【コスタリカで幻の鳥ケツァールに会いに行く旅】Mirador de Quetzalesでの探鳥体験とアクセス方法

Posted by: もろたけいこ

掲載日: Jul 26th, 2026

「世界で最も美しい鳥」と聞いて、どんな鳥を思い浮かべますか。鮮やかなエメラルドグリーンの羽をまとい、太陽の光を受けるたびに宝石のような輝きを放つ鳥、ケツァール。その神秘的な姿から、古代マヤ文明やアステカ文明では「神の鳥」として崇められ、中米では今なお特別な存在として知られています。そんなケツァールは、限られた環境にしか生息しておらず、野生で出会える確率は決して高くありません。その希少性から「幻の鳥」とも呼ばれ、世界中のバードウォッチャーや写真家が、一生に一度は見てみたいと憧れる存在になっています。今回、そのケツァールを探すためにコスタリカを訪れた様子を体験レポート。目的地は、標高2,600mを超える雲霧林に建つMirador de Quetzales(ミラドール・デ・ケツァール)。現地で申し込んだガイドツアーに参加し、静かな森の中でケツァールを探した体験をご紹介します。

幻の鳥 コスタリカ ケツァール 絶景

「世界一美しい」と称されるケツァールとは

幻の鳥 コスタリカ ケツァール 絶景

ケツァールは、中米の高地に生息する鳥で、正式には「レズプレンデント・ケツァール」と呼ばれています。オスはエメラルドグリーンに輝く頭部と背中、鮮やかな赤い胸元、そして繁殖期には体長をはるかに超える長い尾羽を持ち、その姿はまるで絵本や神話の世界から飛び出してきたようです。

木々の間を静かに飛ぶ姿は幻想的で、「世界で最も美しい鳥」と呼ばれる理由も納得できます。実はこの鳥は、単に見た目が美しいだけではありません。古代マヤ文明やアステカ文明では自由や生命の象徴とされ、神聖な存在として大切にされてきました。王族や神官だけがその羽を身に着けることを許されていた一方で、鳥自体を殺すことは禁じられ、羽を採取した後は再び森へ返していたとも伝えられています。現在でもグアテマラでは国鳥に指定され、通貨単位にも「ケツァール」という名前が使われています。

それほどまでに、中米の人々にとって特別な存在なのです。しかし、その姿を見ることは決して簡単ではありません。だからこそ、多くの旅行者が時間と労力をかけてでも、この鳥を探しにコスタリカやグアテマラを訪れています。

なぜケツァールは「幻の鳥」と呼ばれるのか

幻の鳥 コスタリカ ケツァール 絶景

お土産などにも使われる存在・ケツァール

「幻の鳥」と聞くと、絶滅危惧種だから見られないのではと思う人もいるかもしれません。しかし、ケツァールが幻と呼ばれる理由は、単純に数が少ないからではありません。最大の理由は、生息環境が非常に限定されていることです。

ケツァールは中米の標高約1,500〜3,000mに広がる雲霧林(クラウドフォレスト)と呼ばれる森に生息しています。年間を通して霧が立ち込め、湿度が高く、苔やシダ植物が木々を覆う幻想的な森林です。熱帯のイメージが強いコスタリカですが、ケツァールが暮らしているのは蒸し暑いジャングルではありません。朝晩は上着が必要になるほど涼しく、空気もひんやりしています。

この特殊な環境だからこそ、ケツァールは生きていくことができるのです。さらに、彼らは非常に警戒心が強く、人の気配を感じるとすぐに木々の奥へ飛び去ってしまいます。しかも活動範囲が広く、一日の中でも餌を求めて森の中を移動するため、「ここへ行けば必ず会える」という場所はありません。バードウォッチングのガイドたちは、毎朝鳥の鳴き声や行動を観察しながら、その日の居場所を探しています。

長年の経験があるガイドでさえ、「今日は運がよかった」という日もあれば、「姿を見ることができなかった」という日もあるそうです。この「会える保証がない」という特別感も、世界中の人々を惹きつけている理由のひとつでしょう。

ケツァールに会える場所はコスタリカの山奥

幻の鳥 コスタリカ ケツァール 絶景 サンホセ

今回筆者がケツァールを探しに向かったのは、コスタリカ中部に位置するタラマンカ山脈です。目的地は、サンホセから車で約2〜3時間ほどの場所にあるMirador de Quetzales(ミラドール・デ・ケツァール)。周辺は標高2,600mを超える雲霧林に囲まれ、コスタリカ国内でも有数のケツァール観察スポットとして知られています。

