自宅が美術館に?Googleより見やすい「バーチャルアート鑑賞」3選

Posted by: 坂本正敬

掲載日: Aug 15th, 2020

新型コロナウイルス感染症の影響で、なかなか海外旅行に出られない状況が続いています。そこで今回は、世界中の美術館を鑑賞できるGoogleのサービス「Google Arts & Culture」ではない、独自のシステムでオンラインツアーを用意している世界の美術館をまとめてみました。

ビクトリア国立美術館© Visit Victoria

Googleのサービスで楽しめる美術館はたくさんあるけれど・・・

検索エンジン大手の米Googleは、Google Arts & Cultureというサービスで、世界各国の数千の美術館と連携し、各美術館の展示作品をオンラインで楽しめるようにしてくれています。

例えばTABIZINEの過去記事「フェルメールにレンブラントも!アムステルダムの国立ミュージアムを効率的に回るコツ」でも紹介したオランダのアムステルダム国立美術館(Rijksmuseum)なども、オンラインで楽しめるようになっています。

ただ、この手のサービスで鑑賞できる作品世界は、Google Arts & Cultureの館内ツアーがGoogle ストリートビューの機能を使っている限り、正直に言えば本物には到底かないません。

その理由は、Google ストリートビューのビジュアルが、画像を張り合わせた集合体(イメージ・スティッチング)でできているから。例えばGoogle Arts & Cultureを通じてヨハネス・フェルメール作「牛乳を注ぐ女」を眺めてみても、油絵特有のキャンバス表面に盛り上がる分厚い凹凸などは全く伝わってきません。

そこで今回は独自のバーチャルツアー体験を用意して、世界中の人を楽しませてくれている美術館を選りすぐりで紹介します。

大英博物館

大英博物館
大英博物館

大英博物館は、世界三大博物館の1つともいわれる有名な美術館ですね。1759年に世界に向けてオープンした歴史を持ちます。その大英博物館は、独自のデジタルアート体験をオンライン上で用意していて、本物の美術館に訪れるのとはまた異なるサービスを提示してくれています。

The Museum of the World

一般的に美術館のデジタルツアーといえば、Google ストリートビューを使ったGoogle Arts & Cultureのように、バーチャルで美術館の中を歩き、展示作品を見ている気分にさせてくれる体験が多いです。しかし、その手の体験は、張り合わせた画像の集合体を通じて作品を鑑賞するため、残念ながら作品に奥行きが感じられません。むしろ、体験するほどに「本物の作品を見たい」と思いが募ります。かえってこの時期は、苦しくなってしまうかも。

一方で大英博物館については、通常の館内ツアーとは異なるデジタル体験を用意してくれています。人類の歩んできた壮大な時間軸をビジュアル化し、その歴史で生まれた作品をドット(点)で示してくれています。

点をクリックすると作品の詳細が示されます。解説も音声ガイドがあり、とてもわかりやすいです。単に美術館の体験をそのままデジタルで再現するだけでは終わらない、オンライン独自の楽しみ方を提示しようとする試みは、さすがに大英博物館といえるかもしれませんね。

オンライン美術館「HASARD(アザー)」

※写真はイメージです。

次は実際の博物館を持たず、オンラインのみで美術館を運営する「HASARD(アザー)」を紹介します。

Googleストリートビューを使った美術館のバーチャル体験は、操作性の問題もあり、作品の美しさをじっくり落ち着いて鑑賞できるレベルには達していません。しかし、「HASARD」については館内を歩くという体験ではなく、あくまでもパソコンやスマートフォン、タブレットを通じて作品鑑賞を楽しむという目的に特化してつくられているため、純粋な作品鑑賞を楽しめます。

さらに常設展のモネ展「それは再び 動き始める」では、モネの作品をデジタル処理して、背景が動くように調整するなど、デジタルアート鑑賞ならではの取り組みも行っています。

サイトそのものも、デザイン性に優れています。単純に作品世界を深く楽しみたいと思ったら、「HASARD」を訪れたいですね。

ビクトリア国立美術館

ビクトリア国立美術館

ビクトリア国立美術館の館内 © Visit Victoria

オーストラリアのメルボルンにあるビクトリア国立美術館のバーチャル芸術鑑賞も優れています。

美術館の中に入ってアート鑑賞をするという体験そのものは、Google ストリートビューと似ています。しかし、米Matterport社の3Dスキャンカメラの技術が採用されているため、操作性も、映像の鮮明さも、作品世界の奥行きも、格段に優れている印象があります。

キャンバス表面に使用された絵の具の凹凸まで感じられるくらいで、アート体験は深まります。ぜひともチェックしてみてください。

VIRTUAL TOURS

以上、新型コロナウイルス感染症の影響でなかなか自由に外出ができない今、すぐに訪れてみたいデジタルアートミュージアムを紹介しましたが、いかがでしたか?

すぐに無料で試せるサービスばかりですから、時間のあるお盆の今こそ、じっくり鑑賞してみてください。

[参考]
Stuck at Home? These 12 Famous Museums Offer Virtual Tours You Can Take on Your Couch (Video) – Travel + Leisure
Check out these virtual tours of museums around the world – Time Out

[All photos in shutterstock]

PROFILE

坂本正敬

Masayoshi Sakamoto 翻訳家/ライター

翻訳家・ライター・編集者。東京生まれ埼玉育ち。成城大学文芸学部芸術学科卒。現在は、家族と富山に在住。小学館〈HugKum〉など、在京の出版社および新聞社の媒体、ならびに〈PATEK PHILIPPE INTERNATIONAL MAGAZINE〉など海外の媒体に日本語と英語で寄稿する。 訳書に〈クールジャパン一般常識〉、著書(TABIZINEライターとの共著)に〈いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日〉など。北陸3県のWebマガジン〈HOKUROKU〉(https://hokuroku.media/)創刊編集長。その他、企業や教育機関の広報誌編集長も務める。文筆・編集に関する受賞歴も多数。

翻訳家・ライター・編集者。東京生まれ埼玉育ち。成城大学文芸学部芸術学科卒。現在は、家族と富山に在住。小学館〈HugKum〉など、在京の出版社および新聞社の媒体、ならびに〈PATEK PHILIPPE INTERNATIONAL MAGAZINE〉など海外の媒体に日本語と英語で寄稿する。 訳書に〈クールジャパン一般常識〉、著書(TABIZINEライターとの共著)に〈いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日〉など。北陸3県のWebマガジン〈HOKUROKU〉(https://hokuroku.media/)創刊編集長。その他、企業や教育機関の広報誌編集長も務める。文筆・編集に関する受賞歴も多数。

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