「兼六園の噴水」で、日本最古の噴水があることを紹介しましたが、日本最古と言わしめるものがもう1つあったとは驚きです。
日本武尊像が建てられたのは1880年(明治13年)のこと。加賀藩の第13代藩主、前田斉泰(まえだなりやす)が育てた「根上松(ねあがりまつ)」の前にあり、“ハトが寄り付かない”不思議な銅像としても知られています。
明治時代の西南戦争が建立のきかっけ

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加賀藩主・前田家ゆかりの庭園・兼六園。第5代藩主・前田綱紀(つなのり)に始まり、代々の藩主によって受け継がれてきた日本を代表する庭園ですが、実は日本武尊像は、そんな前田家との関連はなく、明治期につくられた慰霊碑になります。
時は1877年(明治10年)。西郷隆盛を中心に熊本県・宮崎県・大分県・鹿児島県で士族による反乱「西南戦争」が起き、官軍死者は約6,400人、西郷軍死者は約6,800人にも及びました。その際、石川県からも多くの兵が戦地に派遣され、戦いで命を落とした人も少なくなかったのです。
故郷から遠く離れた九州の地で散った石川県出身の兵たち。西南戦争が終結して3年後の1880年(明治13年)、そんな郷土軍人を日本神話に登場する武力に優れた英雄「日本武尊」になぞらえ、慰霊のためにこの像が建てられました。
銅像の身長は5.5m。両脇には赤松が植えられており、「手向松(たむけまつ)」と呼ばれています。この松は銅像が建てられた時に京都の東本願寺と西本願寺の門跡から移されたもの。手向けとは死者へのお供えの意味であり、弔いのために像の両脇に赤松が移植されました。
なぜ日本武尊像にハトが寄り付かない?!

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公園や庭園に置かれている像で、ハトが羽を休めているのを見かけたことはあると思います。ハトが集まると糞害が起き、像が汚れてしまうこともありますね。しかし、兼六園の日本武尊像は不思議とハトが寄り付かず、糞害がないことで知られていました。
「なぜ兼六園の日本武尊像にはハトが寄り付かないのか?」に焦点を当てて研究したのが、地元・金沢の大学教授、廣瀬幸雄氏です。
同氏は像の成分を分析し、ヒ素と鉛が約15%ずつ含まれていることを突き止めました。ハトで実験をしてみたこところ、ヒ素を忌避する習性があることがわかり、日本武尊像にハトが寄り付かない原因は、銅像にヒ素が含まれているためということが明らかになりました。
日本最古の銅像・日本武尊像の不思議が判明したこの研究は「ハトを寄せ付けない銅像の化学的研究」として発表され、2003年、イグノーベル化学賞を受賞。
イグノーベル賞とは、ハーバード大学系の科学雑誌編集者が創設した、人々を笑わせ、考えさせる研究や業績に贈られる賞です。身近な「なぜ?」を起点に、不思議を解明した廣瀬氏。兼六園に足を運んだときは、ぜひ日本武尊像でハトが羽を休めていないか、観察してみてください。
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内野 チエ ライター
Webコンテンツ制作会社を経て、フリーに。20歳で第1子を出産後、母・妻・会社員・学生の4役をこなしながら大学を卒業、子どもが好きすぎて保育士と幼稚園教諭の資格を取得、など、いろいろ同時進行するのが得意。教育、子育て、ライフスタイル、ビジネス、旅行など、ジャンルを問わず執筆中。特技はワラビ料理と燻製作り。
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