列車に乗らないと見られない車窓の風景
「のと鉄道」に乗車してみたら、素晴らしい車窓を楽しむことができました。車窓からの風景は、窓いっぱいの広い海や、緑の田んぼです。あまりに美しいので、1カ月もたたないうちに、もう1度、自分が乗った列車を撮影しに出かけました。“のと鉄道”に乗車した後は、能登をドライブで観光しました。
「まさか田舎のバスみたいな本数じゃないでしょうね」
私が「のと鉄道に乗りたい」と提案した時の友人のひと言でした。友人の鋭い予想は大正解で、昼間に、穴水駅から七尾駅に向かう列車は、だいたい1時間に1本です。
せっかくなので、穴水駅から七尾駅までの全区間を往復乗車することに決めましたが、昼食のための途中下車駅をどこにするか、悩みました。海と、田んぼと、家がほとんどなので、計画的に行かないと食べ損ねることになります。ところが、駅の近くで、地元のものが味わえるお店を探すのは難しく、決まらないまま当日を迎えました。
旅行当日、小松空港でレンタカーを借り、終着駅の穴水駅に車を停めて出発です。
のと鉄道は、石川県の能登半島・七尾湾側の海沿いを走ります。海の見える絶景を、車窓から眺めることができるのは、進行方向の左側。迷わず、左側の席に腰掛けました。穴水駅を発車するとすぐに、イルミネーションが施されたトンネルをくぐり、キラキラした光の中を走ります。
海と家並みを交互に楽しみながら列車は走り、西岸駅に到着しました。西岸駅は、テレビアニメ『花咲くいろは』に登場する「ゆのさぎ駅」のモデルになっていて、とても可愛い駅舎です。
西岸駅を過ぎると、田んぼも広がり始めます。窓に緑の木々を、かすめそうになりながら、上り坂に入ります。すると急に、視界が開け、外には深浦漁港の絶景が広がるのです。高いところを列車が走っているため、車窓ならではの、見晴らしです。
列車は、まもなく能登中島駅に到着しました。おいしい牡蠣が食べられるお店がお目当てで、途中下車することに。駅の近くは、田園風景の広がり、青い空と緑の中を、列車が走っていました。
能登中島の岩牡蠣は言葉を失うほど絶品!
能登中島の駅から町を歩くと、牡蠣の貝殻が山のように積まれているのを、ところどころで目にします。潮の香りが風で香ってきて、お腹が空いていたことを急に思い出しました。能登中島駅から10分ほど歩くと「かき処 海(かい)」に到着です。生牡蠣はもちろんのこと、フライ、釜飯、牡蠣焼きなど、メニューが豊富で迷います。
注文すると「生牡蠣は、お切りしましょうか?」と聞かれ、切るほどの大きさなのか?と期待が膨らみました。出てきたのは、大きな牡蠣でした。言葉を失うほどおいしかったです。
“中島菜”の衣がついた牡蠣フライもありました。“中島菜”は、地元の特産だそうです。初めて食べたのですが、思い出してみると能登中島駅には、牡蠣を装った「中島かき子ちゃん」と、その横には“中島菜”の「中島菜々子ちゃん」がいました。
住所:石川県七尾市中島町浜田ツ21
海に現れたトトロ??
のと鉄道の往復乗車が終わり、穴水駅に戻ってきました。ここからはドライブで、能登の観光です。能登半島を西に横断して、増穂浦海岸へ向かうことになりました。
国道を走っていると、驚いたことに、トトロ?のような、岩が立っています。「まさかトトロじゃないよね?」車を止めて眺めてきました。なんとも可愛らしい岩ですが、荒波に削られて侵食されての形だということにびっくりです。
住所:石川県輪島市門前町大泊
世界一長いベンチは日本海を見るための特等席
増穂浦海岸には、“世界一長いベンチ”があると聞いて向かうことになりました。ギネスブックに掲載されたこともある有名な場所らしいのですが、正直なところ、行くまで想像がつきませんでした。「長いベンチとは、なんだ? 長いベンチに、大人数で座るでもなく、女2人で座って、どうしたら良いのだ?」と不思議です。
到着してみると、長いベンチは海に向かって設置されていて、座ると日本海が見渡せるようになっていました。一度に1,346人座ったこともあるそうです。たくさんの人が座れば、それも楽しそうですが、この日は、たまに散歩の人が通るくらいです。長いベンチに腰掛け、美しい日本海を2人で贅沢に堪能しました。
住所:石川県羽咋郡志賀町富来領家町15
ホリ牧場で食べる格別ソフトクリーム
おやつには、「ホリ牧場」にある夢ミルク館にソフトクリームを食べに立ち寄りました。牧場で食べるアイスクリームは、格別でした。
ホリ牧場では、動物たちの餌として野菜も販売しています。お店の裏は、ヤギやウサギたちと触れ合えるミニ動物園になっていました。動物たちが、懐っこすぎて、少し逃げ越しになりましたが、癒やされました。
住所:石川県河北郡内灘町湖西243
能登のパワースポット「氣多大社」
パワースポットが大好きな友人と、能登の「氣多大社」にも行ってみました。“氣”の多く集まる神社として有名だそうで、「入らずの森」という入れない森に続く道もありました。私も、お参りをして、お守りを買って、なんだかパワーをもらったような気持ちで能登をあとにしました。
住所:石川県羽咋市寺家町ク1-1
能登の旅を満喫した後、また来たいね、という話になりました。友人が「のと鉄道をもう1回おかわりするのも、あり?」と言ってくれたことが、一番うれしい旅でした。ぜひ、能登を旅して、のと鉄道に乗るのんびり旅を楽しんでもらいたいです。
[All photos by Hiromi Ito]
Do not use images without permission.