
街の電気屋さんが駄菓子屋を兼ねている
富山市内にある「トイ・スクエア橋本」という卸問屋さん。小売店と間違えて伺ってしまったのですが、日本中の駄菓子屋を訪ねているという事情を伝えると、卸先の小売店を快く複数紹介してくださいました。個人的に「駄菓子屋が多く残る街には元気な問屋さんがある」という説を推しているのですが、富山市はこちらの問屋さんが駄菓子屋文化を下支えしてくれているようです。
いくつか紹介していただいた中で、珍しいスタイルで営業しているお店がありました。富山駅から4キロほど東の、田畑のまじる住宅街にある電気店です。街の電気屋さんが駄菓子屋を兼ねているという話は聞いたことがなかったので、どういう経緯でそうなったのかがとても気になり、日暮れ間近でしたが、その日のうちに訪ねてみることにしました。

お店の外観は完全に街の電気屋さんで、駄菓子と書かれたノボリは立っていますが、事前の情報がないと駄菓子屋とはわからない雰囲気。店内に入ると駄菓子売り場と飲食スペースがほとんどを占めていて、たしかに駄菓子屋でした。品物を取りやすいように工夫された傾斜のある陳列棚や、豊富にそろえた当てクジや金券クジの数々は、子どもたちへの気遣いや愛情を感じます。売り物の大型液晶テレビは、電気店の展示品という枠を越えて、家庭のリビングのような居心地の良さを生んでいました。
地域の子どもたちを育むランドマーク

でんきやSUNはまもとは、2011年に店舗内を改装して現在の形にしたそうです。本業は電気店のままで、地域の児童委員(民生委員)の店主とそのご家族が「子どもたちの人付き合いの輪が広がるきっかけになれば」と、利益はあまり求めず運営しているとのこと。基本的には店主ご夫妻の娘さんが駄菓子屋部門を担当しているそうです。
「長年児童委員をする中で、子どもたちの活動がすごく限定的なことに気付いて、それを解消する一助になればと思って始めました。まだ始めてそんなにたたないから、『通ってくれてた子が親になって子どもを連れてきた』みたいなのはないけれど、男の子がいつの間にか声変わりしてたり、学生が社会人になったり、子どもたちの成長を感じられるのが電気店とはまた違った面白いところですね。店に愛着を持ってくれてる子も多いので、長く続けていきたいです」
中学生が待ち合わせに使っていたり、テーブルで宿題をやっている子もいる。店内でハメを外しすぎた子は普通に怒られていました(笑)。このお店はランドマークにもなり、家庭の機能の一部も持ち、モラルやマナーを教えてくれる大人がいます。昔ながらの駄菓子屋が持つエッセンスがそのまま反映された、新しい駄菓子屋。こんなお店が日本各地で増えていってくれたらいいな、旅の中でたくさん出会いたいなと願ってやみません。
でんきやSUNはまもと
住所:富山県富山市鍋田13-28
電話:076-451-9233
営業時間:8:00~19:00
定休日:水曜・第2日曜
[All photos by Atsushi Miyanaga]

