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1997年版の「ギネスブック」に掲載された海峡
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小豆島といえば、何を思い浮かべますか? 地質や気候を生かしたオリーブ栽培やごま油、そうめんづくりなどが有名です。少し年配の人であれば、映画『二十四の瞳』を思い浮かべるかもしれませんね。
最近では、「エンジェルロード(天使の散歩道)」を連想する人もいるでしょう。このエンジェルロードは、小豆島と身を寄せ合うように隣接する小さな前島にある観光名所です。小豆島と前島の間には当然ながら海があります。
島と島、陸地と陸地の間を通る海は、「海峡」や「水道」、「瀬戸」と呼ばれる場合があります。
<【海峡】陸と陸との間にはさまれて、幅が狭くなっている海。海門。水道。瀬戸>(『精選版 日本国語大辞典」より引用)
30万分の1の地図では、小豆島と前島は1つの島に見えます。しかし、実際は異なる島で、この島と島の間を通る川のような海も「土渕(どふち)海峡」と呼ばれています。
今回のテーマはこの海峡の幅です。土渕海峡は、世界一の狭さを誇ると1996年(平成8年)に認められ、1997年版『ギネス世界記録』に掲載されました。
カール・ルイスの全盛期なら跳び越えられる!?
2022年6月時点で、Guinness World Records(ギネス世界記録)の公式サイトで「Kagawa」や「Japan」と検索しても、あるいは「Dofuchi strait」や「The narrowest」と打ち込んでも、土渕海峡の記録が出てきませんでした。
いつの間にか更新された可能性も否定できませんが(とはいえ更新記録も見当たらない)、この世界一狭い海峡は一体どのような特徴があるのでしょうか。
まず、小豆島と前島を隔てる海峡の全長は2.5kmです。東京でいえば、JR新宿駅から原宿駅くらいの距離ですね。海峡の幅は場所によってそれぞれで、もっとも狭い場所になると9.93mになります。
さらに、両岸には護岸工事が施され、岸から海の上にせり出すように、暗きょにも似た歩道がつくられているので、見た目の印象は9.93mよりも狭く感じます。
走り幅跳びの競技で世界記録を持つマイク・パウエルやライバルのカール・ルイスの全盛期なら、跳び越えられそうな幅にも見えます。
1980年代のパンフレットに記述がない
海峡のもっとも狭い場所には永代橋が架けられています。ギネス世界記録に関する情報が掲示され、世界一狭い海峡を渡った人には、地元の土庄町役場商工観光課から「世界一狭い海峡横断証明書」が発行されます(1枚100円)。
この土渕海峡を挟んだ前島には、エンジェルロードもあります。エンジェルロードも土渕海峡も、1980年代の名所案内パンフレットに記述が見当たらないそう。
土渕海峡の名前そのものも、ギネス世界記録に登録申請するために新しく名前を付けたとの情報もありました。
しかし筆者が、10年ほど前に訪れた際には、サイクリストたちの立ち寄りスポットになっていましたし、カヤックのような小船で海峡を通過する人たちも見かけました。今では、立派な観光地になっているのですね。
ちなみに、土渕海峡を分け合う小豆島には、ほかにもギネス世界記録が見られます(こちらはGuinness World Recordsの公式サイトで確認できます)。長寿に関する記録で、小豆島生まれの双子の姉妹が「存命中の最高齢の一卵性双生児」および「史上最高齢の一卵性双生児」に認定されています。
現地に訪れる際には、長寿を育む環境や風土、食文化も含めて、丸ごと島を楽しんでくださいね。
[参考]
※ Japanese sisters aged 107 break Guinness World Record for oldest twins – INDEPENDENT
※ Oldest identical twins ever (female) – Guinness World Records