11月3日から岡山城もリニューアルオープン!アートと食と観光のいいとこどりが叶う【岡山カルチャーゾーン】とは?

Posted by: 渡邊玲子

掲載日: Nov 2nd, 2022

2022年11月27日まで3年に一度の国際現代美術展「岡山芸術交流2022」が開催中。会場となっているのは、「岡山カルチャーゾーン」と呼ばれる岡山城や岡山後楽園周辺エリアの様々な歴史文化施設です。2021年6月大規模改修に入っていた岡山城も2022年11月3日よりリニューアルオープン予定。JR岡山駅前にある路面電車の岡山電軌東山線・岡山駅前駅から3駅目の城下(しろした)駅を起点に、実際に筆者が地図を片手に訪れたスポットをご紹介します!

岡山観光の頼れる助っ人「岡山市ももたろう観光センター」

新幹線・岡山駅の改札口を出てすぐに目に入ったのは、手ぶら観光サービス「ねこのてステーション」のカウンター。手荷物の一時預かりだけでなく、500円で岡山・倉敷市内の指定宿泊施設へ17時までに届けてくれる(荷物を預けるのは13:30まで)、とても便利なサービスなんです。

今回筆者は駅前のホテルを予約していたので利用しませんでしたが、改札を出てすぐスーツケースを預けて身軽に動き回れるのは理想的。荷受け時間は午前8時から午後1時半まで。観光で岡山駅で降り立ったら、ぜひチェックしてみてください。

今回、事前にじっくり下調べをする余裕がなかった筆者が到着早々に駆け込んだのは、駅の構内にある観光案内所「岡山市ももたろう観光センター」です。目的地である岡山カルチャーゾーンのマップや岡山グルメを紹介した冊子をゲットし、岡山の名産品がリーズナブルに味わえて女性ひとりでも気軽に入れるお店の情報をリサーチ。

行き当たりばったり派ではあるけれど、できれば効率よく回りたい。そんな時は地元の方に「今回はこんな旅がしたいんですが…」と相談するのが一番。今しか体験できない旬でお得な情報も得られて一石二鳥です。

まずはおすすめされた通り、駅ビルの2階にある「さんすて」へ。岡山の名産といえば桃太郎が鬼退治に持参したとされる「きびだんご」が有名ですが、人気店が一堂に会しているので自分好みの逸品を見つけることができます。「きびだんご」グッズもこんなにオシャレ。

旅のお供は「長谷井商店」の絶品「タコ紅生姜天キャベツ入り」

観光センターの方に「小腹が空いたときにベンチに座って食べられそうなものは?」と訊ねて教えてもらったのが、さんすて岡山店に9月1日にNEW OPENした、昭和4年創業の練り物専門店「長谷井商店」のポップアップ。

普段ほとんど練り物を食べない筆者は半信半疑でショップに向かったのですが、ショーケースを一目見るなり「うわ!これは確かにおいしそう~」と、一気にテンションが上がりました。

アレコレ目移りして悩んだ末に選んだのが「タコ紅生姜天キャベツ入り」(350円)。ぷりぷりのタコの食感とキャベツのシャキシャキ感。紅生姜の刺激がやみつきになるほどのおいしさで、その日の夜にリピートしてお土産にも買って帰ったくらいハマってしまいました。

駅直結のホテルに荷物を置いて、再び岡山駅前に戻ってきました。広場には何やら銅像が……。

近づいてみると、サルと犬とキジをお供に鬼退治に出陣する「桃太郎」の像でした。

そしてその奥には円形の噴水が。晴れ渡る空の下、水しぶきがキラキラしていて、勝手に岡山に歓迎されている気分になりました。

市内を走る路面電車で「岡山カルチャーゾーン」の中心地「城下駅」へ

信号を渡るとすぐに路面電車の「岡山駅前」の停留所を発見。東京ではほとんど乗る機会がないので、一気に旅モードに浸れます。

レトロな雰囲気の漂う車内で、観光センターでもらったマップを取り出し、念のため降りる駅を確認。初めての土地で、ちょっぴりスリリングな感覚を味わえるのも旅の醍醐味ですよね。

3つ目の城下駅で下車して、狭い階段を下りた先に広がっていたのは……?

予想に反して開放的な「城下地下広場」でした。「地下」というだけでなんとなく薄暗くて危険そうな気配がしていたのですが、奥には吹き抜けになっている空間もあって思った以上に明るいし、テーブルとイスもあるので休憩スペースとしてもってこいの場所。

お弁当を広げて食べている人もいれば、楽器の演奏をしている人もいて、非常に文化度の高い街であることが公共スペースからも肌で感じられました。

「岡山カルチャーゾーン」を紹介する地図つきの看板も設置されているので、ここを拠点にしながら回りたい場所を考えるのをおすすめします。「岡山芸術交流」の展示会場も、ほぼすべてこの場所から徒歩圏内のエリアに点在していますよ。

岡山城・岡山後楽園・林原美術館…「岡山カルチャーゾーン」とは?

