
パリジャンにとって特別なデパートだった

「ラ・サンマリテーヌ」の建築物ははパリの歴史的遺産。同時に、パリジャンの日常に根付いたデパートだったと言われています。以前、フランス人の友人からこんな話を聞いたことがあります。「ここにはラ・サンマリテーヌというデパートがあってね。子どもの時によく来ていたのだけど、今は閉鎖されているの。建物が素晴らしいのに、このまま放ったらかしにしている状態は残念だわ」
そんな惜しまれつつ閉鎖されたままであった老舗デパートが、世界最大の高級ファッション企業LMVHによって、改修、改築され、コロナ渦の中、紆余曲折ありながらも、2021年6月に再オープンしました。
ラ・サンマリテーヌの中へ

ポン=ヌフ橋側のラ・サンマリテーヌ、ポン=ヌフ館に足を踏み入れると、アールヌーボーの階段が目に入ります。そして上の方を見ると、ガラス張りの天井まで続く吹き抜けの空間が続いています。思わず足を止めて眺めてみたくなるほど、優雅な空間。きらきらと輝くような光が建物を包み込んでいます。かつてここを訪れた人にとっては、贅沢さが感じられる空間だったことでしょう。
ラ・サンマリテーヌは、当時より小規模の600のブランドが入っています。老舗デパートらしく、もちろんヨーロッパを代表する高級ブランドが店舗を構えていますが、新進気鋭のブランドが入っているのも特徴です。

せっかくこの空間を楽しみたいので、エレベーターで最上階へ。最上階はガラス張りの天井から光が優しく差し込み、開放感が感じられるスペースがありました。


最上階では、ラ・サンマリテーヌの美しいアールヌーボーの装飾を直近で見ることができます。ラ・サンマリテーヌの改築にあたって、新しく装飾をし直すのではなく、創業当時の装飾を修復したのだそう。ベル・エポックと呼ばれたパリの優雅さに浸ることができます。

また最上階では、「Voyage」というバー・レストランがあります。美しい装飾の館内を眺めながら、食事ができる素敵なスペースになっています。
ラ・サンマリテーヌの雑貨も



ラ・サンマリテーヌの地上階には、雑貨コーナーもありました。パリっぽい、お洒落なデザインの雑貨が置かれています。もちろん、ラ・サンマリテーヌの雑貨もありました。アールヌーボーのデザインからキッチなデザインまであり、「どれも素敵!」と思える雑貨ばかりでした。
リヴォリ館はモダン

リヴォリ通りには、リヴォリ館があります。日本の建築ユニットSANAAが設計を手がけました。モダンな透明なファッサードは、ポン=ヌフ館とはまったく違う様相で、古典とモダンのコントラストが興味深い作りになっています。
ラ・サンマリテーヌは複合施設

ラ・サンマリテーヌが、これまでのデパートと異なると言われているのが、その多様な用途です。ラ・サンマリテーヌは、デパートだけでなく、オフィスや住宅、ホテル、保育園などもある複合施設になっています。 セーヌ川に面したホテルは、部屋からセーヌ川の美しい眺めを一望できるという贅沢な空間なのだそうです。
ラ・サンマリテーヌは、パリの主要駅シャトレと、ルーヴル美術館からも徒歩の距離になり、パリ観光の主要名所のひとつとなりそうです。

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Nanako Kitagawa ライター
2007年よりフランス在住。パリ第八大学大学院を卒業。専攻は文化コミュニケーション。趣味は映画、読書、写真、雑貨、料理、街歩き、カフェ巡り。初めて訪れたその日からすっかりパリの街に魅了され、今日も旅をするようにパリの街を歩き回る。
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