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絶景と秘湯に出会う山旅(43)「魔女の瞳」と「旅館玉子湯」の源泉かけ流し

Posted by: 阿部 真人
掲載日: Jun 17th, 2022.

最近筆者は、湿原にすっかり魅了されています。今回は福島県の東吾妻山の湿原を散策。そして一切経山頂から望む「魔女の瞳」とも呼ばれる五色沼の絶景にも引き付けられました。下山後は名湯・高湯温泉の旅館玉子湯に宿泊。源泉かけ流しにも癒やされた旅となりました。

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五色沼(魔女の瞳)


日本百名山「東吾妻山」とは

「吾妻(あずま)連峰」は福島県福島市東部から山形県米沢市にかけて広がる山域で、日本百名山のひとつ。その東側を「東吾妻山」といい、西側を「西吾妻山」といいます。今回は東吾妻山に広がる浄土平(じょうどだいら)の湿原を歩き、標高1,949mの一切経山(いっさいきょうざん)へ、「魔女の瞳」と呼ばれる五色沼を目指しました。

浄土平への道
東吾妻山の浄土平は標高1,600m。とはいえアクセスはとても便利です。福島駅西口から車で磐梯吾妻スカイラインを走り約1時間。以前は浄土平行きのバスがありましたが、残念ながら新型コロナウイルス感染拡大防止のために見合わせとなっているので、自家用車または、タクシーまたはレンタカーでアクセスすることになります。

浄土平レストハウス
磐梯吾妻スカイラインという名前の通り、まるで西部劇にでも出てきそうな荒涼とした大平原が広がります。そして終着点の浄土平駐車場にはレストハウスもあり食事もできます。またビジターセンターやトイレもあるので1日中楽しめます。

浄土平を歩いてみました

浄土平湿原
駐車場のすぐ脇から湿原が広がっています。周囲を一切経山、吾妻小富士、桶沼に囲まれたこの一帯は、一切経山の火山噴火により生成された平原地帯に、湿原とオオシラビソを主とする針葉樹林の原生林がつくられています。

シャクナゲの登山道
訪れたのは7月中旬、あちこちで白いハクサンシャクナゲが咲き始めていました。

ちなみに浄土平という名前の由来ですが、かつて吾妻山は信仰の山として山伏修行の駆け道(登山道)が通じていたといいます。厳しい山道を歩んできた修験者たちにとって、美しい高山植物の咲くこの平らな土地が、極楽浄土のように見えたことから「浄土平」と名付けられたそうです。

美しい「魔女の瞳」に会いに一切経山へ

分岐
さて、「魔女の瞳」五色沼に会うべく、浄土平を通って一切経山を目指します。駐車場からだと1時間15分ほどでしょうか。湿原から分岐したゆるやかな登山道を登っていきます。

避難小屋とバイオトイレ

途中の酢ヶ平避難小屋には、バイオトイレも整備されていました。

振り返ると湿原と鎌沼
後ろを振り返ると、上の写真の通り、新緑の湿原と草原が広がっています。右奥に見えるのは酢ヶ平の湿原と鎌沼。こちらは三日月のような形をした湿原の沼なのです。

一切経山山頂
まもなく一切経山に到着です。山頂部分に樹木はなく、円形で平らに広がっています。この一切経山という珍しい名前は、平安時代の武士・安倍貞任が仏教教典の一切経をこの山に埋めたという伝説に由来しているそうです。

五色沼(魔女の瞳)
その一切経山の向こう側に見えるのが「魔女の瞳」。ちょうどハートマークを逆さにした形なのです。その形やコバルトブルーの美しさから、「魔女の瞳」とも「吾妻の瞳」とも。一切経山に登らないと見ることができない、秘密の絶景なのです。

一切経山の火口なのだそうで、直径は約300m。五色沼という名前は、太陽の光で刻々とその色を変化させることから名付けられました。

家形山から
一切経山から見た姿がハートマークを逆さにした形だったので、向こう側に回ったらどんな風に見えるのか知りたくて、反対側の家形山に登ってみました。その姿が上の写真。まずまずのハートマークですが、あまり高度がないので、一切経山からの眺めのほうがよさそうですね。往復で魔女の瞳をたっぷり堪能しました。

ふたたび湿原を散策 高山植物に出会う

鎌沼
ミヤマリンドウ
さきほど山の中腹から見えた鎌沼周辺も散策におすすめです。位置関係は、駐車場から浄土平を経て鎌沼に向かうことになります。それほどの高低差もなく整備された木道が続くので、ピクニックにおすすめです。

ハクサンシャクナゲ
鎌沼の周辺にもさわやかなハクサンシャクナゲの白い花がたくさん咲いていました。鎌沼をぐるっと回るように木道が整備されています。ゆっくり歩いて2時間ほど。ランチを持参して楽しんでください。

岩塩ソフトクリーム
散歩に疲れたら浄土平のレストハウスで休憩。岩塩ソフトクリームが絶品。実はすぐ隣の磐梯山は、山塩と呼ばれる岩塩の産地なのです。岩塩ソフトクリーム。ぜひどうぞ。

