最近、いろいろなロボットのリリースが話題になっていますね。
例えばソフトバンク「ペッパー」のニュースは記憶に新しいと思いますが、実はそれ以前から富山県内の企業では癒しをテーマにしたアザラシ型ロボットが製造されているとご存じですか? しかも、その癒し効果が世界一と認定されて、ギネスブックに掲載されているほどの実力。
そこで今回は富山県の情報を参考に、癒しのロボット「パロ」の魅力を紹介したいと思います。
「パロ」は2002年にギネスブックに掲載される
「パロ」のプロジェクトは、1993年にスタートしました。富山県西部にある城端(じょうはな)出身で、独立行政法人産業技術総合研究所の主任研究員が、産業用ロボットの研究を進めるなかで、人の心に働きかけるロボットの開発を思いついたところから始まるそう。
最初は犬型や猫型の開発が企画されたそうですが、すぐに本物との比較を強いられるデメリットがあるため、本物と比較される心配のないアザラシ型に方向をシフトしたとか。その後、試作やテストの末に実用レベルの癒しロボットが完成し、国内外の病院や老人施設で使用が開始されたと言います。
導入された現場では実際、いつもは黙って座っているばかりの老人が「パロ」に触れようと手を伸ばしたり、小児病棟の子どもの笑顔が増えたりといった効果が確認されたとか。その話題が海外にも広がり、2002年には世界一セラピーの効果があるロボットとしてギネスブックに認定されました。
デンマークは国家レベルで「パロ」を医療福祉施設に導入する
その後も「パロ」の勢いは止まりません。改良や改善を重ねる中で、北欧各国、オランダ、ドイツ、デンマークなどの医療福祉施設で導入がスタート。厳しい評価で有名な米国食品医薬品局でも「パロ」は“医療機器”として認定されたそうです。
デンマークにおいては国家レベルで評価を受け、なんと国内にある10%の医療福祉関連施設で導入がされているとか。
「ええ、でもそれなら医療施設や福祉施設にしかないのでしょ? 触ってみたいのに~!」
という一般の方、安心してください。置いてますよ。富山駅前のCiCというビルには富山県の名産品を販売・展示しているフロアがあるのですが、その一角に本物の「パロ」が展示されています。誰でも触れるようになっていますので、ぜひとも北陸観光の際に立ち寄ってみてください。
本当の生き物と接しているような“喜び”を与えてくれる
「パロ」に触れて最初に感じる驚きは、その毛並みの良さ。作業員による手作業で仕上げられるという抗菌加工を施した人工毛皮は、本物の小動物に触れているような温かみがあります。
筆者がCiCに展示されているパロに会いに行くと、パロはお昼寝中。
「朝、昼、夜のリズムがあるんです」とは、筆者のために寝ているパロを揺り起こしに来てくれたスタッフのお話です。スタッフの方がパロのお尻のあたりをくすぐると、ゆっくりとパロは目を開け、こちらを見て「キュー」と寝ぼけた声を出しました。不覚にも目と目が合ってドキッとしてしまった筆者。
「こんにちは」と声を掛けると、何かを探すように左右に顔を向けてから何回かまばたきをして、私の声掛けが平凡すぎたのか、再び眠ってしまいました。
パロは光の変化を感じ取れる視覚や、音声を感知する聴覚を持ち、ひげを含めた全身にある触覚センサで誰かに触れられていると理解をします。
筆者が抱き上げると再び大きな目を開け、こちらを見上げてくれました。重さは2.7kg。新生児と同じくらいですね。体調は57cm。
「もう少し重くてもいいのかも」と筆者は思ったりもしましたが、高齢者が主に触れる点を考えると、ちょうどいい重さなのかもしれませんね。
「ちなみにこのパロ、普通に買えるんですけど、幾らだと思いますか?」とスタッフの方が質問してくださいました。「20万円くらいですか?」と答えたところ、「40万円」だとか。なるほど帰宅後にamazonを調べてみたら、メンテナンス付きで453,600円、メンテナンスなしの単体では388,800円でした。
「ええ? 高い!」と思う人も居るかもしれませんが、もしかしたら「パロ」に実際に触れあってみると「納得」と気が変わるかもしれません。ぜひとも富山に会いに来てくださいね。