美瑛
北海道には美瑛という美しい土地があります。丘陵地帯に北海道らしい雄大な展望が広がる人気の観光地で、位置的には大雪山国立公園に指定される石狩山地の西側、富良野と旭川に南北を挟まれるような場所にあります。
その美瑛には水面が青く見える不思議な池があり、外国人観光客も殺到する人気の観光地となっている様子。実際に行ってきましたので、今回は美瑛にある「白金青い池」を紹介したいと思います。
米アップル社Macの壁紙にもなった青い池
日本には、幾つもの青い池、青い沼、青い水面がありますよね。裏磐梯の五色沼や白神山地の十二湖、上高地に至るまで、神秘的な青色の水面を楽しませてくれるスポットの数々が存在しますが、中でも今国際的な人気を誇っている池が、美瑛の白金青い池になります。
米アップル社Macの壁紙に写真が採用されてから、世界的な知名度が高まり、現在の人気となりました。美瑛の白金青い池は、富良野線から道道966線の十勝岳温泉美瑛線に入り、石狩山地の一角、標高2,077mの十勝岳を眺めながら進むと到着します。無料の駐車場に車を停め、5分ほど砂利道を歩くと、木立の間に青い池が見えてくるという手軽な観光地となっています。
太陽光の有無、天候などによって青色の見え方が全く違うようですが、筆者が訪れた日は乳白色と水色が混じった感じ。立ち枯れたカラマツが水中から突き立っていて、水面に陰影を映していました。
池の周りの遊歩道には観光客がぎっしり。多くの人がカメラを構えて美しい青色を記録しようと試みています。正直に言えば、人造の池のせいか、遊歩道の脇にテトラポットが並んでいるため、少し景観に残念な感じがあります。
また、英語ではBlue Pondと翻訳されているように、Pond(沼)といった小ぶりのサイズ感ですから、想像の方が勝っていた感はあります。
ただ、インターネット上の口コミサイトを見ると、かなり高評価を得ている様子。春夏秋冬、時間帯や天候によってさまざまな表情を見せてくれる池だと言いますから、もしかするとたまたま筆者が訪れた日が、劇的に美しい日ではなかったのかもしれません・・・。
白ひげの滝から流れ出るアルミニウムが池の水と混ざり、水面を青く見せる
どうして、白金青い池は青いのでしょうか? そのヒントは、遊歩道沿いに歩くと見えてくる、池の水源とも言える美瑛川にあります。美瑛川の上流のがけからは地下水が白ひげの滝として流れ出していて、その滝に含まれるアルミニウムが関係しているのだとか。
アルミニウムが美瑛川の水の中に流れ込むと、アルミニウムの粒子が水の中に分散します。その状態をコロイドと呼び、コロイドとは、
<微細な粒子が分散している状態>(自然界でのコロイドの概要とその特性について より引用)
と言った意味があるそう。水中にアルミニウムの微細な粒子が分散していると、太陽光も水中を通過するときに拡散します。特に青い光が散乱し、外から見ると青が強調されると言います。
さらにTABIZINEの過去記事「イタリアのカプリ島だけじゃない【青の洞窟】は日本にもいっぱいある!?」でも書いたように、光を反射する水中の地面が石灰岩でできていると、青色は余計に美しく見えると知られています。
白金青い池も、びえい白金温泉観光組合の公式ホームページによれば、白ひげの滝の脇からかけ流している白金温泉の温泉水に含まれた石灰成分が、池の底の岩や石を白くして、青い美しさを一層引き立てているのだとか。さまざまな要素が重なって、あの美しい青い池が成立しているのですね。
以上、白金青い池について紹介しましたが、いかがでしたか? 率直に言って、美瑛という美しすぎる土地にあるからこそ、少しイメージが先行し、過剰評価されている節も若干あるような気もします。ですが、立地的には美瑛市街から近く、ドライブには最適の距離にあります。駐車場にはレンタカーがたくさん停まっていますので、皆さん滞在地からドライブを兼ねて立ち寄っていると予測されます。
旭川、美瑛、富良野といったドライブコースを走り回る一環でちょっと立ち寄ってみて、劇的に水面が美しい日に巡り会えれば「ラッキー!」といった具合に考えると、最適な観光地かもしれませんね。
[Photos by Masayoshi Sakamoto and All Photos by shutterstock.com ]
Masayoshi Sakamoto 翻訳家/ライター
翻訳家・ライター・編集者。東京生まれ埼玉育ち。成城大学文芸学部芸術学科卒。現在は、家族と富山に在住。小学館〈HugKum〉など、在京の出版社および新聞社の媒体、ならびに〈PATEK PHILIPPE INTERNATIONAL MAGAZINE〉など海外の媒体に日本語と英語で寄稿する。 訳書に〈クールジャパン一般常識〉、著書(TABIZINEライターとの共著)に〈いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日〉など。北陸3県のWebマガジン〈HOKUROKU〉(
https://hokuroku.media/ )創刊編集長。その他、企業や教育機関の広報誌編集長も務める。文筆・編集に関する受賞歴も多数。
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