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ヨーロッパの王室に新風を吹き込むロイヤルファミリーたち

Posted by: 倉田直子
掲載日: Oct 30th, 2018. 更新日: Oct 29th, 2018

数十年前と現代とでは、結婚に関する考え方も変化しています。歴史と伝統を重んじる欧州の王室でも、少し前では考えられないような人材が、結婚によりロイヤルファミリーに迎え入れられているのです。そんな各国の「王室に新風を吹き込むロイヤルファミリー」をご紹介。

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数十年前と現代とでは、結婚に関する考え方も変化してきていますよね。かつてはお見合い結婚が常識でしたが、今では恋愛結婚が主流になったり。それは、歴史と伝統を重んじる欧州の王室でも例外ではありません。少し前では考えられないような人材が、結婚によりロイヤルファミリーに迎え入れられているのです。そんな各国の「王室に新風を吹き込むロイヤルファミリー」をご紹介したいと思います。


アメリカの芸能界からイギリス王室入りしたメーガン妃

記憶に新しいのは、2018年5月にご成婚されたイギリス王室のハリー王子とメーガン妃(サセックス公爵夫人)。つい先日、メーガン妃がご懐妊されたことでも話題になりました。メーガン妃が異色だったのは、アメリカ人であるという国籍もさることながら、離婚歴のある芸能人であったこと。代表作は、2011年から放送されたテレビシリーズの「SUITS/スーツ」のレイチェル役(ちなみにこの「SUITS/スーツ」は、織田裕二主演の月9ドラマとしてリメイクもされました)。

映画プロデューサーとの離婚歴も取りざたされましたが、ハリー王子の父親チャールズ皇太子も離婚歴のあるカミラ夫人と再婚されているので、ここは大きな障害にはならなかった様子。

そしてもう1点、メーガン妃が「イギリス王室初」だったのは、アフリカ系のルーツを持つということ。アフリカ系アメリカ人の母親とオランダ・アイルランド系の父親の間に生をうけたのです。そんなメーガン妃が婚約中に出席された、バッキンガム宮殿で開催されたクリスマスランチでちょっとした事件が。

主催者のエリザベス女王のいとこの夫人が、「ブラックムーア」と呼ばれるアフリカ系の人々を題材にしたブローチをつけて出席されたと報道されました。けれど後に、この夫人は「不快な思いをさせてしまい大変申し訳ない」と謝罪されたそう。


(画像はイメージです)

そういった人種ルーツや華やかな容姿とキャリアばかりに注目が集まりがちなメーガン妃ですが、実は非常に社会派な一面も持ち合わせています。ハリー王子と出会う以前の2015年、女性の地位向上を目的とする国連組織「UNウィメン」主催の「国際女性デー」イベントで彼女の過去の「行動」に関するスピーチを披露されました。

それは、彼女が小学生の時に放送されていた、旧時代的な男女の役割を想起させるCMのキャッチフレーズに対して抗議をしたというもの。その抗議先のひとつは、当時のファーストレディーであったヒラリー・クリントンだったそう(彼女を励ます返事がきたのだとか)。子供の頃から、高い問題意識を持っていたのですね。

それ以外にも、在アルゼンチン米国大使館でインターンをしたり、NGOの慈善活動でルワンダやインドを訪問するなど、広い国際的視野の持ち主でもあります。そういったところが、ハリー王子の目には魅力的に映ったのかもしれません。これからも、彼女らしいやり方で国際貢献をしていってほしいですね。

すべてが「前代未聞」!ノルウェーのメッテ・マリット王太子妃

北欧ノルウェーのホーコン王太子が2001年に結婚したのは、メッテ=マリット・ヒェッセム・ホイビー(旧姓)という女性。この方はロイヤルファミリーとしては異色の経歴の持ち主で、当時のノルウェー国民の度肝を抜きました。

王太子とノルウェー最大のロック・フェスティバル会場で出会った彼女は、未婚のシングルマザーだったのです。イギリスのメーガン妃も離婚歴がありましたが、メッテ・マリット王太子妃には以前交際していた男性との間に生まれた子供がいたのです。このかつての交際相手には薬物所持で有罪になった過去があり、メッテ・マリット王太子妃自身の過去の薬物使用経験も非常に厳しく取りざたされていました。

しかし、ホーコン王太子の恋の炎は収まらず、彼女の息子マリウス(成人した今は、セクシーなイケメンと評判)とともに同棲スタート。婚前に同棲というのも、王族としては当時では前代未聞の振舞だったそう。

そして2000年12月の婚約発表の際の記者会見で、メッテ・マリットは涙を流して自らの過去を国民に告白しました。マスコミが取りざたした過去の薬物の利用に関しては否定も肯定もしない曖昧なスタンスだったそうですが、「青春時代の反抗的な暴走」を国民に謝罪し、将来は決して薬物を使用しないと約束したのです。この赤裸々な会見で彼女は好感度を急上昇させ、ついに国民の支持を得ることができました。

2001年8月の成婚後は、伴侶となったホーコン王太子との間に二子をもうけました。一般人ですら育った環境が違う夫婦が協力して子育てするのは大変なのに、王太子と普通の家庭で育ったメッテ・マリット妃の子育ては、様々なすり合わせが必要だったのではないかと想像します。特に、王位継承権のないマリウス(別の男性との間の息子)と王位継承権のある子供たちを同時に育てるのは大変だったのではないでしょうか。実際に、下の子供二人だけ高額な私立校に通わせていることを批判もされたようです。

