(C)Masato Abe
意外と近い 立山へのアクセス
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首都圏から立山へのもっとも簡単なルートは、北陸新幹線に乗り、黒部宇奈月温泉駅で下車し、室堂への直行バス「アルペンライナー」に乗る方法です。直行バスは4月下旬~10月中旬の土、日、祝日運行で料金は大人片道4,200円、子ども片道2,100円(税込)です。
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この時は早朝に自宅を出発、東京駅6時28分発はくたか551号に乗車し、8時58分に黒部宇奈月温泉駅着。駅前からの直行バス「アルペンライナー」は9時25分発で立山の室堂ターミナルに11時55分に到着。早朝に出発すれば、お昼には早くも立山に着いたのです。今年の時刻表は改めて確認してみてください。
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上の写真は直行バスの中から撮った、日本一という350mの落差を流れ落ちる称名滝。ちょうど滝の見える場所で、ちょっとの間止まって運転手さんがガイド案内をしてくれました。また途中の高原地帯、弥陀ヶ原の広大で美しいこと。
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訪れた7月下旬はあいにくの悪天候で、標高が高くなるにつれて雲が厚くなってゆきます。到着した室堂ターミナルでは、ガスがかかって周囲は全く見えませんでした。
とはいえ翌々日は青空となって、雄大な立山の絶景を愛でることができたのです。上の写真は帰り際、青空のバスターミナルです。
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さて室堂ターミナルは、巨大な駅と食堂とホテルが一緒になったような大きな建物でした。コロナ禍の前で、繁忙期の休前日だったので、ターミナル内はたくさんの観光客や登山客でごった返していました。
住所:富山県中新川郡立山町芦峅寺室堂
電話:076-463-3345(ホテル立山)
HP:https://h-tateyama.alpen-route.co.jp/terminal/
立山・室堂の神秘的な大地と美しい花々
「室堂」の標高は、ターミナルのある場所で2,450m。古くは霊山で修行する人びとが祈祷し、宿泊する場所を意味していました。この周辺に修験者たちは小屋を建て修行をしていたのでしょうね。
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さらに太古の昔、立山では火山活動で溶岩流が流れ出し、室堂の周囲は3,000m級のなだらかな高原となったのです。そして短い夏のあいだには高山植物が咲き乱れる雲上の楽園と化します。
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室堂の周囲は多少アップダウンがあり、小さな池も点在しています。そのひとつが「みくりが池」。到着した日はガスがかかっていたのですが、2日後には上の写真の通り、みくりが池と山々の残雪と真っ青な空が日差しに映えて輝いていました。
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室堂の西側には「地獄谷」があり、火山性ガスが立ち込めて立ち入りはできませんが、真上から地獄谷全体が見えています。実は、その遥か向こうに富山平野や日本海まで見えているのですが、わかりますか?
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東側には雷鳥沢・雷鳥坂など、本格的な山岳エリアの入り口を見下ろすことができます。登山シーズンにはカラフルなテントが数多く張られた光景も見事ですね。また、紅葉時期には雷鳥坂のグラデーションの絶景を楽しめるのです。
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室堂のあちこちに石を敷き詰めた歩道や石段が整備され、散策を楽しめるようになっています。その両脇には高山植物が咲き乱れています。上の写真はイワギキョウでしょうね。
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こちらはハクサンイチゲでしょうか。立山は高山植物の種類はそれほど多くはないといいますが、道のすぐ脇に群生したり、四方に咲いていたりで、決して少ない感じはしません。
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登山が苦手の方も、この室堂周辺を歩くだけで十分楽しめます。美しく壮大な風景に心がリフレッシュされること、間違いありません。
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この室堂には3つの温泉宿があります。今回宿泊した雷鳥荘とみくりが池温泉、それに雷鳥沢ヒュッテの3つ。3つとも山小屋ですが、秘湯なんです。今回はそのひとつ、雷鳥温泉のある雷鳥荘に宿泊しました。
そして最高峰、標高3,015mの立山・大汝山へ
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到着した翌日、立山に登りました。ふつう立山と呼ぶ場合、雄山神社を祭る雄山(3003m)か浄土山、雄山、別山を含めた立山三山を指しますが、今回は最高峰、標高3,015mの大汝山を目指しました。室堂の標高は2,450mですから600mほどを登るだけで標高3,000mに達します。