ちなみに、この地下広場にそびえ立つのが、オレンジや黄色など暖色系のビビッドなカラーリングが施された超巨大なモニュメントです。こちらはNYを拠点に活躍するリアム・ギリック氏による≪Faceted Development (多面体的開発)≫(2016年)という名の常設展示されているアート作品で、まさに「岡山カルチャーゾーン」のシンボルになっています。

常設されている過去のアート作品は他にもいくつかあり、街歩きの最中にふいに目の前に現れると、思わずワクワクしてしまいます。

城下駅から徒歩2分ほどの位置にある壁面に作品が展示されている建物は、岡山のミニシアター「シネマ・クレール丸の内」。

「岡山芸術交流2022」では、タイのアピチャッポン・ウィーラセタクン監督の過去作品などの特集上映が行われています。

筆者が訪れた際は2階のシアターで指定作品の上映が行われており、芸術祭のチケットを持っていれば出入り自由でプログラムが楽しめました。(ただし、通常興行は別料金・入れ替え制となるのでご注意を!)

表町商店街には巨大な恐竜のオブジェがあちこちに!

映画館の付近を散策していると、いつのまにか長いアーケード(なんと全長1kmもあるのだそう!)が続く「表町商店街」に迷い込み、ふと見上げると羽を広げた巨大生物がいまにも舞い降りてきそうで、思わず目を疑いました。

「これは一体……?」と思って慌てて反対側に回ったところ、巨大な恐竜プテラノドンでした!

よく見ると他にもティラノサウルスや、恐竜の赤ちゃんが顔を出しています。いずれも発泡スチロール製のようですが、とても精巧な作りでその迫力に圧倒されます。

地元の方々は何も気にせず歩いていたので、もはやお馴染みの光景のようです。「これもアート作品の一環なのかな?」とも思ったのですが、どうやらそうではなさそう。さらに歩みを進めると、開店前から行列ができているお店を発見。

総合ディレクターがおすすめする行列必至のカレー店でランチ

実はこちらのお店は「QUIET VILLAGE CURRY SHOP」という地元の人気カレー店なのですが、「岡山芸術交流2022」のパブリックプログラム公募事業に参加しているそう。

芸術監督であるリクリット・ティラヴァーニャ氏の「岡山芸術交流を見に来る人のための食のガイドもあったらいいね」というアイデアから生まれた「岡山芸術交流をほおばる」というグルメマップの掲載店であり、「総合ディレクター那須太郎が選んだお店」にラインナップされています。

店内にはティラヴァーニャ氏の肖像画と共に、岡山芸術交流のロゴステッカーが。スマートフォンをロゴステッカーにかざすと、岡山のシェフとティラヴァーニャ氏が共同開発したレシピが、自動的にポップアップしてくる仕掛けが施されています。

ダル(レンズ豆)カレーとチキンカレーとフィッシュカレーの3種盛に、スパイス卵をトッピング。スパイスのいい香りにパワーをもらい、見た目も鮮やかな美しくておいしいカレーに大満足。食後のチャイにも癒されました。

店内の一角には展覧会のチラシやポスターが壁一面に貼られていて、面白そうな企画展のチラシもピックアップできます。まさに、食とアートの密接な関係を実感したひとときでした。

QUIET VILLAGE
岡山県岡山市北区表町1丁目6-43
11:30-15:00
月曜定休 / 不定休 / 予約不可
https://www.instagram.com/quietvillagecurryshop/

ちなみに、そのすぐ近くにも列ができているお店を発見。こちらもマップ掲載店で、ティラヴァーニャ氏のおすすめの「食堂やまと」。ラーメンがとてもおいしいそうですよ。

こちらは、アーティストのリアム・ギリック氏と日本の建築設計事務所・MOUNT FUJI ARCHITECTS STUDIOがコラボして2019年に誕生した宿泊施設「A&Aリアムフジ」。

岡山後楽園の近くの石山公園には、「岡山芸術交流2019」参加作品であるメリッサ・ダビン氏&アーロン・ダヴィッドソン氏による≪遅延線≫が展示されています。

日本三名園、300年の歴史ある岡山後楽園と現代アートの融合

岡山屈指の観光名所であり日本三名園の一つとして知られる特別名勝「岡山後楽園」の中にある「観騎亭」にも、「岡山芸術交流2022」参加のデヴィッド・メダラ氏の作品≪サンドマシン-青竹のバタンガス≫と梁慧圭(ヤン・ヘギュ)氏の切り絵作品が展示されています。

歴史的文化遺産である美しい日本庭園は、江戸時代を代表する大名庭園のひとつ。広い芝生地や池、築山、茶室が園路や水路で結ばれ、歩きながら移り変わる景色を眺めることができるように工夫された回遊式庭園。かねてから一度は訪れてみたい場所だったので、今回ようやく念願がかないました。

筆者が訪れた日は、地元の小学生たちがメモを取りながら鑑賞している姿が印象的でした。

三百年の歴史が息づく空間のなかに海外のアーティストの現代アートが展示されていて、日本の未来を担う子供たちがそこから何かを感じ取っている。とても意義を感じる企画でした。

11月3日にはピカピカになった岡山城がリニューアルオープン!