なぜ、ここを選んだのかというと、実は「国鳥」としているグアテマラでは見られる場所が少ないと言われ、コスタリカの方が好ましいと言われるから。さらに、首都・サンホセから半日で体験ができるアクセスのよさもあり、コスタリカでケツァールを探すことに。

車で山道を登っていくにつれて景色は大きく変わり、木々が並ぶ幻想的な森へと変化していきます。窓を開けると、空気は驚くほどひんやりとしていて、コスタリカにいることを忘れてしまうほどでした。

観光地のような賑やかさはなく、聞こえてくるのは鳥のさえずりと風が木々を揺らす音だけ。街の喧騒とは無縁の静かな世界が広がっています。

幻の鳥 コスタリカ ケツァール 絶景

Mirador de Quetzalesは、この自然に建つ山小屋風のロッジです。ここでは、宿泊者向けに早朝のガイドツアーも開催されています。ケツァールは朝の時間帯に活発に行動するといわれているため、多くの人が夜明け前から準備を始めます。

しかし、筆者は前日の予定の都合で宿泊せず、朝4時にサンホセを出発、7時半には到着するようにしました。このように宿泊者ではなくてもツアーに申し込むことが可能です。アクセスする場合、「Paraiso Quetzal Lodge」の看板が目印。またツアーは「Paraiso Quetzal Lodge」でも開催されています。

Mirador de Quetzalesの早朝ツアーで、幻の鳥を探す

幻の鳥 コスタリカ ケツァール 絶景 ツアー

看板犬も一緒に散策

ケツァールに出会うためには、早朝の行動が欠かせません。Mirador de Quetzalesで開催されているガイドツアーも、午前5:30あるいは午前8時と、朝早めの時間帯からスタートでした(筆者が訪れた5月の場合)。朝の空気は想像以上に冷たく、吐く息が白くなるほど。南国・コスタリカというイメージとは異なる気候に驚きながら、防寒着を羽織ってガイドとともに森へ向かいました。

幻の鳥 コスタリカ ケツァール 絶景 ツアー

歩き始めると、聞こえてくるのは鳥たちのさえずりだけ。霧に包まれた森は静寂に満ち、足元には苔が広がり、木々にはシダ植物が絡みついています。ガイドは双眼鏡を片手に、鳥の鳴き声や果実のなる木を確認しながらゆっくりと歩いていきます。

ケツァールはアボカドの仲間である野生の果実を好むため、実がなっている木を重点的に探していくそうです。さらに驚きなのは、アプリでケツァールの鳴き声を流し、引き寄せていたこと。ありとあらゆる手を尽くして、ケツァールを探します。

幻の鳥 コスタリカ ケツァール 絶景

ツアー中は、「あそこにハチドリがいます」「こちらにはタンガラ(中南米の熱帯の森に住む鳥)がいます」と、次々に野鳥を紹介してくれました。コスタリカは世界有数の生物多様性を誇る国だけあって、短い時間でも数多くの鳥たちに出会えます。もちろん、それだけでも十分楽しい時間です。しかし、心のどこかで待っているのは、やはりケツァールの姿でした。

双眼鏡の先に現れた、鮮やかなエメラルドグリーン

幻の鳥 コスタリカ ケツァール 絶景

ツアー時間はおよそ2時間ほど。もう諦めるしかないのか……と思っていた時、ガイドが突然足を止め、小さな声で「ケツァールです」と知らせます。最初はどこにいるのかまったくわかりません。しかし、ガイドが双眼鏡をセットし、「さぁ、見て」と双眼鏡をのぞき込んだ瞬間、鮮やかな緑色が目に飛び込んできました。

そこには、枝の上で静かにたたずむケツァールがいました。写真や映像で何度も見てきた鳥のはずなのに、実際に目の前にすると、その美しさはまったく別物です。光の当たり方によって羽の色は青にも緑にも見え、まるで金属のような光沢を放っています。

幻の鳥 コスタリカ ケツァール 絶景 メス

メスのケツァールの姿

長い尾羽を持つのはオスのみで、メスは尾羽を持たず、美しい緑色のみが特徴です。筆者が見たケツァールは、口にブルーベリーほどのサイズの果実をくわえていました。ケツァールは前述したようにアボカドやベリーを好みます。

これらの果実を丸呑みした後、お腹の中でまわりのおいしい果肉だけを消化し、消化できない大きな種だけを「ペッ」と口から吐き出すんだとか。おそらく、くわえているのは食べ終わった後の種だと思われます。

幻の鳥 コスタリカ ケツァール 絶景 オス

210mmの望遠レンズで撮った写真

望遠レンズを持って行きましたが、あまりに遠くて撮影は難しい。ここで登場するのがガイドの力。「スマホを貸して」と言われ、双眼鏡をうまく使ってスマホで写真や動画を撮影してくださいます。

