世界的にも有名な車産業や先進医療、そして無料の福祉制度などがあるドイツは現在日本と並ぶ世界でも安定した豊かな国です。
そんなドイツですが、一言で表現するのであれば「古いもの好き」につきます。世界中でテクノロジーが発展したにもかかわらず、ドイツはその技術に頼りすぎないバランスのとれた生活が成り立っているのです。
営業時間やサービスの違い
世界でも有数の先進国ドイツですが、日本人ならびっくりしてしまうような時代遅れな生活スタイルが残るのも事実。
ネットショッピングで注文した荷物も、日本のように不在票を元にドライバーに電話をする事で、当日中に再配達をしてくれるような夢のようなサービスはありません。不在の際に荷物が届くと代わりに近所の人に荷物が預けられてしまい、その荷物を受け取る為には必然的にご近所さんを訪問しなくてはならないことも。
24時間オープンしているコンビニエンスストアはもちろんありませんし、「日曜日はお店が休みのドイツに学ぶ、シンプルな幸せのかたち」でもお伝えしたように、日曜日にはレストランを除くほとんどの店舗が閉店します。それはまさしく日本の心地よい生活になれた私たちには受け入れがたい生活スタイルかもしれません。
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仕事と自分の時間のバランス
日本の場合はすべてがほぼ完璧で、どんな場所でも安定したサービス受けることができます。しかし一方でその便利さと引き換えに、週末や祝日に深夜まで働かなければいけない人が出てきています。大切な人と過ごす時間や自分の為に費やす時間は、業務時間に潰されてしまっている状態です。
ドイツでの生活の不便さの理由は「人間として生きるために必要な時間を確保する事」を最優先した結果なのです。そのためドイツでは人との集まりをとても大切にしています。成人でも定期的に実家に帰省し家族団らんで週末を過ごすというライフスタイルはごくごく普通です。「優しい嘘。ドイツの老人ホームが用意したニセモノのバス停」では、老人ホームの入居者にとって、家がどんなに帰りたい大切な場所なのかが伝わってきます。
ドイツでは残業という言葉はありませんし、有給休暇となれば月単位で取得が可能なことで知られているかと思います。サービス面でさまざまな不便ながありますが、それに対して文句を言う人は極めて少ないのが現状です。なぜならばみんな同じように休んでいる為「しょうがない」と納得できるくらい心に余裕があるのです。
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「不便さ=生活の質」というわけじゃない
現代でもまだまだ人間味が残る古き良きドイツから学ぶものは多いでしょう。本当に必要なものを本当に必要な分だけ。それがまさしくドイツでの生活です。それはサービス内容に関しても仕事や私生活のバランスに関しても当てはまります。「このままでいいの?日本人〜ドイツより長時間働くのに生産性が低い日本〜」でもお伝えしたように、それでもドイツは日本より生産性が高いというデータもあります。これはちょっと、考えてしまいますよね。
あなたは最近ちゃんと休めていますか? 最後に家族と一緒に過ごしたのはいつですか?
本来であればいたってシンプルだったはずの私たちの生活。便利になりすぎてしまった日常の中でもちょっと立ち止まって客観的に見直してみると色々なムダが見えてくるのではないでしょうか。
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