グローバル・ピース・インデックス2016が発表されました。発表したのは、インスティチュート・フォー・エコノミクス&ピースというイギリスのシンクタンクで、世界の平和に関する指標を毎年発表しています。
10位から1位まで、その理由を探りながら紹介します。
第10位:スロベニア
中央ヨーロッパの交易の要所スロベニア。アルプス山脈にも、地中海にも接していて自然に恵まれて、観光のアクティビティも充実しています。
非軍事化のインデックスが第5位、安全な社会のインデックスが8位でした。一方、地域での紛争の影響のインデックスが76位と真ん中位であまりよくありませんが、総じて安全な国とのことです。
第9位:日本
アジアから唯一10位以内にランキングされた日本。殺人事件の少なさでは第5位、また、暴力の発生率も低いのですが、国内外での紛争・混乱については比較的低く39位でした。世界的にも、安全な国という評判が高い日本。上位の国が気になります。
第8位:カナダ
南北アメリカ大陸からは、カナダのみがランクイン。暴力の発生が少なく、安全な社会であることが、高く評価されています。国内外での紛争・混乱が25位と低いのがマイナスしています。スロベニアと日本も同様でしたね。
第7位:スイス
永世中立国のスイス。その風景も平和そのものです。実はほとんどのインデックスで、第1位の国と同レベルだったんです。最大のマイナスポイントは、非軍事化のインデックス。スイス軍は世界屈指の軍隊であることも影響し、全ての国の中で上位半分にも入っていなかったんです。そのため、総合では第7位になりました。
第6位:チェコ
非軍事化で第2位と高評価のチェコ。犯罪発生率が少ないことでも有名です。国内外の紛争のインデックスが20位、非暴力のインデックスが28位と低いことが影響しても第6位です。
第5位:ポルトガル
前年から総合で9ランクと大きく評価が上がったのがポルトガルです。2015年のEUと連携した取り組みも功を奏して、政治的にも経済的にも安定したことが要因のようです。暴力的なデモも少なく政情が安定し、いくつかのインデックスも連鎖的に改善されて、総合順位が上がりました。
第4位:ニュージーランド
南半球からはニュージーランドだけが10位以内にランクイン。国境を他国と接していないという島国のいいところが幸いしているケースです。
他の上位の国と比較すると、実は反暴力は19位と評価がよくありません。ニュージーランドでは、家庭内暴力の被害が多かったのですが、2016年には、政府は家庭内暴力対策に巨額の予算を投入して、法律の見直しなどを行うことを決定したそうです。来年のランキングが楽しみです。
第3位:オーストリア
栄華を極めたハプスブルグ家が、広く中央ヨーロッパを治めた時代からヨーロッパの中心ウィーン。音楽の都とも呼ばれる文化的な国です。どのインデックスでも上位にランキングしていて、特に殺人の数では世界で最も少ない国であり、社会が安全で安心であると評価されました。
また、ドイツ、チェコ、スロバキア、ハンガリー、スロベニア、イタリア、スイスと国境を接しているので、紛争に関わるインデックスが気になりますが、それでも第8位と健闘しています。
第2位:デンマーク
総合的に評価が高いデンマーク。インデックスは第1位の国とかなり競り合っています。アンデルセン童話の国といったイメージもあり、一方、その昔は海賊のバイキングの国だったことを思うと、多面性があって興味深いですね。今ではランキング上位の常連です。
第1位:アイスランド
安全で安心な社会で1位、反暴力で第3位、非軍事化で3位、国内外の紛争に関しては11位。アイスランドは昨年も1位でした。驚いたことに、アイスランドは軍事力を独自には持っていないんです。
広大な自然、美しい四季の変化、人々が寄り添って生きる冬、海に囲まれ国境の紛争がないことも、大きく影響しているようです。島国であること、温泉がふんだんで楽しまれているなど、日本に似ているところもありますね。
安全にもいろいろな側面があります。このインデックスを次の旅行先を決めるときの参考にされてはどうでしょうか。11位以下の国々についても一目でわかる地図が提供されていますので、見てみるだけでも面白いと思います。
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