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冬の秘湯は最高のパワースポット(15)ひとり旅で憩う板室温泉・大黒屋<栃木県>

Posted by: 阿部 真人
掲載日: Dec 10th, 2021.

栃木県の那須七湯のひとつ「板室温泉」は、那須湯本や塩原温泉ほどの知名度こそないものの、約1000年も愛され続けてきた、歴史を長い温泉地です。ここにひときわ異彩を放つ、創業470年の「大黒屋」があります。保養とアートの宿と銘打つ老舗温泉宿。筆者も一度は訪ねてみたかった女性に人気のスポットなのです。

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露天風呂


「保養とアートの宿」板室温泉大黒屋へのアクセス

那須塩原駅

大黒屋へのアクセスは難しくありません。東京からですと、東北新幹線で那須塩原駅へ。駅の西口から宿直行の乗り合いタクシーに乗ることが出来ます。事前の予約が必要で、13時35分発だと片道1,000円。16時35分発の便だと片道2,000円。30分ほどで宿に到着です。

乗り合いタクシー

板室温泉へは路線バスも走っていて、所要時間は50分ほど。ちなみに私、帰りの乗り合いタクシーは11時宿発で、那須塩原駅に11時30分に到着とのことだったので、帰途は路線バスに乗ってノンビリと帰りました。

板室温泉は開湯1000年という古い温泉地で、その多彩な効能から「下野の薬湯」で湯治の里として親しまれ、昭和46年(1971年)には国民保養温泉地の指定を受けたといいます。

外観

さてさて、大黒屋にやってきました。創業はなんと天文20年(1551年)、江戸時代以前に創業した、たいへんな老舗宿です。

そのせいか温泉街の雑然とした雰囲気とは全く異なり、整然と美しく整った大きな庭園と古民家のような建物が見えてきます。

前庭

“保養とアートの宿”と銘打っているだけに、凍てついた冬枯れのなかでも庭木はキレイに剪定され、庭園にはオブジェも適切に配置されていました。ちなみに敷地は3,000坪だとか。

庭の囲炉裏

この庭園で喫茶もできるそうで、大谷石で出来た囲炉裏では南部鉄瓶でお湯を沸かしています。宿泊客は自由にお茶をいただけるようですね。

水琴窟

正面玄関の脇には水琴窟が作られていました。かたわらに置かれた筒を耳に当て、つくばいから滴る水滴の琴の音色を聴くことができます。

庭の椅子

板室温泉の標高は550m。谷あいにあるためでしょうか、風のない冬の日差しのもと、キリっとした庭園に佇んでいても、それほどの寒さは感じませんでした。

アート感たっぷりの落ち着いた館内

ロビーホール

さて館内です。玄関ロビーから広々としたサロンが続いています。ここでは、展示会や音楽会が定期的に開かれているようです。

この日も偶然、クラシックの演奏会が行われていました。ピアノ伴奏でテノール歌手の歌唱。また施設内では、常にアート作品の展示会が開かれているようです。

廊下のアート作品

渡り廊下にもアート作品が展示されています。上の写真は前衛的で立体的な作品で、ホテルや旅館でよくある風景画などの絵ではありませんね。

読書室

また読書室も。ちなみに「もくもくの部屋」と題して、オシャレな喫煙所もありました。

ひとり旅を楽しむ客室あり

客室

さて客室です。今回はひとりでの宿泊。ひとり客専用の部屋があり、広い室内には横長の窓の前に横に長いデスクと椅子。目の前には庭園が広がります。部屋はすべて南向きで陽の光を感じてもらうのだそうです。エグゼクティブのワーケーションに向いているかもしれませんね。

ちなみに大黒屋さん、女性の人気が高く、女性ひとり旅もたくさんいらっしゃるようです。

テーブルとベッド

客室にはテーブルとベッドがひとつ。いたってシンプルです。温泉宿ですから、それで十分とも言えます。客室もアート感がありました。

都会の喧騒を離れ、しかも観光地の人混みを避けて、ひたすら心と体を休めたい、のんびりしたいという方におすすめの宿です。

低温サウナと源泉かけ流しで癒やされる

桧風呂

お風呂は2カ所に分かれています。まずは近くにある檜風呂と低温サウナ。泉質はアルカリ性単純泉でpH9.5。成分分析表を拝見すると、硫酸成分もあって肌をキレイに整えてくれます。なんといっても加水なし、循環ろ過なし、塩素使用なしの源泉かけ流しがうれしいですね。

アタラクシア

そして、ひのき風呂の前には「アタラクシア」と名付けられた低温サウナ。「アタラクシア」とは、心が穏やかで平静な状態のことを意味する英語だそうです。韓国の慶州で産出されたケイ酸アルミニウムや酸化鉄水和物からなる「黄土」を使った部屋で、遠赤外線やマイナスイオンを感じながらじっくりと汗をかきます。

大浴場

もう1カ所、建物の最奥には広々とした大浴場と露天風呂があります。大浴場は天井も高く、大きな窓から日差しが差し込みます。「たいようの湯」と名付けられたのも、そのせいでしょうか。

露天風呂

大浴場から露天風呂に出ます。美しい庭があり、その向こうには那珂川が流れているようです。さらには対岸の小高い山を愛でながらの入浴です。

夕食は客室でゆっくりといただきます

夕食

夕食は、それぞれ客室でいただくのだそうで、デスクが食卓に早変わりです。まずは一度にほとんどを並べて、そして時間がたってもう一度配膳する形式。ゲストにあまり干渉しないスタイルだといいます。

夕食その2

“保養の宿”とも銘打っているだけあって、小鉢は蓬豆腐、前菜は5種盛りで八汐鱒の手毬寿司に、のれそれポン酢、もずく酢、切り昆布有馬煮、緑野菜胡麻和えから始まります。

「胡豆昆(ごずこん)」といい、胡麻、豆、昆布にこだわっているとのこと。古くからの健康的な食材を大切にしているのだそうで、体の内側からキレイになる印象です。

牛肉陶板焼き

そしてお刺身、鮭の西京焼き、那須高原和牛陶板焼きと食欲をそそる料理が続きます。

常夜鍋

〆は常夜鍋。豚肉とホウレンソウ、キノコ類などをサッと煮る鍋の王道。鍋つゆに味はつけずにポン酢で食べます。ネギと柚子胡椒で味を調整します。栃木産のコシヒカリでお腹が満たされました。

就寝前にもう一度入浴し、温まってから眠りにつきました。室内は暑くもなく寒くもない、ちょうどいい温度に設定されています。

朝食

朝食は、干物や玉子焼きにたらこ、厚揚げ、梅干しなどのおかずがちょっとずつたくさん並んでいます。それに温野菜がうれしいですね。大満足です。

そして帰り際、玄関の、なんというのでしょう、靴を履く時の足置き台に音符が並んでいます。ちゃんと曲になるように並べているそうです。こんなところまでオシャレなんですね。

玄関足置き台

宿全体の雰囲気というのでしょうか、とても整然として落ち着いていて、心が澄んで穏やかになるような気分。

接客も適度な距離を取ってくれるので、ひとりでノンビリしたい方にぜひおすすめの宿です。

板室温泉 大黒屋

[All Photos by Masato Abe]

阿部 真人

Masato Abe 還暦特派員
大学を卒業後、およそ30年間テレビ番組を作ってきました。57歳の時に、主夫となり、かつ自由人として旅に生きることを決意して早期定年退職。登山を始め、東京の街歩きガイドや温泉めぐり、豆大福探訪などなど60歳の還暦を迎えて好奇心が高まっています。


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