Atsushi Miyanaga
駄菓子屋いながき店主。1979年生まれ。経営していた学童保育を事業譲渡し、その後、息子と二人で日本一周駄菓子屋巡りの旅へ。超高齢化や後継者不足、利益率の低さなど、店主から語られる昔ながらの駄菓子屋の窮状を知り、なんとかこの文化を未来に繋げられないかと埼玉県加須市に駄菓子屋を開業。発達障害のシングルファザーですが、周囲の助けもありなんとか楽しく生活しています。
【日本の美味探訪】心に残る富山県のご当地グルメ3選
Dec 9th, 2020 | 青山 沙羅
北から南まで全国47都道府県、日本には各土地の気候や文化に根付いたおいしいものがたくさんあります。この土地では何がおいしいの?ご自慢の郷土食は?旅に出たら、あなたの住んでいるエリアでは味わうことができない未知の美味を味わいたいですよね。あなたの旅がより楽しいものになるように、全国47都道府県各々のご当地グルメを3つセレクトしてみました。今回は富山県です。
いながきの駄菓子屋探訪16富山県富山市「でんきやSUNはまもと」電気店を
Oct 17th, 2020 | 駄菓子屋いながき 宮永篤史
全国約250軒の駄菓子屋を旅した「駄菓子屋いながき」店主・宮永篤史が、「昔ながらの駄菓子屋を未来に残したい」という思いで、これまで息子とともに訪れた駄菓子屋を紹介します。今回は富山県富山市の「でんきやSUNはまもと」です。
【地方の美味を自宅で】富山県のお取り寄せグルメ5選
Jun 10th, 2020 | TABIZINE編集部
緊急事態宣言は解除されたものの、まだまだ旅行には行きづらい日々が続いています。そんな中、食べ物だけでも旅行気分を味わってみてはいかがでしょうか。今回は富山県からおすすめのお取り寄せグルメをご紹介。海の幸から、ご当地ラーメンまで。こんな時だからこそ、たまには料理をちょっとお休みしてお取り寄せをぜひ。
賞味期限は10分!?幻のチーズケーキ「アルペンチーズケーキ」
Apr 27th, 2020 | Katie
富山県にある黒部渓谷の麓にチーズケーキの専門店「アルペンチーズケーキ」が新しくオープン!ふんわり雪のような口どけが特徴で、なんと賞味期限10分の「幻のチーズケーキ」は連日完売となっています。どんなチーズケーキなのか、一度食べてみたいですね。
どら焼きを〇〇すると美味しい!新しいどら焼き「ホットドラバター」
Dec 27th, 2018 | Chika
老舗和菓子店「中尾清月堂」から新商品であるホット専用のどら焼き「ホットドラバター」が発売されました。レンジで温めてトロトロになったあんと、皮に染み込むバターを楽しむ、新食感のどら焼きです。味はバター、クリームチーズ、アーモンドチョコの3種類。
シュークリーム&スペシャルティコーヒー!元パン屋をリノベした人気カフェ
Jul 27th, 2018 | 坂本正敬
金沢旅行のついでに、あるいは立山・黒部や富山市観光のついでに立ち寄りたい、富山県の高岡。高岡観光の際おすすめの元パン屋をリノベーションした富山の人気カフェ『COMMA, COFFEE STAND(コンマ コーヒースタンド)』をご紹介します。
ホタルイカの旬が到来。富山の漁まで追いかけて知った衝撃の事実!
Apr 6th, 2018 | 鳴海汐
富山ではゴールデンウィークまでホタルイカ漁を見学できます。しかし、新鮮なホタルイカを求めて現地へ赴いた筆者に明かされる衝撃の事実。ホタルイカは丸ごと生で食べる人はいないそう。業務用の冷凍庫で数日冷凍しないと感染症にかかる危険があるのだとか。
コーヒーとバターチキンカレーがおいしい! 富山の古本屋ジンジャーラーメン
Feb 12th, 2018 | 坂本正敬
富山市の中心からも近い『ジンジャーラーメンブックス』。元ラーメン屋が入っていた店舗で古本とコーヒーとカレーを出すお店です。夜遅くまでやっていますので、絶好の立ち寄りスポット。そのユニークなお店の様子と店主さんの想いを現地ルポいたします。
【お土産グルメ】北陸で人気のひんやりスイーツおすすめ5選
Jul 1st, 2017 | 坂本正敬
そろそろ夏が近づいてきましたが、こうなってくるとヒンヤリとした食べ物を口にしたくなりますよね?
そこで今回は北陸に暮らす筆者が、北陸で人気のひんやりスイーツを5つ、厳選して紹介したいと思 ... more
グリーンラーメンも!7色20品目ある「とやまのカラーフード」とは?
Sep 5th, 2016 | 坂本正敬
富山県のブラックラーメンという食べ物をご存じですか? 過去記事「【B級グルメ】黒醤油ラーメン、通称「富山ブラック」の名店はここ!」でも触れたように、スープが真っ黒になるほど濃いしょうゆラーメンです。
... more