ちなみに「岡山後楽園」に隣接する「岡山城」は現在天守閣が工事中ですが、11月3日にリニューアルオープン予定。

「岡山芸術交流2022」の展示会場の一つである「林原美術館」は、岡山の実業家だった故・林原一郎氏が蒐集した東洋の絵画や工芸品と、旧岡山藩主池田家から引き継いだ大名調度品を中心とするコレクションによって生まれた美術館で、前川国男建築設計事務所が設計を手掛けています。

王兵(ワン・ビン)監督の『名前のない男』が上映されているほか、中庭にはベトナムのホーチミンを拠点に活動するアーティストグループのアート・レーバーとジャライ族のアーティストたちによる、楽器のような作品 《JUA─サウンドスケープの音》が展示されています。

イルミネーションが輝く川べりをロマンティックにお散歩

夕方からは石山公園の旭川沿いで「星降る川辺の物語」と題したイルミネーションも楽しめます。

「岡山カルチャーゾーン」の中心地となる城下駅のモニュメントも夕刻にはライトアップされていて、より一層輝きを放っていました。

「岡山カルチャーゾーン」でアート三昧&観光を満喫した後は、市電で再び岡山駅へ。路面電車も昼と夜とでは趣が異なりますね。

夜は駅地下のカウンター居酒屋で岡山の名産品に舌鼓

観光センターで教えてもらった「女性ひとりでも入りやすい・岡山の名産品が食べられる」候補店の中からこの日筆者が選んだのは、駅ビルの中にあるカウンター席の居酒屋「炉ばた焼・八閣」。

新鮮な地の物にこだわった岡山料理を中心に、お得な定食もメニューもたくさん用意されているので、腹ペコでガッツリ食べたいときも、お酒と一緒にちょっとつまみたい気分のときも、どちらのニーズにも合いそうなお店でした。

定食にも心惹かれつつ、せっかくなので地の物が食べたいと思い、岡山名産の「黄ニラのおひたし」と「ままかりの酢漬け」、「鰆のタタキと生ダコ刺の二種盛り」に、限定品の地酒「大典白菊・純米酒トリプルA」を半合をいただきました。

知らない土地で女性ひとりでお酒を飲むのはちょっと勇気がいりますが、ここなら駅もホテルも近くて安心です。

実はこの日、定食を選ばなかった理由は、観光センターで教わった岡山の絶品フルーツをたっぷり使ったフルーツパフェも食べてみたかったからなんです。「フルーツパフェの街おかやま」にエントリーしているお店の中から「さんすて」の奥にある「MINORU DINING」をセレクトし、お店にGO!

〆は岡山の絶品フルーツをふんだんに使ったパフェを堪能

オーダーしたのは「JA全農」が厳選した岡山県産のピオーネとマスカットをふんだんに使用した「岡山ぶどうのパフェ」。レギュラーサイズとデラックスサイズの2種類から選べるので、締めのパフェとしても大満足でした。

歴史的な文化施設や観光名所を巡りながら現代アートを鑑賞し、おいしいごはんを通じて地元の人たちと交流する。これもひとえに、カルチャーゾーンがコンパクトにまとまっている岡山という街だからこそ成し得る、画期的な体験であると実感しました。

ぜひ「岡山芸術交流2022」の開催期間中に訪れてみてはいかがでしょうか?

「岡山芸術交流2022」
会期:2022年9月30日(金)~2022年11月27日(日)
開館時間:9:00~17:00(最終入場は16:30まで)※一部開催時間が異なる施設あり
休館日:月曜日
会場:旧内山下小学校、岡山県天神山文化プラザ、岡山市立オリエント美術館、シネマ・クレール丸の内、林原美術館、岡山後楽園、岡山神社、石山公園、岡山城、岡山天満屋
入場料:一般 1800円、大学生・専門学生 1000円、65歳以上 1300円、高校生以下無料ほか
公式HP:https://www.okayamaartsummit.jp/2022/

[all photos by Reico WATANABE]
※店舗や時期により商品の仕様や品揃え、価格が変わる可能性がありますので、ご注意ください。
※店舗営業については最新情報をご確認ください。

PROFILE

渡邊玲子

REICO WATANABE ライター

映画配給会社、新聞社、WEB編集部勤務を経て、フリーランスの編集・ライターとして活動中。国内外で活躍するクリエイターや起業家のインタビュー記事を中心に、WEB、雑誌、パンフレットなどで執筆するほか、書家として、映画タイトルや商品ロゴの筆文字デザインを手掛けている。イベントMC、ラジオ出演なども。

映画配給会社、新聞社、WEB編集部勤務を経て、フリーランスの編集・ライターとして活動中。国内外で活躍するクリエイターや起業家のインタビュー記事を中心に、WEB、雑誌、パンフレットなどで執筆するほか、書家として、映画タイトルや商品ロゴの筆文字デザインを手掛けている。イベントMC、ラジオ出演なども。

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