【実はこれが日本一】隣駅まで49分も!駅廃止で生まれた北海道の大記録
電車は普通鉄道と特殊鉄道がある
立山の室堂
「日本一高い場所にある普通鉄道の駅」と言われたら、どの辺りにあると思いますか?「普通鉄道の駅」といった書き方をしていますが、そもそも鉄道とは、
<敷設した線路上で動力を用いて列車を運転する施設>(岩波書店『広辞苑』より引用)
です。線路上で動力を用いて車両(または車両の連なり)を運転する施設という意味では、ケーブルカー・ロープウェイ・トロリーバス・モノレール・リフトも含まれます。
多くの人が通勤や通学に利用する電車を「普通鉄道」と呼ぶ一方で、ちょっと特別なそれらの鉄道を「特殊鉄道」と呼ぶみたいです。
この特殊鉄道を入れると日本最高所の駅は、富山県の立山にある標高2,450mの室堂駅になります。室堂駅とは中部山岳国立公園に指定される飛騨山脈(北アルプス)の一座、日本三霊山の1つにも数えられる立山(正式には雄山)直下の溶岩台地にある駅です。登山客の中継基地として駅以外にもホテル・売店・バス乗り場があります。
その駅から黒部ダムの方に向かって立山トンネルトロリーバスも走っていて、停車場が日本最高地点の駅とされているのですね。
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ただ正直に言うと「駅」と言われて日本人が思い浮かべるイメージは、普通鉄道の駅だと思います。
道路の外(路面電車の場合は上)に敷設された線路の上を電車が走ってくるあの停車場。乗客は白線や黄色い線の内側で電車の到来を待ち、ホームに入ってきた電車の扉が開いたら降りる人を待って乗り込むあの細長い場所ですね。
あの一般人にとってなじみ深い駅の中で、日本で最も高い場所にある駅と言えば一体どこになるのでしょうか?
日本一高所の普通鉄道の駅は野辺山にある
JR東日本、小海線、野辺山駅の駅舎 切干大根, CC 表示-継承 4.0, リンクによる
答えのヒントは中央高地と呼ばれる岐阜県・長野県・山梨県のどこかです。
飛騨山脈(北アルプス)・木曽山脈(中央アルプス)・赤石山脈(南アルプス)など「日本の背骨」の山が連なる本州の中部地方には標高の高い土地が多く、そのエリアを走っている電車の駅が日本一標高の高い駅とされています。
具体的には標高1,346mにある駅です。1,346mとは東京スカイツリーを2本縦に積み重ねてもまだ届かないくらいの高さです。
筆者も訪れた思い出があります。群馬県の嬬恋村にあるキャベツ畑でアルバイトしていたころ、休みになると長野県の小諸や佐久に出て買い物をしていました。その時に沿線の駅に日本一高い駅があると知って、電車に乗って出かけました。
長野の小諸という地名が出ました。長野県にある小諸駅から南の山梨県に向かってJR小梅線が走っています。その小梅線が長野県と山梨の県境を越えるころに野辺山高原を通ります。野辺山原と言えば八ヶ岳の東側に広がる高原です。高原野菜の栽培・酪農が盛んで国立天文台野辺山宇宙電波観測所もあります。
ちょっと話が飛びますが、国立天文台野辺山宇宙電波観測所にある直径45mの巨大パラボラ・アンテナも、宇宙電波望遠鏡としては世界一の精度を誇る大パラボラ・アンテナみたいです。
この国立天文台の観測所と同じく、日本一高所にある普通鉄道の駅は野辺山原にあります。住所で言えば長野県南佐久郡南牧村大字野辺山。答えは野辺山(のべやま)駅ですね。
JR鉄道最高地点は分水嶺
野辺山駅(東日本旅客鉄道小海線)ホーム LERK, CC 表示 3.0, リンクによる
野辺山駅については『小学館の図鑑・NEO+ぷらす もっとくらべる図鑑』(小学館)にも記載されています。
駅のある標高1,346mとは、積乱雲の雲底から垂れ下がる竜巻の発生地点よりも高いのだとか。竜巻が1,000m近くの高さにある積乱雲の雲底から発生しているという情報も驚きですが、野辺山駅がかなり高い位置にあるとも解釈できますよね。
駅のホームや駅前周辺には日本一の高所を誇る碑がいくつもあります。筆者が訪れた10年以上前には、立派なカメラを持った鉄道ファンとおぼしき人たちと高齢の観光客グループを見かけました。
ちなみに、電車ではなく自動車で野辺山駅を訪れる場合は、駅から2kmほど離れたJR鉄道最高地点の踏切も訪れてみてください。
この最高地点が日本海側と太平洋側の分水嶺になっているらしく、周辺から北の長野県側に降った雨はやがて千曲川になり最後は信濃川となって日本海へ流れ込むそう。南の山梨県側に降った雨は釜無川となり富士川になって駿河湾(太平洋)へとつながるみたいです。
新型コロナウイルス感染症の影響で海外に行けない現在。密を避けながらこうした日本一のスポットを巡って、日本への理解を深める旅も、今だからこそ面白いかもしれませんね。
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[参考]
※ 南牧村の日本一 – 南牧村
※ 『世界大百科事典』(平凡社)
※ 『小学館の図鑑・NEO+ぷらす もっとくらべる図鑑』(小学館)