ここ数年、「観光列車」がブームになっています。2015年から今年にかけてだけも「或る列車」(JR九州)、北海道の「ながまれ号」(道南いさりび鉄道)などがデビューしていて、日本全国で新しい観光列車が誕生しています。そんななか、ひときわ美しい観光列車が新潟県に現れたのでご紹介したいと思います。
まるで芸術品!新潟県の美しい自然に映える車体
こちらが、今年4月に新潟県で運行を開始した「えちごトキめきリゾート 雪月花」。まるで漆塗りのように艶やかな朱色の車体に桜の花びらが施された、美しい2両編成の電車です。新潟県上越市にある上越妙高駅と糸魚川駅を結ぶ道のりを、妙高高原を経由しながら約3時間のんびりと行く旅が楽しめます。
雪を残した妙高山脈を背景にすると、その車体の美しさがひときわ引き立ちます。
海の青と「えちごトキめきリゾート 雪月花」の赤が、何とも言えずに絵になりますね。思わずため息が出てしまいます。外側から車体を見るのも楽しいですが、もちろん車内の乗客も、走行中は新潟県の風光明媚な自然をたっぷりと目で楽しむことができます。
ホテルのラウンジのようにラグジュアリーな内装
けれど、美しいのは外側だけではありません。「えちごトキめきリゾート 雪月花」は、ラグジュアリーな内装でも乗客をもてなしてくれるのです。
こちらが、定員23名の1号車の車内。木目が鮮やかな地元の越後杉をふんだんに使い、車窓に映る自然との調和が図られています。そして座席が美しい日本海と妙高山側を存分に眺められるように配慮されたラウンジ形式。地元の地形を知り尽くしたうえでの、嬉しい心配りです。ちなみに、大きな窓には遮熱性があり、紫外線透過率0.01%以下というUVカットガラスが使われています。日差しを気にする女性にも安心ですね。
更に、1号車には展望ハイデッキというスペシャルな空間が。この場所は指定席ではないので、乗客は誰でもここに来てダイナミックな眺望を楽しめるのだとか。
こちらが、定員22名の2号車の様子。大きなテーブルとゆったりした座席で、レストラン・カーのスタイルをとっています。
2号車には最大定員4名の展望ハイデッキ・コンパートメントも。半個室のようなプライベート空間になるので、美しい景色が動いていなかったら電車の中にいることを忘れてしまいそうですね。
また、2号車の半分は「さくらラウンジ」というカフェ・バーになっていて、沿線の地酒やワインなどを楽しめるのだとか。特に日本酒は、上越・妙高・糸魚川の20蔵元20銘柄の地酒が用意されているそうなので、今まで知らなかった名酒に出会えるかもしれません。お土産にもいいですね。
「えちごトキめきリゾート 雪月花」の車内はどこをとっても美しく、芸術鑑賞をしている気分になれますが、やはり旅行と食事は切り離せません。実はこの観光列車、お食事も超一流の味を車内で味わえるんです。
新潟の旬の食材を楽しめる二つのお重弁当
「えちごトキめきリゾート 雪月花」の午前便のお食事を監修しているのは、ミシュラン二つ星の六本木のレストラン「RESTAURANT Ryuzu」オーナーシェフ飯塚隆太氏。十日町市出身で地元の素材を知り尽くした飯塚シェフが、新潟の新鮮な食材をフレンチに昇華させた、お重スタイルのお弁当なのだとか。
例えば、写真手前の三の重に入っているサンドイッチには、妙高市の伝統的な香辛調味料「かんずり」が使われているそう。地元である妻有ポーク自家製ハムの優しい甘みと、ピリッと辛いかんずりがマッチして、意外なおいしさを作り出しているといいます。うーん、食べてみたい!
女性に嬉しいデザートも用意されています。四季折々の旬の食材で作られるそうなので、すべての季節に試してみたいですね。
折り返しの午後便は、午前便の洋食とは趣が変わり、和食のメニュー。江戸時代創業の糸魚川の老舗割烹「鶴来家」五代目主人である青木孝夫氏が監修されています。新潟の旬の食材をふんだんに使った和食のフルコースで、季節ごとに食材やメニューが変わるそうなので、どの季節に来ても新鮮に楽しめますね。
新潟県の美しい自然と旬の恵みを同時に、しかも存分に堪能できる「えちごトキめきリゾート 雪月花」。上越妙高駅と東京駅は北陸新幹線を利用すれば2時間強という好アクセスなので、機会があればぜひ乗ってみたいですね。
[All photos by ICHIBANSEN / nextstations]
[えちごトキめきリゾート 雪月花]
[ICHIBANSEN / nextstations]