近年のカフェブームにのって、次々と新しいカフェが登場しているカフェ天国ホーチミン。個人経営の隠れ家カフェも魅力的ですが、気軽に入れて、長く居られるチェーンカフェも侮れません。もちろんWi-Fi環境も整っていて、PC作業も可能。ベトナム滞在中に利用したい、個性あふれるチェーンカフェの顔ぶれをめぐってみました。
ハイランズコーヒー
「ベトナムのスタバ」とも呼ばれる現地資本のカフェチェーンが「ハイランズコーヒー」。ベトナム系アメリカ人によって、1998年に首都ハノイに設立された会社で、ベトナムのカフェチェーンとしては特に長い歴史をもっています。
訪れたのは、ホーチミンのバックパッカーストリートとして知られるファングーラオ通りの店舗。土地柄外国人の利用が多いのかと思いきや、意外にもホーチミンっ子の利用が多く、店内でPC作業をしている若者の姿も少なくありませんでした。
ローカル食堂などで飲むコーヒーに比べると、値段が特に安いわけではありませんが、スタンダードなベトナムコーヒーなら140円程度から。モダンで快適なカフェにしては手ごろな値段と、長時間居座りやすい気楽さが人気を呼んでいるのでしょう。
いただいたのは、ホットのベトナムコーヒーと、パッションフルーツチーズケーキ。ベトナムコーヒーは、日本で日ごろ飲むコーヒーとは違って、ガツンとくる強烈な苦みが特徴。初めてこれを体験した人は、衝撃を受けるかもしれません。コーヒーの苦みが強いからか、ケーキは日本の一般的なものより甘さが強め。なかなか刺激的な組み合わせです。
アメリカ風の印象が強いハイランズコーヒーですが、バインミー(ベトナムサンドイッチ)など、ベトナムならではのメニューも。ハイランズコーヒーは、手ごろな値段でベトナムコーヒーを楽しみたいときや、ちょっと休憩したいときに有力な選択肢になりそうです。
詳しくは、『ベトナムのコーヒーチェーン「HIGHLANDS COFFEE(ハイランズコーヒー)」』をどうぞ。
チュングエンレジェンド
質の高いベトナムコーヒーを楽しみたいときに、最もおすすめのチェーンカフェが、「チュングエンレジェンド」。チュングエンコーヒーは、「ベトナム人なら知らない人はいない」といっても過言ではないほど、現地ではよく知られたコーヒーブランド。世界におけるベトナムコーヒーの名声を高めた立役者でもあります。
チュングエンレジェンドは、白と黒を基調としたスタイリッシュで上質感漂うインテリアが特徴のカフェ。「No.1」「No.5」など、コーヒー豆の種類を数字で表しており、数字が大きいほど高額になります。
ベトナムコーヒーといえば、「とにかく苦みが強い」という印象がありますが、チュングエンレジェンドでは、同じベトナム産でもアラビカ種、ロブスタ種、リベリカ種という異なる種類の豆を扱っているので、選ぶ豆の種類によってかなり風味に違いが出ます。どれを選べばいいかわからないときは、「マイルドで酸味が少ないもの」など、自分の好みを伝えて、スタッフにアドバイスを求めるといいですよ。
筆者が選んだのは、日本で広く飲まれているアラビカ種の一粒豆を使ったNo.5。これをベトナムコーヒーのフィルターで抽出し、練乳と混ぜてアイスでいただきます。一滴ずつコーヒーが滴る様子を見守るスローな時間も粋なもの。
しっかりとした酸味と渋みがあるものの、練乳の甘みでバランスのとれた味わいに仕上がっていました。濃厚ながらも上品な味わいで、チェーンカフェのなかではワンランク上という印象です。
エスプレッソをバニラアイスにかけた、アフォガードも美味。苦いエスプレッソと、バニラビーンズたっぷりのアイスとのマリアージュが最高です。
ハイランズコーヒーよりも単価が高いだけあって、洗練された上質感漂うインテリア。座席の配置もゆったりしているので、時間をかけてくつろぎたいときにおすすめです。店舗によってインテリアの雰囲気が異なるので、複数の店舗をはしごするのも楽しいですよ。
https://trungnguyenlegend.com/
フックロン
フックロンは、1968年創業のコーヒーとお茶の老舗メーカー。2013年ごろから、ホーチミンを中心に、直営のカフェが次々とオープンしはじめました。いまでは、ホーチミンを歩けば一日に何度もフックロンの店舗を見かけるほどです。
チェーンカフェというと、どうしてもコーヒー主体のお店が多いですが、フックロンはお茶の専門店でもあるため、お茶にも力を入れているのが特徴。ジャスミン茶やハス茶をベースにしたフルーツティーなど、日本ではなかなかお目にかかれないアレンジティーもあります。
写真は、ライチハス茶。ハス茶独特の苦みとライチの甘みがあいまって、後を引くようなユニークな味わいです。
