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ドイツ移住のきっかけ
2015年11月にドイツに移住し、9か月が経ちました。ドイツに移住したのはドイツ人の婚約者と一緒に暮らすためです。婚約者がワーキングホリデーで日本に滞在していたときに知り合いましたが、彼が大学進学を控えていたため、日本かドイツどちらで暮らすかという問題に直面しました。
彼の日本語力が日本の大学で勉強できるほど高くはなかったこと、彼がドイツの大学の入学資格をすでに持っていたうえに、ドイツの大学の学費が無料であることを考えるとドイツの大学に通うのが最善であると判断し、当面のあいだドイツで暮らすことを決めました。
ドイツに住んで良かった点
ヨーロッパの真ん中にあるドイツに住む特権だと感じるのが、ヨーロッパ各地を安く簡単に旅行できること。ヨーロッパはLCC(格安航空会社)の競争が激しいため驚くほど安く航空券が手に入りますし、バスや鉄道など陸路での旅行もできます。これは陸続きのヨーロッパならではの醍醐味ですね。
もっと日常の生活に目を向けるなら、外国人に対する同調圧力がほとんど感じられないことが挙げられます。ナチス時代の人道への罪に対する猛烈な反省もあって、現在のドイツは異なるバックグラウンドを持つ人々を尊重する意識が強い国。そのためドイツで生活しているからといって、必ずしもドイツ語を上手に話しドイツ人のように振る舞うことを期待されるわけではないのです。
北東部(旧東ドイツ)ではやや事情が異なるようですが、筆者が暮らす南西部では人種差別ではないかと感じるような経験をしたこともありません。その意味で、安心して日常生活が送れるのはありがたいと感じています。
女性視点ではオーガニックコスメが安いのも魅力。日本でも見かけるドイツのオーガニックブランド「lavera(ラヴェーラ)」やスイスブランドの「WELEDA(ヴェレダ)」をはじめオーガニックコスメが充実していて、値段も日本価格の2~3分の1という驚きの安さ。ドイツは自然派コスメが好きな女性にはたまらない国といえます。
また、子育て中のドイツ在住日本人の知人はみな「ドイツは子育てがしやすい」と口を揃えます。小さな子ども連れやお年寄り、妊婦、障がい者など、特別な気遣いを必要とする人々を社会全体であたたかくサポートするドイツ社会には日本も見習うべき点があると感じています。
ドイツに住んで大変だった点、日本の方がいいと思う点
同じように「先進国」と呼ばれてはいても日本のほうが圧倒的に便利だと感じます。たとえば、ドイツでは日曜・祝日にはスーパーも含めほとんどすべてのお店が休業します。基本的にドイツにはコンビニはありませんから、開いているのはレストランやカフェ、一部のベーカリー、一部の薬局くらいです。食料品や日用品の買い物の心配を一切する必要がなかった日本はなんて便利な国だったのかと痛感する日々です。
あらゆるサービスの面でも日本のほうが優れています。ドイツではサービスをする側と受ける側は対等であり、日本のように「お客様を敬う」といった感覚はないので、日本の手厚いサービスに慣れていると不満に思うこともあります。そんなときは「ドイツで日本と同じようなサービスを期待してはいけない」と自分に言い聞かせています。
しかし、筆者が最もエネルギーを費やしているのは「食」の問題かもしれません。人によって感じ方は違うと思いますが、ドイツ料理は日本人にとっては「重い」と感じることが多く、日本人の好みや体質にあまり合っているとはいえません。
そのため筆者は外食はあまりせず自炊が中心。作るのは日本食含めほとんどがアジア料理です。とはいっても、ドイツでは手に入らない食材や調味料もたくさんありますし、手に入ったとしても日本からの輸入品は日本価格の2~4倍という高級品。作る料理のレパートリーがどうしても限られてしまうのが困りものです。筆者以外にも「食事が一番辛い」と言っているドイツ在住日本人は少なくなく、「食」はドイツに暮らす日本人にとって一つの難関といえそうです。
ドイツ在住者のおすすめ観光スポット
「観光の国」と言われるだけあって、ドイツには日本人があまり知らない魅力あふれる街が点在しています。
そのひとつがドイツ中北部、ハルツ地方にある世界遺産の小さな街、ゴスラーです。銀鉱の採掘に伴って発展した歴史をもつ街で、建物の3分の2が1850年よりも前につくられたという旧市街はまさに時間が止まってしまったかのよう。