残念ながら、この日も室堂周辺にはガスがかかっています。どうなることやら。
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まだ雪がところどころ残っていますが、それほど歩きにくい感じではありません。ところどころ残った雪道は前を歩く人の足跡に靴を入れて歩きます。急斜面ではないので、滑り落ちる心配はありません。
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室堂ターミナルから1時間20分ほどで一ノ越へ。ここは標高2,700mあまり。残念ながらガスっていて周りの景色は見えません。
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ふと足元を見ると、黄色い花が咲いていますね。ミヤマキンバイでしょうか。
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ここから先、距離は短いのですが、標高差300mを一気に登っていきます。足元は石ころの多いガレ場です。
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一ノ越から1時間ほどで立山雄山へ到着。雄山の標高は2,992m。ここに雄山神社があります。
古くは「立山権現」といい、霊峰・立山を祀った神社で、社伝によれば大宝元年(701年)に、景行天皇の子孫という越中の国司・佐伯宿祢有若の子、慈興上人が開山造営したといいます。
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神社の周辺は大勢の登山客でごった返していました。ここで500円を納め、鈴がついたお札をいただきます。この時期は混み合いますが、拝殿へ登りお祓いを受けることもできるのです。社務所ではお守りや御朱印のほか、登山バッヂも売られていました。
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そしてその雄山から20分ほどで大汝山。左上の岩の上に標識が立っていますよ。標高は3,015m。ここまで室堂から2時間半ほどでたどり着けるのです。この日、結局眺望は叶いませんでした。翌日に期待しましょう。
雲上の秘湯・雷鳥温泉で癒やされました
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ようやく無事に宿の雷鳥荘に戻りました。雷鳥荘は客室53室、260名収容可能な大きな山小屋です。山小屋といっても旅館のような雰囲気で、2人以上の場合、和室は1室1グループで利用できるようです。
(C)雷鳥荘
山の中ですから客室にはテレビもなく、浴衣もありません。テーブルと寝具以外なにもありません。夜になればご飯を食べて早々に寝るだけです。ちなみに電源コンセントはあります。
(C)雷鳥荘
喫茶コーナーやギフトショップは充実していました。奥には談話室があります。ふつう山小屋には、宿泊客がくつろげるような談話室がありますが、雷鳥荘では立派な暖炉までありました。また地獄谷を望む大きなガラス窓の前には、ゆったりとした椅子とテーブルが置かれています。ただし、この時はコロナ以前で、シーズン真っ盛りとあって談話室は大にぎわい。
(C)雷鳥荘
そして雷鳥荘の目玉は何といっても温泉。自然水の沸かし湯の湯船と、温泉湯船の2か所に分かれています。温泉は箱根大涌谷の温泉のように、湧水に地獄谷の噴気を当てて浴室へと引き湯しているようです。「噴気造成泉」というのだそうです。
泉質は酸性・含鉄(Ⅱ)・硫黄-硫酸塩・塩化物泉。加水あり、加温なしの源泉掛け流し。かなりの酸性といい、成分分析表は見当たりませんでしたが、かつての表示ではpH2.11だったそうですね。
(C)雷鳥荘
硫黄泉でまったりしながら、窓の外には雄大な立山の絶景が臨めます。実は宿泊当日はあいにくのガスで、残念ながら眺望は望めませんでした。しかし、晴れてさえいれば、ほかでは味わうことのできない感動体験となるでしょうね。
ちなみに日帰り立ち寄り湯も可能です。入浴料700円。浴室にはシャンプーやボディーソープ、石鹸の備え付けもありました。
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そして夕食。ふつう山小屋なら、おかずはひとつのお皿に盛り合わせて出てきますが、雷鳥荘では小皿も並び、小さな鍋も付いていました。味もたいへんおいしいのです。もちろんごはんと汁物はお替り自由。
ちなみに朝食はバイキング形式でご飯もお替り自由、たくさんいただきました。山に登るとご飯のおかわりをしてしまうのが不思議ですね。
立山に行くなら、ぜひ黒部ダムへ
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翌日はついに天候が回復。ようやく青空を望むことができました。この日は黒部ダムを見学に行きます。雄山直下を貫く立山トンネルをトロリーバスで走り抜け、ロープウェイ、そしてケーブルカーを乗り継いで1時間ほどで黒部ダムに行くことができるのです。
難工事と言われた黒部ダムの貴重な記録映像も、壮大なダムの大放水も、そこにかかるきれいな虹も見ることができました。写真の右下に虹が架かっています!
(C)Masato Abe
黒部ダムの前に立って上を見上げると、ほら、雪をかぶった美しい立山が見えます。断崖のような壁の上にあるのも立山。こうして逆方向から眺めると急峻で登れそうにありませんね。昨日ガスのなか登ったことが夢のように思えます。
遠くにあるようでアクセスのよい立山、そして黒部。なかなか訪ねることはできませんが、素晴らしい思い出となる絶景の地なのです。