世界でも珍しい「海中ミュージアム」はご存知ですか? 海中ミュージアムとは文字通り“海の中にある博物館”のことで、現在、それを見ることができるのは、メキシコ・カンクンのものが有名です。
そして、その海中ミュージアムを製作した英国の彫刻家ジェイソン・デカイレス・テイラー氏が、今回新たに、ヨーロッパ初の海中ミュージアムの製作を始めました。
ヨーロッパ初の海中ミュージアム「Museo Atlantico」
(C) Jason deCaires Taylor

ヨーロッパ初となる海中ミュージアムの舞台は、スペイン・ランサローテ島。「Museo Atlantico(ミュージアム・アトランティコ)」と名付けられた海中ミュージアムは、「大西洋博物館」という意味にふさわしく、大西洋の海の底で眠る壮大な博物館となっています。
(C) Jason deCaires Taylor

製作を担当するのは、英国の彫刻家ジェイソン・デカイレス・テイラー氏。テイラー氏はメキシコのカンクンやカリブ海・グレナダなどでも海中ミュージアムを製作しており、彫刻家と20年以上のダイビングキャリアを活かし、今回も凄まじい作品たちを生み出しています。
(C) Jason deCaires Taylor

この海中ミュージアムでは、ただ作品を海底に設置するのではなく、作品と海の生物が「共存すること」を目的としています。そのため、材料は全て海の環境に優しいセメントなどで作られ、今後数百年にわたって魚たちが住みつく場所となります。
(C) Jason deCaires Taylor

また、テイラー氏が作る海中ミュージアムの特徴は、何といってもその強い「メッセージ性」です。地球で起こる様々な状況に対する彫像を作り出すことで、環境や貧困の問題などに警鐘を鳴らしているのです。
(C) Jason deCaires Taylor

次の写真は、シリアの難民危機による難破船の被害を訴えた作品です。見るものを圧倒させる雰囲気を持っており、どれも見応え十分です。
(C) Jason deCaires Taylor

こちらは、海中ミュージアムに先駆けてイギリスのテムズ川に設置された彫像。川の増水によって像は沈んでいき、温暖化による地球規模の気候変動に関して警告しています。
現在、このヨーロッパ初の海中ミュージアムは製作真っ只中。2016年中にはなんと、300体もの彫刻が並べられる予定となっています。2017年には一般公開され、ダイビングやシュノーケルで観ることができます。
(C) Jason deCaires Taylor

いかがでしたでか? 海中ミュージアムは海の中で自然と共存する博物館。年を重ねる度に変化するその姿は、まさに永遠に作品が変わり続ける博物館と言えそうです。