
石川県立図書館とは?

石川県立図書館は、2022年に金沢市小立野へ移転オープンした県立図書館。そのルーツは古く、1879(明治12)年に石川県勧業博物館内に設けられた図書室で、前田家の蔵書3万余冊を中心に公開したことにまで遡ります。140年以上前から続く歴史を受け継ぎながら、新館では、本を借りるためだけではなく、公園のように目的がなくてもふらりと訪れることができる場所へ。館内には本棚や閲覧席だけでなく、カフェやイベントスペース、モノづくり体験スペースなども設けられています。
その人気は数字にも表れており、来館者数は都道府県立図書館として2年連続で日本一。今や図書館という枠を超え、多くの人が足を運ぶ金沢の注目スポットとなっています。入館は無料で、本を借りなくても自由に館内を見て回れるので、金沢観光の途中に気軽に立ち寄れるのも嬉しいところ。観光名所巡りを一通り終えた後に一息つくのにもおすすめです。
本のページをめくるような外観

まず注目したいのが、ひと目では図書館とは思えない特徴的な外観。建築を手掛けたのは、建築家・仙田満が率いる株式会社環境デザイン研究所です。
タイル張りの外壁と大きなガラス面が交互に折り重なるように配置されたデザインは、本のページをめくる様子をイメージしたものなのだそう。見る角度によって表情が変わるので、館内に入る前に建物の周囲をぐるっと散歩してみるのもよいですね。
仙田氏はこの図書館について、「公園のように散策、思索、交流ができ、圧倒的な量の本に囲まれる劇場のような図書館」と表現しています。外観だけでなく、館内を歩きながら本や人、空間と出会うことまで含めて設計されているのが、この図書館の大きな特徴です。
まるで円形劇場!圧巻の「グレートホール」
床面から約15mの開放的な吹き抜け
館内に足を踏み入れると、仙田氏の言葉にある「劇場のような図書館」を象徴する空間が目の前に現れます。それが、中央に広がる「グレートホール」。大きな吹き抜けを囲むように書架や閲覧席が段状に連なり、まるで円形劇場のような空間が広がっています。1階から上へ続く360度の書架には、およそ8万冊の本が並びます。
さらに館内全体では、書架から直接手に取って閲覧できる本が約30万冊。圧倒的な量の本に囲まれながら、気になる一冊を自由に手に取ることができます。
天井は、加賀藩主・前田家の歴史的建造物「成巽閣」の「群青の間」をイメージしている
フロア同士は階段やエスカレーターだけでなく、ゆるやかなスロープやブリッジでもつながっていて、書架を見ながら歩いているうちに、いつの間にか違うフロアにいる仕掛け。建物の中を散策するように巡れる建築も魅力です。
「12のテーマ」から思いがけない一冊と出会う

石川県立図書館が大切にしているのが、「本との出会い」です。グレートホールに並ぶ本は、一般的な図書分類だけではなく、「暮らしを広げる」「好奇心を抱く」「日本を知る」など、身近な12のテーマを切り口に選ばれています。
たとえば「世界に飛び出す」には、旅のガイドブックだけでなく、各国の歴史や文化、文学にまつわる本も一緒に並びます。12のテーマのひとつ、「里の恵み・文化の香り~石川コレクション~」には、里山里海や伝統文化など、石川県について知ることのできる資料がずらり。工芸や食、城下町、芸能など切り口もさまざまで、旅先でその土地についてもう少し深く知りたいときにのぞいてみるのもおすすめです。
欲しい本を一直線に探すというより、書架を巡るうちに普段なら選ばないジャンルへと興味が広がっていく。そんな偶然性を取り入れた本の並べ方も、この図書館ならではです。

