インターネットで手軽に旅行が予約できるOTA
実店舗を持たない旅行代理店であるOTA(オンライン・トラベル・エージェンシー)。24時間365日、行きたいと思ったときに、スマホやパソコンなどから気軽に旅行が予約できるので、便利ですよね。たとえば、じゃらんや楽天トラベル、Booking.com(ブッキングドットコム)などを利用したことがある人は多いのではないでしょうか?
しかし、手軽に予約できる一方で、入力間違いやキャンセルに関するトラブルなどが起こりやすい点にも注意が必要です。今回は、旅行予約サイトでホテルを予約して、日付変更する際のキャンセル料などについてアディーレ法律事務所の佳山亮子弁護士が解説します。
インターネットで旅行を予約した場合、キャンセル料はいつからかかる?
A. 2カ月以上先の予約だったとしても、変更前の予約をキャンセルした上で予約を取り直す必要がある場合は、キャンセル料がかかることがあります。
旅行予約サイトや宿泊プランにより、予約内容を変更する方法は異なります。たとえ細かな内容の変更であっても、最初の予約を一度キャンセルし、再度予約しなければならず、所定のキャンセル料がかかる場合もあります。
インターネットで旅行を予約するときは、日付、人数、宿泊先等の旅行条件を細かく、消費者自身が入力しなければなりません。操作ミスには十分注意し、急な予定変更などのリスクも考慮した上で利用しましょう。
A. 宿泊日の変更のみで、たとえ同じホテルに泊まるとしても、キャンセル料を払わないといけない場合もあります。
ホテルの公式サイトから予約して、宿泊日を誤ってしまった場合は、キャンセル料は取らずに変更を受け付けるホテルもありますが、大手ホテルチェーンや外資系ホテル、老舗の旅館などの宿泊施設は、きっちりとキャンセル料を徴収するケースも少なくありません。
これは、損失の穴埋めや利益の追求のためだけではなく、すべてのお客様に公平な対応をするためです。変更不可の特別レートで誤った予約を入れた場合も、キャンセル料金が発生します。
しかし、OTAと呼ばれる予約サイトにおいては、規定日数を超えてからのキャンセルには自動でキャンセル料金がかかります。特に、宿泊代金の支払いをクレジットカードの前払いにしていれば問答無用で支払いが行われてしまいます。
ホテルに直接予約したら変更できるのに、予約サイトだとキャンセル料を取られるのは納得できないという思いがあるかもしれませんが、予約キャンセルを、法的な表現を用いて言い換えてみると以下のようになります。
『消費者(個人)と事業者の間で締結された契約(=消費者契約)を解除・取消・撤回する行為』
つまり、「予約」は、れっきとした「契約」です。顧客とホテル側の手続きが完了した時点で、顧客には原則として予約内容を履行する義務が生じます。
そのため、予約キャンセルあるいは無断キャンセルにより契約の履行がされなかった場合、民法第415条に基づき、ホテル側は顧客に損害賠償(=キャンセル料)を請求できるのです。
A. キャンセル料の発生期間はホテルによって異なります。多くのホテルでは、宿泊の1週間前からキャンセル料が発生するようです。
キャンセル料の目安は、予約日の7日~4日前で宿泊料の20%、3日~2日前で宿泊料の50%、前日で宿泊料の80%。当日のキャンセルや無断キャンセルの場合は、宿泊料の100%を請求するホテルがほとんどのようです。
しかし、海外のOTAを利用した場合、たとえ予約したのが国内の宿泊施設であっても、海外OTA事業者に対しては、日本の旅行業法や消費者契約法が適用されません。その事業者との契約を履行することは、キャンセルポリシーに従うということになります。
よって、予約直後でも100%のキャンセル料がかかるという条件になっていれば、宿泊が2カ月先でも、宿泊予約の契約成立後は100%のキャンセル料を払わなければならないのです。
インターネット予約でトラブルに合わないための4つの注意点
トラブルにあわないために、旅行予約の際は以下の点に注意しましょう。
(1)キャンセル条件を必ず確認する
いわゆるキャンセルポリシー(キャンセル料が、いつから、どのくらいかかるか)は、旅行を予約する際の重要なポイントです。必ず確認しておきましょう。
(2)お得なプランは契約条件に注意する
割引プランの中には一度予約すると日程の変更ができない、キャンセル料が高額なプランなどもあります。有利な条件だけに目を向けず、不利な条件がないか、よく確認しましょう。
(3)予約確定前に予約内容に間違いがないか、再度確認する
日付、人数、宿泊先など旅行条件の詳細まで、しっかり確認しましょう。
(4)前払い以外の支払い方法を検討する
旅行予約サイトによっては、代金支払い前の場合はキャンセル料がかからないことがあります。予約ミスなどが心配な場合は、後日払いや現地払いなど、支払いの時期をなるべく後にずらす方法がないか、確認してみましょう。
[協力]
アディーレ法律事務所
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