「台湾の京都」とも呼ばれる台湾南部の古都・台南。台湾で最も古い歴史をもつ台南には、価値ある歴史的建造物が点在しています。
なかでも、台南人がおすすめする観光スポットが、台南で最初に開かれ、海上貿易により栄えた安平(アンピン)地区。台湾、ヨーロッパ、日本・・・異文化が融合するノスタルジックな街、安平を歩いてみましょう。
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安平古堡
安平を象徴する歴史的建造物が、安平古堡。オランダ人が植民地支配の拠点として1624年に築いた城塞で、西洋風の城としては台湾で最も古いものです。当時は「ゼーランディア城」と呼ばれていました。
のちに、台湾の英雄・鄭成功がここをオランダ人から奪取。安平古堡は、一時台湾統治の拠点となりますが、政治拠点が移ってからは荒廃の一途をたどりました。現在の姿は、日本統治時代に税関の宿舎として使うために修復されたもの。
ですが、レンガの城壁など建設当時のものが一部そのまま残っています。色あせた赤レンガにガジュマルの枝がからまる光景は、安平古堡が生き抜いてきた、長い歳月を物語っています。
安平樹屋
近年「ラピュタの世界を思わせる」とひそかに話題になっているのが、安平樹屋。イギリス商人が創設した貿易会社「徳記洋行」と同じ敷地内にある倉庫跡です。以前は塩の倉庫として使われていましたが、いまや廃墟となり、四方八方に伸びるガジュマルの樹に飲み込まれてしまっています。
自然が人工物を凌駕する光景はどこか神秘的で、ラピュタの世界や、カンボジアのアンコール遺跡群のひとつ「タ・プローム」を彷彿とさせます。
街なかにありながら、遺跡を訪れたかのような非日常感が味わえる、ユニークなスポット。廃墟好きにはたまらないはずです。
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安平開台天后宮
安平に数ある寺院のなかでも、ひときわ存在感を放っているのが、1668年創建の安平開台天后宮。漁業・航海の守護神である媽祖と開台聖王(鄭成功)信仰の中心となる廟で、媽祖廟としては台湾最古といわれています。
瓦屋根や堂内の精巧な装飾は目を奪われる美しさ。凛とした空気が漂う堂内には、心が洗われるような静寂が広がっています。
台塩和式宿舎
特に日本人にとって興味深いのが、日本統治時代の塩田の管理者用の宿舎である、台塩和式宿舎。建物の周囲には、日本庭園が広がっています。
現在の姿は2009年に再建されたもので、過去には昭和天皇が皇太子時代に宿泊したことも。敷地内に足を踏み入れた瞬間、昭和初期の日本にタイムスリップしたかのような感覚に包まれます。
安平老街
台湾初の街である「延平街」を中心に広がる古い街並みが、安平老街。延平街には土産物店などがぎっしりと並び、大変なにぎわいです。エビチップスなど、昔ながらの安平名物を売る店から、アイスクリームスタンド、食堂、おしゃれな雑貨ショップまで、さまざまなお店が軒を連ねているので、見ながら歩くだけでもワクワクします。
安平老街の神髄は路地裏にあり。メインストリートを外れて細い通りに入り込むと、人通りが一気に減り、100年前からほとんど変わっていないであろう風景が広がります。
日本人には、どこか沖縄を思わせる雰囲気も。懐かしくて新しい、不思議な心地よさを覚える街並みに魅了されます。
安平へは、88番安平路線、99番台江路線などのバスで、台南中心部から気軽に日帰り旅行ができます。
台湾の歴史がぎゅっと詰まった安平。ノスタルジックな情緒たっぷりのこの街で、忘れられない風景に出会ってみませんか。
[台南市政府観光旅遊局]
[All Photos by Haruna Akamatsu]