浄土平ビジターセンター(東吾妻山登山口)
住所:福島県福島市土湯温泉町鷲倉山
電話:0242-64-2105 
公式サイト:https://www.bes.or.jp/joudo/vc/

東北の名湯・高湯温泉、歴史ある「旅館玉子湯」

玉子湯入口
下山後、磐梯吾妻スカイラインの入り口にあたる高湯温泉の「旅館玉子湯」に向かいました。わずか30分ほどで到着。ちなみに福島駅西口から高湯温泉行のバスがあり、30~40分でたどり着きます。

玄関ロビー
ここは2回目の宿泊。玉子湯という名前の通り、周辺はゆで卵のような硫黄の匂いが立ち込めていますね。いい匂いです。名前の由来は、温泉に入ると肌が玉子のように滑らかになることと、匂いがゆで卵に似ていることから。

以前、冬の高湯温泉の安達屋旅館を紹介しましたが、高湯温泉は古くから蔵王温泉、白布温泉とともに「奥州三高湯」に数えられた名湯です。玉子湯では歴史資料も展示していました。

歴史コーナー
明治20年頃
毎分3,000L以上の湯量が湧き出す源泉が、全部で10カ所あるといいます。そして土地の落差だけを利用して浴槽まで引湯する自然流下を行うことで、加温加水を行う必要がなく、自然からあふれ出たままのお湯を満たしているそうです。

平成22年(2010年)6月には東北初、全国では9番目となる「源泉掛け流し宣言」を発表しています。

客室
和室はいたってシンプルですが、特色は部屋の窓から露天風呂が点在する広い庭がよく見えること。もちろん露天風呂の中は見えませんが、湯けむりが上がる光景や浴衣を着たお客さんがのんびり行き来する姿は、温泉情緒たっぷりです。

玉子湯の源泉かけ流し

大浴場滝の湯
その温泉です。上の写真は大浴場の「滝の湯」。大きな窓から緑が差し込んで気持ちいいこと。夏場は暑いかもしれませんが、それはそれで温泉ならではの贅沢。シャワーやシャンプーなどのアメニティがあり、こちらで頭や体を洗います。

仙気の湯
「仙気の湯」の湯は、こぢんまりした内湯。ひとりで浸かるにもちょうどいい大きさですね。

茅葺きの小屋「玉子湯」
玉子湯の内部
茅葺きの湯小屋「玉子湯」は宿の名物。明治元年に建てられたそうで、かつての湯治場の風情を感じることができます。浴槽の脇に脱衣場があるのが、昔からの湯治場の特徴。男女別になっているのでご安心を。

露天風呂
1日おきに男女が入れ替わる露天風呂「天渓の湯」。広々とした露天に大きな岩を配し、ふたつの浴槽があります。このほかにも女性専用の大きな露天風呂「瀬音」があります。滞在中はいろいろなお風呂に入ることができるので、2泊宿泊しても楽しめます。

源泉のひとつ
中庭には源泉のひとつが湧いていました。泉質は、酸性・含硫黄(硫化水素型)アルミニウム・カルシウム硫酸塩温泉(硫黄泉)で、すべて源泉かけ流し。効能は高血圧症・動脈硬化症・リウマチ・糖尿病・やけど・婦人病・不妊症・胃腸症・神経痛・皮膚病・アトピー性皮膚炎など。酸性のお湯ですが、pHは2.9と、肌の当たりも優しいお湯なのです。

東北の山の幸・海の幸をいただきます

先付

夕食は食事処でいただきました。「夏のお献立」とあります。まずは前菜。ピンク色をしているのは梅そうめん。スルスルと食べられます。それにウドの豚肉印籠巻き、こごみ山葵和え、冷たい茶碗蒸し、さつまいもの丸十レモン煮。

温泉蒸籠蒸し

うなぎとキュウリのザク和えに、マグロに赤貝、牡丹エビのお造り、鰆幽庵焼きに続いて、上の写真の玉子湯蒸籠蒸し。さらには松葉コチと呼ばれる魚の揚げ物、身欠き鰊の煮物と続いて、最後の〆は……、

帆立わっぱご飯

帆立のわっぱ飯でした。山の中の宿ですが、現在では海も近くなっているのですね。東北の山の幸と海の幸がいっぱい詰まった印象で、大満足の食事でした。高湯温泉は小さな温泉地ですが、源泉かけ流しのお湯はもちろん食事やもてなしも、とても満足度の高い温泉なのです。

高湯温泉 旅館玉子湯
住所:福島県福島市町庭坂字高湯7
電話:024-591-1171
公式サイト:https://tamagoyu.jp

[All Photos by Masato Abe]

阿部 真人

Masato Abe 還暦特派員
大学を卒業後、およそ30年間テレビ番組を作ってきました。57歳の時に、主夫となり、かつ自由人として旅に生きることを決意して早期定年退職。登山を始め、東京の街歩きガイドや温泉めぐり、豆大福探訪などなど60歳の還暦を迎えて好奇心が高まっています。


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