「ラーメン」ブーム到来中
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イギリスでは「日本食=お寿司、てんぷら」というのはもう時代遅れ! カツカレーや餃子が日本食の定番になってきていますが、ここ数年は「ラーメン」も大注目されています。
かつてはラーメンが食べられるお店といえば、「Wagamama(わがまま)」という日本食レストランチェーンぐらいでした。スープのコクや麺の柔らかさなど、とにかく日本のラーメンを期待するとがっかりしてしまうので、(ラーメンとは別物の)「スープヌードル」と思って食べるとよいとされていました。
ところが、ここ5年ほどで在英日本人も納得して食べられる本格的なラーメン店が、各地で次々と開店しており、いまやイギリス中でラーメンが楽しめるようになっています。
ヴィーガンやベジタリアンにも対応
ヴィーガンやベジタリアンが多いイギリスでは「みそラーメン」が必ずメニューにあります。トッピングも、チャーシューなどの代わりに厚揚げや揚げ出し豆腐のようなものがのっていたりと工夫されています。
なぜかとんこつラーメンが主流
空前のラーメンブームが続くイギリスですが、なぜかどこも「とんこつラーメン」を謳うお店ばかり。日本でももちろん、とんこつラーメンは人気ですが、しょうゆラーメンやみそラーメン、塩ラーメンだっておいしいのに、なぜどのお店も「とんこつ」なの!? と、実は日本ではとんこつを選ばない筆者は思いを巡らせています。
イギリスでとんこつラーメンが主流になった理由
1. 「一風堂」の影響
2014年に、博多ラーメンの「一風堂」がロンドンに1店舗目をオープン。そのころからイギリスでのラーメンブームが始まったとも言われています。大人気の一風堂を意識したラーメン店が、とんこつラーメンを看板に掲げて軒並みオープンしたことが「ラーメン=とんこつ」の定番化を進めた理由かもしれません。
2. しょうゆや塩では地味すぎる!
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日本人にとってはB級グルメの代表のラーメンですが、イギリスでは立派な「お食事」です。そのため「しょうゆラーメン」や「塩ラーメン」ではどうもゴージャスさに欠けてしまうと思われるようです。
その点、とんこつだと「Pork broth(豚のスープ)」もしくは「Pork bone marrow soup(豚の骨髄のスープ)」と表現できるので、塩やしょうゆに比べると明らかに高級感を足すことができます。
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ちなみに、日本でおなじみの「出前一丁」のインスタントラーメンもイギリスでは広く手に入るのですが、「醤油ラーメン」はごま油の香りが効いているので「セサミ(ゴマ風味の)ラーメン」として販売されているのも同様の理由かと思われます。
ロンドンから全国各地へ
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ロンドンは言わずと知れたイギリスの首都であり、流行や新しいことに敏感な人が多いので、ラーメンブームも理解できます。ところが、このラーメンブームはロンドンにとどまらずイギリス各地へと広まっており、筆者の住むオックスフォードのような地方都市にもラーメン専門店が数店開店しているのです。
パンデミック中の厳しい状態でも、閉店に追い込まれることなく営業が続いているところが多いことも、イギリスでのラーメン人気を象徴しています。
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