館内各所には、「図書検索機」「セルフ貸出機」「座席予約機」の3つの機能をまとめた「セルフステーション」も設置されています。読みたい本を探したり、借りたい本を自分で貸出処理したりできるほか、グループ活動室やインターネットコーナーなどの座席予約もここで完結。広い館内をより快適に使うための便利な設備です。
約500席!お気に入りの場所を探してみる
書架と書架の間にも、腰掛けられるスペースが。席探しに困ることはなさそうです
閲覧エリアに用意されている席は、なんと約500席! 机に向かってじっくり本を読める場所から、ゆったり腰掛けられるソファ、吹き抜けを見渡せる席まで、過ごし方に合わせてさまざまな場所を選べます。
曲線を活かしたユニークなオリジナルソファ
椅子の種類も豊富で、100種以上あるデザインの中には海外の名作チェアも。インテリア好きにはたまらないラインナップです。「今日はどこで本を読もう?」と、自分だけのお気に入りの一脚を探すのも、この場所ならではの醍醐味です。
館内を見渡しながら最上部へ

3階、4階へと階を上がっていくと、グレートホールを上から見渡せるビューポイントがいくつも現れます。円形に連なる書架や、その間を行き交う人々を見下ろすと、あらためてこの図書館のスケールを実感。階や場所によって少しずつ景色が変わるのも、緻密に設計された建築ならではです。
さらに最上部には、グレートホールをぐるりと囲む「リング」も。1周約160mの回廊式の閲覧空間で、本の歴史をテーマにした資料や写真パネルなどが並んでいます。展示を見ながら、ゆっくり一周してみるのもおすすめです。
読書だけにとどまらない、多彩な過ごし方
おしゃべりOKな「こどもエリア」
講演会や音楽会などのイベントも開催可能な「だんだん広場」
石川県立図書館には、親子で過ごせる「こどもエリア」をはじめ、3Dプリンターやレーザーカッターを使える「モノづくり体験スペース」、料理教室などにも使われる「食文化体験スペース」などもあり、読書以外の体験型スペースも充実しています。
気になる言葉を選ぶと、関連する本が星のように浮かび上がります
中でも注目したいのが、文化交流エリアにある「ブックリウム」。幅15mの大きなウォールスクリーンに、本の集まりを宇宙に見立てたデジタルアートが映し出され、図書館が所蔵する約110万冊の本の世界を表現しています。まるで本がつくる銀河の中を旅しているようなワクワク感があり、見ているだけでも楽しいです。
館内の「HUM&Go#」でひと休み

たっぷり館内を歩いたあとは、1階にあるカフェ「HUM&Go#(ハムアンドゴー)」でひと休み。コーヒーなどのドリンクのほか、食事やスイーツもそろっています。
「サーモンとアボカドのセビーチェ丼」1,400円
ランチにおすすめなのが「サーモンとアボカドのセビーチェ丼」。脂ののったサーモンとまろやかなアボカドに、爽やかな酸味がよく合い、さっぱりと食べられる一品です。
「自家製プリン」480円
甘いものが欲しくなったら「自家製プリン」もぜひ。なめらかな口当たりとほどよい甘さで、コーヒーとの相性も抜群です。
カフェだけの利用もでき、一部メニューはテイクアウトも可能。本を読んだり館内を巡ったりした後に、ゆっくり余韻に浸りながら過ごすのにもぴったりです。
アクセス・開館時間は?お出かけ前にチェック
石川県立図書館へ公共交通機関で向かう場合は、JR金沢駅から北鉄バスを利用するのが便利。金沢駅兼六園口(東口)6番のりばからバスに乗り、「崎浦・県立図書館口」で下車。バス停から図書館までは徒歩約3分です。
本を探すことはもちろん、建築そのものに触れたり、お気に入りの椅子でひと息ついたり、その日の気分に任せて館内を巡ったり。図書館という枠を超えて、思い思いの時間を過ごせる石川県立図書館。金沢を訪れたら、少し時間をとってゆっくり館内を歩いてみてはいかがでしょうか?
住所:石川県金沢市小立野2丁目43番1号
電話:076-223-9565
開館時間:
火~金曜 閲覧エリア 9:00~19:00/文化交流エリア 9:00~21:00
土・日曜・祝日 9:00~18:00
休館日:月曜日(休日の場合は翌平日)、年末年始、特別整理期間
