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日本百名山 新潟の苗場山へ
標高2,145mの苗場山。上信越高原国立公園内にある山で、山頂部分は平らな高層湿原になっていて、多くの池塘があります。その独特な姿から越後の名山として数多くの登山者に親しまれている山です。
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もっともポピュラーな登山道が、かぐらスキー場中腹にある和田小屋から祓川ルートと呼ばれる道を行くもの。標高1,380m地点にある和田小屋、冬場はスキー客、そして夏場は登山客でにぎわいます。今回はこの和田小屋に宿泊して、早朝に出発しました。
ちなみに和田小屋までは車で行くことができますのでご安心を。越後湯沢ICや越後湯沢駅から40分ほどです。
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和田小屋にあった登山地図では、苗場山頂まで3時間20分ほどで着くとありますが、余裕を持って4時間ほど見ておいたほうが良いかもしれません。
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まずは、かぐらスキー場の脇を登っていきます。
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8月だというのに、リンドウの花があちこちに咲き始めていました。
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樹林帯の坂を上ってゆくと、いったん平らな場所に出ます。それぞれ下ノ芝、中ノ芝、そして上ノ芝、という名前が付けられています。ここは上ノ芝。ひと休みするにはちょうどいい場所になりますね。
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南のほうに長野県の野尻湖が見えます。が、その上空になんだか黒い雲が現れてきましたねえ。
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神楽峰という2,030m地点を過ぎると、いったん坂を下ることになります。その向こうに苗場山があり、急坂を登ることになりますが、あちらにも雲がかかってきました。
苗場山の周囲は切れ込んでいて、山頂の部分だけが平らになっているようなのです。テーブルマウンテンのような形ですね。
お花畑の高山植物たち そして山頂の湿原へ
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神楽峰を下ると、「お花畑」という標識が立っていました。この周辺は初夏には美しい花々が咲き誇るお花畑ということなんですね。ちなみに上の写真はトリカブト。毒をもつ植物ですが、鮮やかな紫色はとても目立ちます。
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こちらはハクサンフウロ。
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これは全体に白っぽいですがチングルマでしょうか。チングルマは中央部分が黄色でしたね。
このほか7月頃には、ニッコウキスゲやシラネアオイ、ハクサンシャクナゲにヒメシャクナゲ、コイワカガミなどたくさんの高山植物を見ることができるそうです。
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山頂手前の雲尾坂。最後の踏ん張りで急坂を登っていきます。それにしても雲尾坂という名前の通り、どんどん曇ってきますね。
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急坂を登り切って、ようやく山頂付近の平らな湿原に着いたようです。曇っていますが、なんとか雨も降らずに山頂の湿原と池塘が見渡せました。
ふつう高い山は山頂部分が尖っていたり、そうでなければ平らなところは狭いのですが、苗場山はたしかに平らです。調べてみると、南西に向かって少し傾斜しているようですね。
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湿原には小さな湖沼や池塘が点在し、そこにミヤマホタルイやヤチスゲなどの草が繁って、田んぼに植えた苗のように見えることから、山の名が「苗場山」となったという説があるんだとか。
この高層湿原は生物多様性の観点から重要な湿地を保全することを目的にした、環境省の「日本の重要湿地500」にも選定されています。
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湿原には木道が敷かれているので歩きやすくなっています。木道を歩きながら湿原や美しい花々を眺め、最も高い山頂へ向かいました。
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そして、まもなく山頂の標識に到着です。2,145m地点。ただこの周囲は木立に囲まれた平坦な場所で展望がききません。
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標識の近くに「苗場山自然体験交流センター」という山小屋がありました。ここは宿泊や食事もできる山小屋です。和田小屋から4時間近く、このテラスで昼食をいただきました。
ちなみに予想した通り、下山のさなか土砂降りの大雨に遭いました。傘も役に立たない雨で、しばらく木陰で雨が止むのを待ちました。何とか無事に下山。下山すると雨が止んだのです。
住所:新潟県南魚沼郡湯沢町三俣
電話:025-788-9221
HP:https://www.princehotels.co.jp/amuse/wadagoya_summer/
至福の時間 法師温泉長寿館
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かぐらスキー場の和田小屋から国道17号線を走り、三国峠を越えて群馬県に入ります。法師温泉長寿館は国道から旧道に入りまもなく、30分ほどで到着。ここは大好きな宿のひとつで、4度目の宿泊になります。
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明治8年(1875年)創業という歴史を感じさせる木造建物が、温かく出迎えてくれるような印象なのです。
ちなみに長寿館へは関越道の月夜野ICからは30分ほど。越後湯沢ICからだと1時間弱でしょうか。公共交通機関では、上越新幹線上毛高原駅から猿ヶ京までバスで30分、そこで法師温泉行の町営バスに乗り換えて20分ほどです。
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かつては与謝野鉄幹や与謝野晶子、若山牧水、川端康成など多くの文人が宿泊しています。
亡くなった女優・夏目雅子さんが新婚旅行で訪れていたといい、実は私、その部屋に宿泊したことがあります。
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建物は古いのですが、廊下も壁も磨かれたようにピカピカで、いつも感心するのです。
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今回は法隆殿という別棟に部屋を取りました。本館と別館は国登録の有形文化財に指定されています。そのほかに昭和53年(1978年)に建てられた薫山荘と、今回宿泊する平成元年(1989年)に建てられた法隆殿があるのです。
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法師川沿いに樹木と木造の建物が美しい景観を作り出していて、春夏秋冬どこを切り取っても絵になる宿なのですね。
「法師乃湯」で癒やされ、食で癒やされ
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有名な大浴場は「法師乃湯」と名付けられています。由来は弘法大師巡錫の折に発見されたということのようです。とはいえ残念ながら、実際に弘法大師は東日本には来ていません。
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それはともかく、明治28年(1895年)に建てられたという浴室は見事です。泉質はナトリウム・カルシウム硫酸塩泉。無色透明でとろとろしたお湯です。
浴槽の下には玉石が敷き詰められ、心地よい刺激を与えてくれます。しかも、その玉石の間からお湯がコポコポと湧き出るのです。場所を移動したからといって変わりないのですが、なるべく新鮮なお湯に触れようと湧き出る場所を探してしまうのです。
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「法師乃湯」は基本、混浴ですが、20~22時は女性専用の時間帯となります。「法師乃湯」のほかにも、「玉城乃湯」と「長寿乃湯」があり、それぞれ時間帯を変えて女性、男性が交互に入浴できるので確認してみてください。
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食事は部屋でいただきます。特別なものが供されるわけではありません。でも新鮮な素材を使って、ひとつひとつ丹精込めて作った料理だとすぐにわかります。
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お造りは、地元沼田産のギンヒカリ。利根川上流の清らかで豊富な水に恵まれた特産品で、山の清流で育つサーモンとして知られています。
下の写真は冷し鉢の玉子豆腐、そして山ふぐの竜田揚げ。山菜や野菜が新鮮で、ひとつひとつの味わいが素晴らしいのです。鍋物では、群馬産の麦豚しゃぶしゃぶをいただきました。
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名湯として知られる法師温泉長寿館。その名の通り、温泉だけでなく、料理やスタッフのもてなし、建物のぬくもり、居心地などなどすべてに渡って満点の名湯なのです。