ご挨拶:バンライフの世界へようこそ
こんにちは。しがないライター業のオンナ、SAWAです。訳あって、たびたびバンライフをしている身です。大した訳ではありませんが、それはいつかお話しさせてください。
さて、この連載は、筆者のバンライフの経験を、旅や暮らしに役立てていただこうという企画です。筆者のバンライフ談なぞに興味を持ってくれる人がいるのだろうか? とガクブルですが、この機会がどなたかのお役に立つのなら嬉しい限りです。
ところで、旅好きならば「バンライフ」については既知の人も多いはず。しかし、このキーワードを初めて耳にする人のために、今回は『そもそもバンライフって何?』というところから始めようと思います。
そもそも、バンライフって何だろう?
バンライフとは読んで字のごとく、VAN+LIFE=バン(車)暮らし。日本語で言うならば、車中泊や車上生活です。
その暮らしぶりは、一拠点に定住してバンライフをする定住型バンライフ、旅をしながらバンライフをおくる移動型バンライフなど、人によってじつにさまざま。
しかし、人々はなぜ、車中泊でも車上生活でもなく、“バンライフ”と表現するのか?それは、バンライフがある種のライフスタイルを定義するキーワードとして広がりをみせているからだと推測します。
家で暮らすように車で暮らすバンライフ。人々は(筆者も含めてですが)、居心地の良い居住空間を整えるために車内を改装し、ベッドスペース、キッチンスペース、ワーキングスペースなどをつくり、一台の車に家とも部屋とも呼べる理想の生活環境を築き上げます。
<筆者も頑張ってキッチンを自作しましたよ。>
ぜひ、Instagramで #VANLIFE と検索してみてください。あの正方形が並ぶ画面からは、そんな様子が垣間みれるはずです。そのリア充ぶりに、「車上生活=心苦しい貧しい生活」といった前時代の固定観念は払拭されますよ。
バンライフのブームを牽引した立役者たち
ですが、特筆すべきはそれだけではありません。人々が何を求めてバンライフに没頭するのかを探っていくと、バンライフという言葉の世界観が鮮明になります。
【デザイナー Foster Huntington (フォスター・ハンティントン)】
例えば、バンライフのブームを牽引したFoster Huntington(フォスター・ハンティントン)氏。彼は過去、米ファッション・ブランド“ラルフローレン”でデザイナーを務めていましたが、多忙な暮らしに嫌気がさしてキャンピングカーで旅に出ます。
「好きなことを隠さずに、自分に正直に生きる」をモットーに始まった彼のバンライフは、ついには『VAN LIFE』という一冊の本に姿を変え、世に出ることとなりました。
(C)fosterhunting Via Instagram
【メジャーリーガー Daniel Norris(ダニエル・ノリス)】
現役メジャーリーガーのDaniel Norris(ダニエル・ノリス)氏もバンライフというライフスタイルを世に浸透させていった立役者と言える存在です。
投手としてメジャーリーグで活躍する彼は、あえて車で暮らすことを選択。購入したバンの車内を改装して、自分にフィットする居住空間をつくり、シーズンが終わるとバンで旅をして過ごし、心身のバランスを整えるのだそう。
(C)danielnorris18 Via Instagram
ときには、スーパーマーケットの駐車場でバンライフをおくり練習に向かうこともあったそうで、まさに筋金入りのバンライファー(バンライフをする人の意)。そんな彼は、「お金があるからと言って以前より良いものを持つ必要があるわけではない」「どんな時も自分らしくありたい」と語ります。
<動画:YETI presents: Offseason (festival cut) (C)Ben Moon Via Vimeo>
【映像クリエーター Cyrus Sutton(サイラス・サットン)】
このほか、サーファーによく知られたバンライファーのひとり Cyrus Sutton(サイラス・サットン)氏についても触れておきたいと思います。
彼はプロサーファーであり、サーフドキュメンタリーを制作する若手の映像クリエーター。ある時、制作費の負担など経済的な理由から、やむを得ずバンで暮らすことに。しかし、ここからが彼の真骨頂。楽しんでなんぼとばかりに、バンライフを通してDIYとミニマリズム、シンプルライフを追求します。
のちにサイラスは、無一文のサーフトリップ(サーフィンの旅)を描いた作品『STOKED&BROKE(ストーク・アンド・ブローク)』を発表。
お手製のリヤカーに全ての荷物を乗せてサーフトリップをするという破天荒なドキュメンタリーに注目が集まったわけですが、このフロンティア精神やDIY精神はバンライフで培われたと言っても過言ではないように思います。もう、バンライフどころではなく、シンプルライフの究極であるリヤライフ(リヤカーライフ)をやってのけてしまうバイタリティとメンタリティには、脱帽です。
<動画 Stoked & Broke Teaser (C)www.KORDUROY.tv Via Vimeo>
バンライフという言葉が根ざすもの
ここまで、バンライフを通して人生を探求する3人のカリスマを紹介してきました。この3人を“車で暮らす変わった人たち”と表層的に捉えることもできますが、彼らから解るように、バンライフの根底にあるのは、ありふれた自問と探求の世界です。
自身と向き合い、暮らしにおける豊かさを見つめなおし、自分らしい生き方を模索する。
つまるところ、バンライフという言葉は、生活様式を示すだけではなく、人生を模索する心の旅のような概念が含まれているのだと思います。
<静かに過ぎるバンライフの夜は、自分と向き合う時間でもある。>
さて、今回は『バンライフとは何か?』について熱く(?)語らせていただきました。ですが、ここまで読んでくださった方には大変申し訳ないのですが… 正直なところ、バンライフの定義なんて人それぞれ。そもそも、明確な定義は存在しないに等しいのです。
だから、あなたの定義で「これがわたしのバンライフです!」って宣言しちゃえば、それがあなたのバンライフ。他者によって見出されたバンライフの定義に、自分の暮らしや旅路を迎合させる必要はまったくないのです。
バンライフの先人に憧れを抱いたとしても、他者の旅路をなぞるのではなく、自分の心が求めるバンライフの先に掴める答えがある。そんな気がしています。
次回は、バンライフのリアルな本音も含めて、バンライフの魅力について掘り下げてみたいと思います。(って、過酷な思い出のほうが多いけど、次回の記事ちゃんと成立するかな…)
[All Photo by YONEVANLIFE]
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