結果、30分近くこの美しい1匹を観察することができました。「幻の鳥」と呼ばれる理由は、この瞬間に理解できた気がします。ただ珍しい鳥だからではありません。会えるかどうか分からない森を歩き続け、その先でようやく出会えるからこそ、感動は何倍にも大きくなるのです。

幻の鳥 コスタリカ ケツァール 絶景

スマホで撮影した写真

アクセスはレンタカーがおすすめ

幻の鳥 コスタリカ ケツァール 絶景 レンタカー アクセス

Mirador de Quetzalesへは、首都サンホセからレンタカーで向かいました。道中は山道が続きますが、舗装されている区間がほとんどで、慎重に運転すれば特別難しいルートではありません。筆者はあまり運転が得意ではないですが、4WDをレンタルしたことで安心して運転ができました。公共交通機関を利用することも可能ですが、本数が限られているうえ、ロッジまでの移動には時間がかかります。

特にケツァール観察は早朝がベストタイミングです。ツアー開始時間に合わせて移動することを考えると、自分のスケジュールで動けるレンタカーは非常に便利でした。また、周辺には展望スポットや自然公園も点在しているため、時間に余裕があれば、帰りに寄り道をしながら移動するのもおすすめです。

ケツァールを探すなら、乾季から繁殖期がおすすめ

幻の鳥 コスタリカ ケツァール 絶景 荷物

ケツァールは一年を通して生息していますが、比較的観察しやすいとされているのが乾季から繁殖期にあたる1月から5月頃です。特に繁殖期にはオスの美しい尾羽が長く伸びるため、多くの写真家やバードウォッチャーがこの時期を狙って訪れます。

一方で、標高の高い雲霧林は天候が変わりやすく、朝晩は想像以上に冷え込みます。薄手のダウンやフリース、防水性のあるジャケットがあると安心です。歩き回るので汗をかいた場合に備え、体温調節をしやすい服装が好ましいです。森の中を歩くため、滑りにくいトレッキングシューズも役立ちました。

「探す旅」だからこそ、一生忘れられない体験になる

幻の鳥 コスタリカ ケツァール 絶景

ケツァールを探す旅は、「会えるかどうか分からないもの」を追いかける旅でした。霧の立ち込める静かな森で鳥の声に耳を澄ませ、木々を見上げながらゆっくり歩く。その時間そのものが、日常では味わえない贅沢でした。

そして、その先に偶然とも必然とも言えない出会いが待っています。もし最初から確実に見られるとわかっていたなら、ここまで感動しなかったかもしれません。

「幻の鳥」という呼び名は決して大げさではなく、自分の足で森へ入り、自分の目で姿を見つけたからこそ、その意味を実感できました。コスタリカには、美しいビーチや熱帯雨林、火山など数多くの見どころがあります。その中でも、このケツァールを探す旅は、自然と向き合うコスタリカらしさを最も感じられる体験のひとつでした。

もし「人生で一度は見てみたい景色」や「一生忘れられない野生動物との出会い」を探しているなら、ぜひコスタリカの雲霧林を訪れてみてください。森の静けさの中で、エメラルドグリーンに輝く一羽の鳥が姿を現した瞬間、その旅はきっと特別な思い出になるはずです。

Mirador de Quetzales
所在地 J5V2+F3G, Carr. Interamericana Sur, San José, Copey, コスタリカ
値段 
複数人の場合 一人35USドル
一人参加の場合 一人50USドル
https://www.elmiradordequetzales.com/

©︎Keiko Morota
※店舗や時期により商品の仕様や品揃え、価格が変わる可能性がありますので、ご注意ください。
※店舗営業については最新情報をご確認ください。

PROFILE

もろたけいこ

Keiko Morota ライター/テレビプロデューサー

某キー局勤務・ドラマプロデューサー。多忙な仕事のスキマ時間で旅をするスキマトラベラー。世界一周も2回経験し、81カ国渡航・行っていない大陸は南極だけ。女性誌の読者モデルを務め、旅とファッションも諦めず、時にはバックパックも背負う冒険家スタイル。最近はマイルハックも勉強中でお得に旅する方法を追求中。

某キー局勤務・ドラマプロデューサー。多忙な仕事のスキマ時間で旅をするスキマトラベラー。世界一周も2回経験し、81カ国渡航・行っていない大陸は南極だけ。女性誌の読者モデルを務め、旅とファッションも諦めず、時にはバックパックも背負う冒険家スタイル。最近はマイルハックも勉強中でお得に旅する方法を追求中。

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