【奄美大島】バニラを贅沢に使った絶品スイーツ&国内バニラ農園見学!

Posted by: しげたまこと

掲載日: Aug 12th, 2024

アイスクリームの定番の味・バニラ。実は、日本ではほぼ輸入に頼っているのが現状です。この課題に挑戦するべく、世界遺産に登録された奄美大島でバニラの栽培を始めた合同会社AMAMIバリュープロデュースを取材しました。また「AMAMIバニラファームカフェPolePole(ポレポレ)」では、インドネシアから直輸入したバニラを使ったスイーツが楽しめます。この記事では、奄美大島でバニラを堪能する新たな魅力をお伝えします。

バニラ農園アイキャッチ

1,700本のバニラを栽培中!収穫が待ち遠しい

バニラの味は知っているものの、スイーツに使われる前の姿を見ることはなかなかありません。一体、どのような植物なのでしょうか。

合同会社AMAMIバリュープロデュース代表の林晋太郎さんに農園を案内してもらいました。

2022年から栽培を始め、2反(約20アール)の敷地に4棟のビニールハウスが並びます。現在は約1,700本のバニラを栽培中とのこと。
バニラ農園外観

バニラの苗全景

バニラは胡蝶蘭の仲間で、一度植えると何年も生き続けて花や実をつける多年生の植物です。主にマダガスカルやインドネシアなど、熱帯や亜熱帯の地域で栽培されます。

葉っぱは硬く、表面はツルツルしていました。成長のために栄養をあまり必要としないのですが、葉っぱを折り曲げると、水分が多く含まれているのがわかりました。

バニラの葉

バニラの葉を折り曲げて出てきた水

蔓(つる)性の植物なので、自然の状態では、他の樹木に巻きつきながら成長します。そのため、栽培時には支柱を立てなければなりません。

バニラのつる

バニラのつるがつたう様子

支柱に巻き付くバニラ

苗本体が支柱に巻きつき、茎から根も生えて地面に潜り込んでいきます。ちなみに、根本を覆っているのは落ち葉ではなく、サトウキビの加工で排出されたバガス(搾りかす)で、土の保湿に活用しているそうです。

地中に潜る根

苗を植えてから最初の収穫までに2〜3年はかかるので、農園での収穫はもう少し先になるとのこと。

今後は、人工授粉を行って花を咲かせます。花が咲くと、「バニラビーンズ」と呼ばれるさや状の実ができます。(写真は林さんの見本)

バニラビーンズ

ようやく実を収穫しても、私たちが知っているバニラになるのはまだまだ先。収穫した後、発酵させて乾燥させる作業が入るとのこと。この工程は「キュアリング」と呼ばれます。そして、実から乾燥したバニラの種(バニラシード)を取り出し、ようやく私たちがアイスクリームなどで目にする黒い粒として使われるのだそうです。

きっかけはタンザニアでのプロジェクト

なぜ林さんは奄美大島でバニラ栽培を始めたのでしょうか。

実は林さん、タンザニアでバニラ農家を支援するプロジェクトに携わっていたのです。前職はなんと農林水産省の職員。在任中に外務省に出向し、一等書記官としてタンザニアに赴任しました。現地で過ごす中で、タンザニアの気候や自生している植物が地元の奄美大島そっくりだったことにインスピレーションを受けたそうです。帰国後に農林水産省を退職し、バニラの国産化を目指して事業を立ち上げました。現在の農園の場所を確保した後は、一から手作業で農地の開墾を始めたとのこと。

年々生産者が高齢化していく地元に、持続可能で付加価値の高い新しい農業に挑戦する思い、そして何より奄美大島の若い世代へ道を切り開こうとする姿に、ほとばしる熱意を感じました。

合同会社AMAMIバリュープロデュースでは、より多くの人にバニラビーンズについて知って欲しいとの思いから、観光農園サービスを実施しています。バニラビーンズの栽培状況や、林さんのプロジェクトを詳しく知りたい人は、合同会社バリュープロデュースの公式HPからお申し込みください。

奄美バニラ観光農園(見学)
鹿児島県奄美市笠利町(見学の場合は予約確定時に集合場所を通達)
営業時間:午前の部(9:00~11:30)午後の部(13:30~16:00)
定休日:日曜日
料金:一人当たり2,000円/人 ※中学生以下は無料
予約方法:人数、希望の日時と併せて公式サイトお問合せフォームから予約可能
公式サイト:https://eternal-vanilla.com/about/amami-vanillabeans-project/
公式Instagram:https://www.instagram.com/amami_vanillabeans_project/

インドネシア直輸入のバニラを用いた贅沢なスイーツを味わおう

2023年には、農園からほど近い場所にカフェ「AMAMIバニラファームカフェPolePole(ポレポレ)」をオープン。
カフェPolePole

注目すべきはカフェの敷地の広さ。駐車場とは別に、木陰の飲食スペースや砂場、ブランコなどがあります。また、ドラゴンフルーツや島バナナなど、奄美大島ならではのフルーツの木が植えられていて、南国らしい雰囲気が漂います。

polepolem木陰

polepole外の様子

polepole外の様子②

polepoleのブランコ

カフェでは、インドネシア直輸入の高品質バニラを用いたメニューを提供しています。
取材の後日、プライベートで店舗を訪れ、スイーツを注文してみました。

アイスラテとバスクチーズケーキ
まずは、カフェラテ(Ice・550円)とバスクチーズケーキ(550円)。チーズケーキはしっとりと滑らかな味わいであっという間に食べ終えてしまいました。

バニラチャイ
こちらは、バニラチャイ(630円)。カルダモンやクローブといった複数のスパイスに、バニラと奄美の島ザラメをミックス。バニラの風味が際立つまろやかな飲み口でした。チャイを覗くとバニラシードが浮かんでいます。

バニラジェラート
そしてこちらはバニラリッチジェラート(450円)。アイスクリームの至る所にバニラシードが見え隠れします。盛り付けのバニラビーンズもユニーク。

今後、農園の栽培が順調に進めば、カフェでも自社栽培のバニラを用いる予定とのこと。国産バニラを使ったスイーツもいつか堪能できるかもしれません。

カフェは奄美空港から車で約10分ほどの距離に位置しています。長旅からのリフレッシュや、奄美観光の最後のひとときを「AMAMIバニラファームカフェPole Pole」でゆっくり過ごしてみてはいかがでしょうか。

AMAMIバニラファームカフェPole Pole
奄美市笠利町和野942
営業時間:11:00〜16:00(フードL.O.15:00、ドリンクL.O.15:30)
電話番号:080-8367-8754
定休日:月曜日、火曜日 ※詳細はInstgramで確認を
公式Instagram:https://www.instagram.com/vanilla_farm_cafe_polepole/

[Photo by しげたまこと]

 


 

PROFILE

しげたまこと

Makoto Shigeta ライター

在外教育施設の教員として、タイと中国の日本人学校に通算8年間勤務。2022年に帰国し、ライターとして活動を始める。出身は奄美大島。ついつい気になってしまう旅先は国境と島。

在外教育施設の教員として、タイと中国の日本人学校に通算8年間勤務。2022年に帰国し、ライターとして活動を始める。出身は奄美大島。ついつい気になってしまう旅先は国境と島。

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