(C) Misako Treutel
日曜日の朝8時。シアトルではまだ肌寒い時間帯から、長蛇の列ができるお店があります。その名はMorsel(モーソル)。一体どんなお店なのでしょう?
ビスケットの専門店
モーソルは、ビスケットの専門カフェです。
ビスケットは、イギリスや日本ではお菓子のクッキーのことを指しますが、アメリカではラードやバターミルクを使ったパンのようなもの。アメリカ南部でよく食べられており、イギリスのスコーンがルーツといわれています。
オムレツやソーセージなどに添えて食べる、朝ごはんの定番です。日本では、ケンタッキー・フライドチキンのメニューでおなじみですよね(ちなみにケンタッキーは、アメリカ南部ケンタッキー州生まれです)。
メニューはシンプルに、ビスケットのみ
アメリカで朝ごはんを食べようと思ったら、大量のメニューと格闘しなければなりません。オムレツ、パンケーキ、フレンチトースト、ワッフルにハンバーガー、シナモンロール。いろいろ選べるのは楽しいのですが、メニューを眺めているだけで時間が経ってしまいます。
対してモーソルが提供するのは、シンプルにビスケットのみ。ビスケットに全力を注いでいるためか、その味は単なるオムレツの添え物の域を超えています。さくさくと香ばしく、かつリッチさもあり、「今まで食べたビスケットの中で一番おいしい!」という人が多いのも納得です。
トッピングはすべて自家製
(C) Misako Treutel
ビスケットには、オリジナリティあふれるトッピングを追加することができます。トマトジャム、アップルバター、ベーコンジャムなど、名前を聞くだけでワクワク。どれも自家製です。
写真はバルサミコ風味のいちごジャム。丸ごといちごがごろっと何粒も入っています。
驚きのアレンジメニュー
オリジナリティがあるのは、トッピングだけではありません。ビスケットを食事風にアレンジしたメニューも、ここ以外ではお目にかかれないものばかりです。ゴートチーズ(山羊のチーズ)、トマトジャム、きゅうりのスライスをはさんだビスケットは、酸味のあるチーズがサクサクのビスケットにじんわり染みて、とってもおいしい。
ビスケットは前述の通りソーセージをはさんだり、グレイビーソースをかけたり、あるいはジャムをつけたりというのが定番の食べ方なので、モーソルの奇抜なアレンジには驚かされます。
コーヒーにうるさいシアトル人も満足の一杯
コーヒー豆は、Velton’s Coffeeのものを使用しています。焼きたてのビスケット、そして挽き立てのコーヒー豆の香りを胸いっぱいに吸い込むと、一日の活力がもりもり湧いてきます。コーヒー以外にも、「シアトル・ソーダ」なるソーダや絞り立てのオレンジジュース、レモネードなどドリンクメニューが豊富にそろっています。
シアトルで朝ごはんを食べるなら、ぜひモーソルへ。行列に並ぶのは必至ですが、それだけの価値があります。
Misako Treutel ライター/翻訳業
1986年生まれ。大学では英米文学・英語学を専攻していたが、授業そっちのけで留学、国際インターンシップ、旅に明け暮れる。大学卒業後は出版社に入社し、約80点書籍を制作。2015年に退社し、現在は米国シアトル在住。
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