創業170年の由緒正しき和菓子店
江戸時代から庶民の間に茶の湯文化が広がり、和菓子消費量は国内トップクラスの石川県。全国的な知名度を誇るアイテムが多い中、知る人ぞ知る隠れ逸品も少なくありません。そのひとつが小松市「松葉屋」の栗蒸し羊羹だと筆者は思います。
創業は江戸時代後期の嘉永5年。初代が「那谷寺(なたでら)」の参拝客に羊羹を売り出したことがはじまりの老舗和菓子店で、現在、暖簾を守るのは5代目。金沢百番街では、石川県の名産品が集まる「百番銘菓」というコーナーで販売されています。
こちらがその羊羹、「月よみ山路」。1棹750円と親しみやすいお値段もうれしいところ。
往時と変わらず、羊羹を包むのは天然の竹皮。裏側にナイフが添えられているのも特徴です。
封を開くと、ほのかな竹の香りとともに羊羹がお出まし。手作りのため不揃いですが、その分温かみを感じます。
切ると黄金の栗がゴロゴロ!
特筆すべきは、栗の専有率。どこをカットしても黄金色の栗が顔を出してくれるのでで、切るだけで楽しい! 表面の竹の皮の筋は風情たっぷり。
お皿に並べると、その愛らしい形が際立ちます。栗がどれだけたっぷり入っているかも一目瞭然。
上品で控えめな甘さのあんと、ほっこりした栗の甘露煮。シンプルながら身体にじんわり染み渡る、懐かしい味わいです。滑らかな口あたりも実に美味。忘れかけていた和菓子の口福感に包まれます。ちなみに天皇皇后両陛下、皇太子殿下が石川県を訪れた際にお茶菓子として献上されたとか。そう思うと、ひときわ特別な気分になれそうです。
ノスタルジックな趣あふれる、たしかな味覚。金沢を旅したときは、由緒正しき栗蒸し羊羹に出合ってみてはいかがでしょうか?
住所 石川県金沢市木ノ新保町1−1−1
TEL 076-260-3752
営業時間 8:30~20:00
定休日なし
http://www.matsubaya.jp/place/anto.html
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