コーヒーやお茶が人気のフックロンですが、フルーツスムージーもおすすめ。イチゴとバナナを使ったスムージー「ハッピーサマー」などが、約200円というお手頃価格で楽しめます。
フックロンは、とにかくベトナム人に人気のお店。店内はいつもホーチミンの若者で混雑していて、昼食どきや夕食後の時間などは、カウンターに行列ができていることもしばしばあります。筆者も、ホーチミン滞在中、ディナーの後になにか飲みたくなったとき、ふらっとフックロンに立ち寄って、冷たい飲み物をテイクアウトしていました。
https://phuclong.com.vn/
コンカフェ
ベトナムのチェーンカフェのなかでも異色の存在が、「コンカフェ」。首都ハノイ発のコンセプトカフェで、「コンカフェ」とは「共産カフェ」の意味。「南北統一前の配給制度下のハノイ」がテーマで、ハノイやホーチミン、ダナンといったベトナムの主要観光都市に店舗を展開しています。
ホーチミンでは、リートゥチョン通り26番地のアパートやヴィンコムセンター、ブイビエン通り、ヤーシン通りなどにお店があります。
店内に足を踏み入れれば、一瞬で古き良き時代のハノイにタイムスリップしたかのよう。リートゥチョン通り26番地のアパート内にある店舗では、古めかしいアパートとどこかダークなコンカフェの世界観があいまって、時間が止まったかのような独特の雰囲気をつくり上げています。
コンセプトやインテリアが独特なだけに、アイデア先行と思われがちですが、コンカフェはコーヒーがおいしいことで有名。焙煎からこだわったベトナム産のコーヒー豆を使用しており、なかでもココナッツミルクコーヒーやヨーグルトコーヒーなど、日本ではなかなか出会えないユニークなコーヒードリンクがおすすめです。
筆者が初めてコンカフェでココナッツミルクコーヒーを飲んだとき、そのまろやかな優しい甘さに感動しました。
ドリンクは一杯150~200円教と、値段も手ごろ。フォトジェニックな店構えに、おいしいコーヒー、おしゃれカフェとしては手ごろな価格とくれば、人気が出るのは当たり前。ベトナムのおしゃれな若者たちの支持を受け、平日でも満席になるほどの盛況ぶりです。
http://congcaphe.com/
詳しくは、『配給時代がコンセプト。古アパートに潜む「コンカフェ」が楽しい【ホーチミン】』をどうぞ。
スターバックス ~番外編~
ここまでベトナム発のカフェチェーンをご紹介してきましたが、ベトナムにおけるスタバの位置づけが気になるという人もいるのではないでしょうか。
ベトナムにスターバックスが上陸したのは、2013年のこと。ベトナムのスタバ1号店、ホーチミンのニューワールド店がオープンしたときには、流行に敏感な若者たちが大行列を作ったといいます。
ベトナムのスタバの価格設定は、日本よりはやや安いものの、ベトナムの物価を考えればかなり強気。日本でもおなじみのスターバックスラテが300円~ですから、まぎれもない高級店です。
それでもホーチミンのスタバ、特にサイゴン大教会近くのリザーブ店などは、多くのお客さんで賑わっているので、ベトナムではスタバに通うことが一種のステイタスとなっているように見受けられます。ベトナムの平均月収が3~4万円であること考えると、誰もが気軽に入れるような店でないことは間違いありません。
ドリンクメニューは、日本と極端には変わりませんが、東南アジア限定メニューや店舗限定メニューなどもあります。もちろん、ベトナムのスタバだけで買えるタンブラーやマグカップなどのオリジナルグッズも販売されているので、スタバグッズファンなら要チェックですね。
http://en.starbucks.vn/
今回ご紹介したチェーンカフェのなかでも、上質なベトナムコーヒーにこだわったチュングエンレジェンドと、完成された世界観をもつコンカフェは、ぜひ一度は足を運んでみてほしいところ。さまざまなアレンジコーヒーもあるので、ブラックコーヒーや強いコーヒーが苦手でもトライできるメニューがあるはずです。
[All photos by Haruna Akamatsu]
Do not use images without permission
世界のスタバについては、以下の記事もぜひチェックを。
『【台北】台湾茶も飲める別世界。優雅なバロック建築のスタバ「保安門市」』
『おすすめお土産やタイ限定メニューも。バンコクの素敵スタバ5選』
『韓国最大のスタバは25メートルのバーカウンターが圧巻。都会のオアシス「ザ鍾路<チョンノ>店」』
『シンガポールで優雅な朝を過ごしたい方へ、100店舗記念のスタバはいかが?【現地ルポ】』