全長4,260km!北海道から沖縄の距離よりも長いアメリカの歩道「トレイル」【旅に関する面白いギネス記録】

Posted by: 坂本正敬

掲載日: Jun 3rd, 2023

1955年に書籍から始まった「ギネス世界記録」。人間が達成した記録や、自然界で起きた「世界一」など、さまざまな世界記録を認定・登録しています。その中から、旅行に関するギネス世界記録を紹介していきます。今回は、トレイル(長距離自然歩道)に関する世界一を紹介します。

パシフィック・クレスト・トレイル
 


 

ギネス世界記録に掲載される長大なハイキングトレイル

パシフィック・クレスト・トレイルのサイン
「トレイル」を楽しんだ経験がありますか? トレイルとは、『世界大百科事典』(平凡社)や環境省の定義によると「長距離自然歩道」と訳されています。野山を歩くための長い歩道と言えばいいでしょうか。

「トレイル」の元となる英単語「trail」の語源自体が「何かを引きずる→引きずった跡」といった響きを持ちます。

その語源からもわかるように、トレイルとは本来、人の足跡が踏み固めたような、森林や原野、里山などにある歩道を意味します。その自然の中の歩道を歩く行為をトレイルとも呼びます。

<森林や原野、里山などにある「歩くための道」のこと。こうした道を、歩くはやさで旅するのがトレイルです>(環境省のホームページより引用)

もちろん日本にも、トレイルを楽しめる場所は数多くあります。日帰りで楽しめるコースから、宿泊が必要なタフなコースまで。日本ロングトレイル協会のサイトでも紹介されています。

ただ、日本のトレイルは現状で、数十kmから数百kmのコースが多く、日本最長でも、みちのく潮風トレイルの1,000kmちょっとです。

日本を縦断する全長約1万kmのトレイルをつくろうという壮大な構想があるものの、現状では未来の話、どちらかと言えば「短い」コースが主流という印象です(数十キロでも十分に長いと個人的に筆者は思いますが)。

一方で、世界のトレイルはもっと長く、現状でギネス世界記録に掲載されるハイキングトレイル(長距離自然歩道)の長さは、4,260kmとなっています。こうして比較するとやはり、日本のトレイルコースがちょっと「短く」感じる人も少なくないのではないでしょうか。

全長5,000kmの長距離自然歩道も

コンチネンタル・ディバイド・トレイル
4,260kmのアメリカのトレイルは「パシフィック・クレスト・トレイル」と言います。アメリカ合衆国の西海岸につくられた長距離自然歩道を、メキシコとカナダとの国境から国境まで歩いて縦断するコースです。

4,260kmといえば、北海道の宗谷岬から沖縄の波照間島までの直線距離(3,000kmほど)を軽く超えます。ちなみに、「パシフィック・クレスト・トレイル」は、アメリカ合衆国における3大長距離自然歩道の1つとも言われています。

しかし、ギネス世界記録に登録されていないだけで、アメリカ合衆国には現在、より長いトレイルコースが整備されつつあります。

その整備中のトレイルとは、先の3大長距離自然歩道の別の1つにも数えられる「コンチネンタル・ディバイド・トレイル」です。2028年(令和10年)には、全長5,000km近い長距離自然歩道が完成する予定なのだとか。

2万7,000kmを超えるトレイルも存在

トランス・カナダ・トレイルのサイン
©️Micah Watson / Shutterstock.com

厳密には、トレッキング専用ではないのですが、世界を見ればカナダには、もっと長いトレイルもあります。

「トランス・カナダ・トレイル」で、その全長は、2万7,000kmを超えます(自然遊歩道、水路、車道も含める)。地球1周が4万9kmほどですから、地球半周の距離を超える計算になります。

「トランス・カナダ・トレイル」のルートを地図でたどるとその壮大さに驚かされます。

太平洋側からスタートした場合、ボーフォート海(北極海の一部)まで北上してから南下し、アメリカとの国境沿いを東進して、五大湖の北岸を通過し、カナダの最東端に突き出すニューファンドランド島のセントジョンズまで道が続いています。

この道を歩ききったら、それこそ本の1冊や2冊くらい、平気で書けてしまいそうな雰囲気です。

世界には、こんな楽しい旅の道がいくつも存在するのですから、これらのトレイルのどこか1カ所でも踏破して、一生ものの勲章を手にしてみたいですね。

[参考]
Longest hiking trail – Guinness World Records
One Of The Largest Conservation Efforts In The History Of The United States. – Continental Divide Trail Coalition
Discover the Trail – Pacific Crest Trail Association
A New Bill Would Complete the Continental Divide Trail by 2028 – Backpacker
EXPLORE THE MAP – Trans Canada Trail
Trans Canada Trail – The Canadian Encyclopedia
Making the Trans Canada Trail Safe and Accessible for People of All Abilities – GlobeNewswire
トランス カナダ トレイルで冒険を探す – Ontario Canada
みちのく潮風トレイルとは – みちのく潮風トレイル
日本ロングトレイル協会
長距離自然歩道を歩こう! – 自然大好きクラブ

[All photos by Shutterstock.com]

PROFILE

坂本正敬

Masayoshi Sakamoto 翻訳家/ライター

翻訳家・ライター・編集者。東京生まれ埼玉育ち。成城大学文芸学部芸術学科卒。現在は、家族と富山に在住。小学館〈HugKum〉など、在京の出版社および新聞社の媒体、ならびに〈PATEK PHILIPPE INTERNATIONAL MAGAZINE〉など海外の媒体に日本語と英語で寄稿する。 訳書に〈クールジャパン一般常識〉、著書(TABIZINEライターとの共著)に〈いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日〉など。北陸3県のWebマガジン〈HOKUROKU〉(https://hokuroku.media/)創刊編集長。その他、企業や教育機関の広報誌編集長も務める。文筆・編集に関する受賞歴も多数。

翻訳家・ライター・編集者。東京生まれ埼玉育ち。成城大学文芸学部芸術学科卒。現在は、家族と富山に在住。小学館〈HugKum〉など、在京の出版社および新聞社の媒体、ならびに〈PATEK PHILIPPE INTERNATIONAL MAGAZINE〉など海外の媒体に日本語と英語で寄稿する。 訳書に〈クールジャパン一般常識〉、著書(TABIZINEライターとの共著)に〈いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日〉など。北陸3県のWebマガジン〈HOKUROKU〉(https://hokuroku.media/)創刊編集長。その他、企業や教育機関の広報誌編集長も務める。文筆・編集に関する受賞歴も多数。

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