何かとノルウェー王室に「初めて」「前代未聞」を巻き起こすメッテ・マリット妃。これからも、目が離せませんね。

南米アルゼンチンからオランダ王室へ!マキシマ王妃

オランダの現国王ヴィレム・アレクサンダーの妃は、アルゼンチン生まれのマキシマ王妃。イギリスのメーガン妃もアメリカ人でしたが、両国はともに英語を公用語とする国でしたよね。けれどマキシマ妃は、言葉も文化も全く異なる国で王妃を務められているのです。

お2人の出会いは、マキシマさんがNYの銀行員だった時に参加した、友人主催のパーティ。ラテン系で明るいマキシマさんの人柄に、王子(当時)が魅かれたのだと言われています。そして、マキシマさんは、パーティで出会った男性が「自分は王太子だ」と言っても、冗談だと思って信じなかったとも伝えられています。

そんな二人が交際するまでに時間はかかりませんでしたが、それが公になると国民からの反発が発生します。実はマキシマさんの父親はかつてアルゼンチンの独裁政権下で農林水産大臣を務めたことがあり、当時の人権弾圧的な独裁政権に関与したとされ、王子との結婚を快く思わない風潮が生まれたのです。

けれど2人は結婚を諦められず、マキシマさんはベルギー(仏語と共にオランダ語も公用語)に移住し、オランダの言葉と歴史を学ぶ姿勢を見せました。さらにマキシマさんの父ホルヘ氏は「独裁政権下の大量虐殺には一切関与していなかった」と証明されたこともあり、「ホルヘ氏は結婚式などの公式行事にはいっさい出席しない」という条件付きで、難しいとされていたオランダ議会の結婚承認を得ることができたのです。

そんな紆余曲折の末、2002年に正式にご成婚。それ以来、親しみやすく明るい人柄のマキシマ妃は、国民に大人気。2人の間に生まれた3人の王女(長女は将来の女王)は、学校まで自転車通学をしていることでも話題になりました。きっと王女様もご両親に似て、国民に愛される女王様となるのではないでしょうか。

元フィットネス・インストラクター!スウェーデンのダニエル王子

ここまでは、すべて王族と結婚された女性たちのお話でした。けれどスウェーデンには、王族と結婚して王室入りした男性がいらっしゃいます。その方の名は、ダニエル・ヴェストリング氏(旧姓)。従軍経験のあるフィットネスインストラクターで、かつては首都ストックホルムで3軒のスポーツジムを運営するやり手の実業家でした。

そんな彼の前に現れたのが、現国王カール16世グスタフの第1子であるヴィクトリア皇太子。2人が出会った2002年当時、実はヴィクトリア皇太子は拒食症を克服したばかり。拒食症の影響で落ちた筋肉を再びつけるためにスポーツジムに通い始めました。そこで皇太子のトレーニングを担当したのが、後の夫となるダニエル氏だったのです。

お2人が恋に落ちるのに時間はかかりませんでしたが、彼らの前には様々な障害が立ちふさがります。何しろ、ダニエル氏は実業家としては成功していましたが、体育大学卒の一般人。ヴィクトリア皇太子の父王や、スウェーデン国民の大半が交際に反対していたのです。

カール16世グスタフとヴィクトリア皇太子は、ダニエル氏との交際をめぐり何か月も口を利かない冷戦期も経験したのだそう。その後、プリンセスが設定した国王夫妻とのディナーを経て、何とか交際は認められました(余談ですが、映画「キングスマン:ゴールデン・サークル」における主人公とスウェーデン王女の恋愛は、このダニエル氏とヴィクトリア皇太子を意識したエピソードだと思います)。

ダニエル氏は、スウェーデン王室の一員に相応しい教養を身につけるため、7年間にわたり必死に勉強を続けます。そして満を持して、2010年6月にお2人の結婚式が挙げられました。実にお2人の出会いから8年の歳月が過ぎていたのです。結婚まで8年もかかるなんて、やっぱり王族との結婚は一筋縄ではいきませんね。

けれどお2人は既に一男一女に恵まれ、公務にも精力的に邁進されています。今では国民の人気も高い皇太子ご夫妻。スウェーデン王室人気は、安泰のようです。

ヨーロッパの王室に新風を吹き込む4名のロイヤルファミリーたち、いかがでしたでしょうか。新しい世界に飛び込むのは勇気が必要ですし、周囲の反対も厳しい傾向があります。けれど愛を貫いた皆さまは、やはり幸せそう。どんなお立場にあっても、愛し合う2人が幸せに暮らせる世界であって欲しいですね。

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倉田直子

Naoko Kurata ライター
オランダ在住ライター。元バックパッカーの旅行愛好家。2004年に映画ライターとしてデビュー。2008年、北アフリカのリビアへ移住後に海外在住ライターとして活動スタート。2011年から4年間のUKスコットランド生活を経て、2015年夏にオランダへ再移住。著書「日本人家族が体験した、オランダの小学校での2年間」
https://www.amazon.co.jp/dp/B0758JCDTM/


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