富山県の南西部、南砺(なんと)市に井波という地区があります。市町村合併する前は井波町としてまとまっていましたが、その人口1万人ほどの小さな町に今でも200人ほどの現役の彫刻家が暮らし、彫刻の仕事で生計を立てているとしたらどうでしょうか? ちょっと興味がわきますよね。
そこで今回は地元の方や各種資料の情報を参考に、彫刻の町・井波の魅力を紹介したいと思います。人間国宝や日展の入賞者・特選受賞者を次々と輩出し、映画のロケ地としても取り上げられながら、まだまだ全国的な知名度は低いです。行くなら今のうちかもしれませんね。
井波には200人近くの現役彫刻家が暮らしている
富山県在住の方であれば井波=彫刻の町と認知していますが、まだまだ全国的な認知度は高くありません。しかし、同地は冒頭でも触れたように現役の彫刻家が200人近く暮らし、制作活動を行っている彫刻の拠点。
(C) 坂本正敬
今でも町を歩けば、通りに面したそこかしこの工房で、彫刻家が欄間(らんま)や社寺の彫刻、獅子舞の獅子頭、ついたてなどを彫っています。
また、彫刻産業において全国一の規模を誇る一方で、各人がアートとしての創作活動も行っており、日展入賞者を次々と輩出しています。そうした井波に根付く彫刻文化が、1975年には国の伝統芸能に指定されました。
井波彫刻、あるいは井波という町の面白さは、若手育成制度にもあります。現代は芸術や芸能を美術大学・芸術大学で教える仕組みが全国的に整っていますが、井波にはまだ徒弟制度、言い換えれば弟子入りの制度が残っているとか。
1945年に創設された木彫刻の職業訓練校・井波彫刻工芸高等職業訓練校も存在し、全国各地から若い彫刻家が集まってきています。
当然、卒業生の多くは井波に残り、彫刻活動を継続します。古くから伝わる井波彫刻が新しい世代へと着実に受け継がれていく制度がしっかりと整っているからこそ、今でも200人近い彫刻家が井波の町に暮らし、制作活動を続けていられるのですね。
お寺の再建のために呼ばれた御用彫刻師が彫刻を広めた
そもそも井波で彫刻が盛んになった理由は、町の中心にある井波別院瑞泉寺(ずいせんじ)にあります。京都の東本願寺、西本願寺などに続き、日本で4番目に大きな本堂を抱える名刹(めいさつ)ですが、この瑞泉寺は1763年に焼失した歴史を持ちます。
その再建にあたり、京都本願寺の御用彫刻師が井波に訪れ、地元の宮大工に彫刻の技術を伝えたところから、彫刻の町としての歴史がスタートします。今でもその再建時の彫刻がお寺のあらゆる場所で見られますので、現代を生きる彫刻家も、創作活動に迷ったらお寺をお手本とするため参拝するとか。
観光地としては、瑞泉寺の門前町が主要エリアになります。特に八日町通りと呼ばれる石畳の道には、工房のみならず、酒造、土産物屋、飲食店などが並んでいます。八日町通りの入り口には大きな駐車場もありますので、自動車での訪問が便利。
東京や関西方面からの人は北陸自動車道の砺波I.C.、名古屋方面の人は東海北陸道の福光I.C.から向かってみてください。駐車場は有料ですが、観光エリア内で飲食などをすれば無料になります。ぜひとも古き良き町並みを利用した飲食店にも足を運んでみてくださいね。
以上、現役の彫刻家が200人以上も暮らす井波の町を紹介しました。同地は環境庁によって「残したい日本の音風景100選」にも選ばれています。200本近くあるのみと彫刻刀を使って作業をする彫刻家の作業風景を自由に見学できますので、ぜひとも木彫りの音を楽しみに、あるいは彫刻家との会話を楽しみに、足を運んでみてください。
[八日町通り – とやま観光ナビ ]
Masayoshi Sakamoto 翻訳家/ライター
翻訳家・ライター・編集者。東京生まれ埼玉育ち。成城大学文芸学部芸術学科卒。現在は、家族と富山に在住。小学館〈HugKum〉など、在京の出版社および新聞社の媒体、ならびに〈PATEK PHILIPPE INTERNATIONAL MAGAZINE〉など海外の媒体に日本語と英語で寄稿する。 訳書に〈クールジャパン一般常識〉、著書(TABIZINEライターとの共著)に〈いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日〉など。北陸3県のWebマガジン〈HOKUROKU〉(
https://hokuroku.media/ )創刊編集長。その他、企業や教育機関の広報誌編集長も務める。文筆・編集に関する受賞歴も多数。
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