ほかにもゴスラーがあるハルツ地方には、愛らしい木組みの家々が並ぶ世界遺産の街、クヴェトリンブルク、とんがり屋根の市庁舎が絵本の世界を思わせるヴェルニゲローデといった魅惑の街々があり、今まで知らなかったドイツを発見するのにぴったりのエリアです。
そして、筆者お気に入りの街のひとつがドナウ河畔の古都レーゲンスブルク。ミュンヘンから鉄道またはバスでおよそ一時間半という訪れやすい場所にあるのも魅力で、ミュンヘンからの日帰り旅行も十分可能です。ドナウ川に面し重厚な大聖堂やカラフルな建物の数々が並ぶ旧市街は世界遺産にも登録されています。街の雰囲気がいいので、好奇心のままに趣ある路地を散策しているだけでとっても楽しい気分になれますよ。
レーゲンスブルクを訪れたら、ドイツ最古というソーセージ店「Historische Wurstküche(ヒストーリッシェ・ヴルストキュッヘ)」に立ち寄るのをお忘れなく。外はカリッ、中はジューシーな名物の炭火焼きソーセージは絶品です。
ドイツ人との恋愛・結婚のメリット・デメリット
筆者は女性なので、女性目線でドイツ人男性との恋愛・結婚についてお話したいと思います。ドイツ人男性との恋愛・結婚のメリットの一つに、言葉や態度で日々愛情を表現してくれることが挙げられます。日本人男性がなかなか言わないような愛の言葉もサラッと口にしますし、パートナーの女性がハッピーでいられるよういつも気を配ってくれます。家事や育児も分担が当たり前。
一般的に、ドイツ人男性はロマンティックな演出などが得意とはいえませんが、そのぶん真面目で誠実な人が多いです。パートナーをとても大切にするので、ひとたびステディな関係になれば安定したお付き合いができる可能性が高いといえるでしょう。
欧米人男性らしい豊かな愛情表現や気配りと、日本人男性のような真面目さを兼ね備えたドイツ人男性は、日本人女性と好相性といえるのではないでしょうか。
相手が外国人であっても結局は二人の相性の問題なので、筆者自身はパートナーがドイツ人であることに特別なデメリットは感じていません。あえて言うならば、ドイツでは高価なプレゼントを贈ることは一般的ではないので、豪華なプレゼントは期待できないことくらいでしょうか。しかし、そのかわりに日々まごころをプレゼントしてくれるので慣れてしまえば心地いいものです。
ほかにデメリットと言えるのは、結婚となった場合に手続きが面倒なこと。日本人同士の結婚に比べ国際結婚の手続きが面倒なのは相手の国籍を問わずいえることですが、ドイツ人との結婚手続きは手間のかかる部類に入ります。相手がドイツ人というだけで結婚にお金も時間もたっぷりかかるのは納得がいきませんが、こればかりはどうしようもありませんね。
ドイツ人に言うと喜ばれる言葉
ドイツ語と英語が似ているうえ、英語のほうが文法などがシンプルなので、ドイツ人は概して英語が上手です。そのためドイツ人は、外国人旅行者がドイツ語を話すことをほどんど期待していません。だからこそドイツ語はわからないだろうと思っていた旅行者が少しでもドイツ語を話すと喜ばれることが多いもの。
英語が通じるからといって英語だけに頼らず、お礼を言うときはドイツ語で 「Danke.(ダンケ=ありがとう)」と言ってみてください。「ドイツ語が話せるの?」と聞かれたら、「Ein bisschen.(アイン ビスヒェン=少し)」と答えれば、「あら、ドイツ語がわかるのね!」と喜んでもらえるかもしれません。「さようなら」は「Auf Wiedersehen.(アオフ ヴィーダーゼーエン)」ですが、これはややかしこまった表現なので、英語の「バーイ」にあたるカジュアルな表現、「Tschüs(チュース)」でも十分です。
いくら英語ができても現地の言葉を少しでも話そうとする姿勢に好感をもつのはどこの国の人であっても同じこと。ドイツに行ったら、ドイツ語を使って「ドイツに興味がある」「ドイツの人々と交流したい」という気持ちを表現してみてください。
在住者から見たドイツ、いかがでしたでしょうか。みなさまのドイツに対する理解や興味が少しでも深まったようでしたら嬉しいです。
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