ヨーロッパを旅する楽しみのひとつが教会めぐり。ヨーロッパの歴史と文明がつまった教会には、信者でなくても特別な空気を感じ、感動せずにはいられません。一度は訪れてみたい、ヨーロッパの美しい教会7つをご紹介します。
アーヘン大聖堂(アーヘン・ドイツ)
ベルギーにほど近いドイツ中西部の街、アーヘンの象徴が、ドイツ最初の世界遺産であるアーヘン大聖堂。カール大帝の命で790年頃から800年頃にかけて建造されたもので、600年にわたって神聖ローマ皇帝の戴冠式が執り行われた特別な場所。カール大帝の墓所でもあることから、「皇帝の大聖堂」とも呼ばれています。
(C) Haruna Akamatsu
古典主義やビザンティン様式、ドイツ・ロマネスク様式など様々な建築様式が混在しており、とりわけ壁と天井一面に施された黄金のモザイクの美しさは圧巻。
25mのステンドグラスがはめ込まれた礼拝堂「ガラスの家」の宝石のようなきらめきにも目を奪われます。
ヨーロッパのなかでも特に古い教会であることから、一般的なヨーロッパの教会とはまったく違った内装や雰囲気が楽しめます。「皇帝の大聖堂」の異名にふさわしい風格と美しさは、一度見るときっと忘れられなくなるはず。
聖ヴィート大聖堂(プラハ・チェコ)
中世の面影をそのままに残す街並みが世界遺産に登録されているプラハ。街を見下ろす高台にそびえるプラハ城の主要建造物が、ゴシック様式の聖ヴィート大聖堂です。もともとは930年に建てられた円筒型のシンプルな教会でしたが、14世紀のカレル4世の時代に改築工事が始められ、20世紀に入ってようやく最終的な完成を見ました。
城門をくぐって中庭に入ると突如として眼前に現れるその姿は迫力満点。さらに横から見ると、その壮大さや装飾の美しさに圧倒されます。
(C) Haruna Akamatsu
大聖堂内部にはアルフォンス・ムハ(ミュシャ)が手掛けたステンドグラスがあり、神秘的なミュシャワールドに触れることができます。豪華な装飾が施された聖ヴァーツラフの礼拝堂や2トンの銀を使ってつくられた聖ヤン・ネポムツキーの墓碑など、見どころ満載。芸術品で満たされた空間はさながら美術館のようです。
ドゥオーモ(ミラノ・イタリア)
北イタリアのファッションの都・ミラノのシンボルが、世界最大級のゴシック建築として知られるドゥオーモ。14世紀後半に建設が始まり、正面部分が完成したのは19世紀、ナポレオンの時代のことでした。
135本の尖塔が天を射貫くように延び、2000とも3000ともいわれる無数の彫刻で飾られた白亜のドゥオーモの美しさは格別。
光の反射によって微妙に色を変える内部のステンドグラスをはじめ、繊細な細工で埋め尽くされた内部も神秘的で清浄な雰囲気をたたえています。品格と風格を兼ね備えたミラノのドゥオーモはまさに「イタリアの女王」とでも呼ぶべき傑作です。
サン・ピエトロ大聖堂(バチカン)
世界最小の独立国、バチカン市国にあるキリスト教の聖地でカトリックの総本山、サン・ピエトロ大聖堂。4世紀に聖ペテロの墓の上に建てられたバジリカがその起源で、1506年に着工、1626年に完成しました。ルネッサンス時代の巨匠、ブラマンテやラファエロ、ミケランジェロらの粋を集めた世界最大のキリスト教会です。
美しいクーポラをもつ壮大なるその姿を前にするだけで、信者でなくとも畏敬の念を感じずにはいられません。
大聖堂内部も「総本山」の名にふさわしい特別な空間。天井のドームに施された黄金の装飾、絵画や彫刻の数々は、芸術品としても一級のものばかり。大聖堂内部に入ってすぐの右側廊には、ミケランジェロの傑作「ピエタ」があり、クーポラ下にはブロンズの天蓋で覆われた法王の祭壇があります。
別格の壮大さ、神聖さに圧倒されて、思わずしばし立ち尽くしてしまうことでしょう。
聖マリア教会(クラクフ・ポーランド)
「ポーランドで最も美しい教会」ともいわれるのが、世界遺産の古都クラクフにある聖マリア教会。1222年に建設されたゴシック様式の傑作で、天に向かって高くそびえる2本の尖塔をもつ独特のシルエットはクラクフのランドマーク。
(C) Haruna Akamatsu
(C) Haruna Akamatsu
内部に一歩足を踏み入れると、色鮮やかな色彩の世界に吸い込まれるような感覚に陥ります。とりわけ、15世紀につくられた祭壇は国宝にも指定されている逸品。祭壇に彫られたおびただしい数の彫刻の繊細さ、立体感には目を見張ります。
この教会の塔の上から一時間ごとに吹き鳴らされるラッパの音「ヘイナウ」はクラクフを象徴する情緒溢れる音色。聖マリア教会は、今も昔もクラクフになくてはならない存在なのです。
ウエストミンスター寺院(ロンドン・イギリス)
960年にベネディクト派修道院として建てられ、1066年のウィリアム一世以来、歴代イギリス国王の戴冠式が執り行われてきたウエストミンスター寺院。ウエストミンスター宮殿や聖マーガレット教会とともに世界遺産にも登録されています。
イギリス王室を象徴する格式高い教会で、故ダイアナ妃の葬儀やロイヤルウエディングの場としても知られています。
見る角度によって多彩な表情を見せてくれる宮殿のようなスケールの建物は王室教会にふさわしい壮大さ。
外壁をびっしりと覆う精緻な彫刻にも気品と風格が漂い、その細やかさに見とれてしまうことでしょう。
ノートルダム大聖堂(ストラスブール・フランス)
フランスとドイツの文化が混じり合った歴史的な街並みが世界遺産に登録されているフランスの街、ストラスブール。ストラスブールの旧市街の中心にそびえるのがノートルダム大聖堂です。外壁をびっしりと覆う繊細な彫刻は見事で、その美しさはかのゲーテが「荘厳な神の木」と称賛したほど。
さらにこのノートルダム大聖堂を特別なものにしているのが、ヴォージュ山脈から切り出した赤色砂岩でできていること。赤味を帯びた色彩が荘厳な大聖堂に華やかさを添え、ほかにはない気品を生み出しているのです。
(C) Haruna Akamatsu
外観だけでなく、美しいステンドグラスや彫刻で彩られた内部も見ごたえ十分。なかでも、大聖堂内部にある仕掛け人形がある世界最大級の天文時計は必見です。外観をひと目見るだけで魅了され、内部をつぶさに見てさらに恋に落ちる。ストラスブールのノートルダム大聖堂にはそんな吸引力があるのです。
街の歴史と文化を映し出す鏡のようなヨーロッパの教会。それらを訪ね歩けば、きっとあなたの旅を鮮やかに彩ってくれるはずです。一生に一度は行ってみたい!「本当のフランス」を感じる最も美しい村6選や一生に一度は行ってみたい、世界の美しい城10選も参考にしてみてくださいね。
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