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【離島暮らしのリアル】直島移住はじめて雑記~第7回:離島の「物価」に衝撃

Posted by: 春奈
掲載日: Feb 20th, 2022. 更新日: Aug 15th, 2022

「瀬戸内のアートの島」として知られる、香川県の直島。フリーランスライターの筆者は、夫の仕事の都合で思いがけず直島で暮らすことに。人気の観光地でもある離島での生活とは、いったいどのようなものなのでしょう。直島の魅力や離島ならではの苦労話など、住んでみたからこそわかった「離島生活のリアル」を連載形式で綴ります。7回目の今回は、離島の物価について。

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直島フェリー・あさひ


 


最低限の食料品と日用品はそろう直島

直島のセブンイレブン

「買い物とかどうしてるの?」― 「離島に住んでいる」というと、よく受ける質問のひとつではありますが、直島には小規模なスーパーとコンビニがあるので、最低限の食料品と日用品は島内でそろえることができます。

小豆島のように面積が大きく大都市からも比較的近い島は別として、本土と橋などでつながっていない小さな離島の場合、スーパーがない島も珍しくありません。小さくてもスーパーとコンビニがあるだけでも、直島は恵まれているほうだといえるでしょう。

しかもコンビニはセブン-イレブン。「うちの島にはセブン-イレブンがあるんだよ~」と、ちょっとした自慢です。

とはいえ、本土と同じ感覚で買い物ができるかというと、それはまったく違います。

一般的に「地方は東京に比べて物価が安い」というイメージがあると思いますが、離島では決してそうではありません。むしろ、一般的な食料品や日用品を購入するためにかかる金額は、都内よりも直島のほうが高いはずです。

離島のスーパーの値段に衝撃

直島生協

「スーパーがあるとはいっても、小規模だし値段も高いかも」というのは引っ越してくる前からある程度想定はしていました。しかし、実際に引っ越してきてはじめて直島のスーパーに行ったときは、その値段にあらためてびっくりしてしまいました。

野菜など一部の商品はさほど割高に感じませんが、肉や乳製品、加工食品、調味料、洗剤やトイレットペーパーといった日用品など、生活上欠かせないほとんどの商品の値段が軒並み高いのです。ものによって違いますが、本土の一般的なスーパーに比べて3割以上値段が高いものも……。

直島のスーパー

値段の安い輸入品があまり入ってこないからというのもありますが、例えば豚バラ肉は200gで550円ほど。豚バラ肉って安いイメージだったのですが、離島ではちょっとした高級品ですね。

冷凍食品やアイスクリームなども高く、本土の安いスーパーなら200円を切るくらいの値段で売っている商品が、直島では400円近いのを見て目をむきました。

直島ではスーパーの値段が高いので、ほかではあまり見られないような逆転現象も起きています。世間的には「コンビニはスーパーより割高」というのが常識ですが、セブン-イレブンは基本的に全国統一価格ゆえ、直島ではスーパーよりもコンビニで買ったほうが安いものもあるのです。

2013年にオープンしたという直島のセブン-イレブンは、もはや島民や島で働く人たちにとって欠かせないインフラになっているよう。スーパー感覚で大量に冷凍食品を購入していく島民の姿を見かけることもあり、全国チェーンといえどもなんだかローカルな雰囲気です。

島内で手に入るものは限られる

宮浦港周辺の風景

小規模スーパーとコンビニである程度の食料品と日用品が調達できるとはいえ、あくまでも「最低限」。島内であれこれそろえようと思うと、値段の高さだけでなく種類の少なさも問題になってきます。

島で売っているものは種類がごく限られているので、特定のブランドの商品にこだわって買うことはできません。ヨーグルトにしても、フルーツジュースにしても、歯磨き粉にしても、洗剤にしても、特定のブランドのものが欲しければ、島の外から調達するしかないのです。

また、野菜なども基本的なものはそろっているものの、バジルなどちょっと変わったものは島内では手に入りませんし、季節によるのかマッシュルームはもう何カ月も島のスーパーでは見ていません。

スーパーに行く時間帯によっては、豚ひき肉や鶏むね肉などが売り切れていることもあるので、お肉を使った料理を考えているときは、まずお肉の棚を確認してからほかの食材を買うようにしています。

「買い出し」は島民の日常

宇野のスーパー

「高い高い」を連発していると、自分がすごく貧乏性になったような気がしてしまいますが、やはり小さな離島ですべての食料品や日用品を調達するのは値段と品ぞろえの面で限界があります。

ではどうしているかというと、多くの島民が習慣にしているのが「買い出し」。直島から20分程度で行ける岡山県の宇野まで、フェリーで買い物に出かけるのです。服など本格的な買い物をしたいときは香川県の高松に行くこともあります。

全員が全員ではありませんが、「買い出し民」の多くはナイロンのカートを引いているので、フェリーや港周辺で姿を見かけると「買い出しに行くんだな」とすぐわかります。「離島の住民」としての一体感を覚える瞬間です。

筆者夫婦は島外への買い出しの頻度は少なめですが、毎週のように買い出しに出かけている人も少なくありません。

島外に買い出しに行くとたくさんのものを買い込むので、直島では冷蔵庫が2台ある家庭も珍しくないようです。島で買うと値段の高いお肉などは、小分けにして冷凍しておくんだとか。

宅配業者の方が「神」に見えた

宅配食材

個人的にはネット通販もフル活用しています。筆者は以前からネット通販のヘビーユーザーでしたが、直島に引っ越してきて、ファッションアイテムや本、化粧品はもちろんのこと、洗剤や歯磨き粉、バスソルト、調味料、食用油、ハーブティーなどもネットで買うようになったことに加え、Oisixの宅配食材も活用するようになったので、ネット通販の利用頻度がさらに増えました。

直島に引っ越してきて、島では手に入らないものや島で買うと高いものを届けてくれる宅配業者さんには本当に感謝しきりです。引っ越してきたばかりの頃は、それこそ「神」に見えていたほど……。

10年間東京で暮らし、都会の便利な生活に慣れきっていた筆者が曲がりなりにも離島で生活できているのは、「ネット通販があるおかげ」といっても過言ではありません。

ごく一般的な食料品や日用品の調達ひとつをとっても、離島では「値段が高い」「種類が少ない」など、さまざまなハードルがあります。

一方で、欲しいものが何でも近くで買える環境ではないからこそ、島では手に入らないものを買い出しに行って調達したり、お取り寄せで手に入れたりしたときの満足度は格別。離島に住んでいても、あらゆるものがネットで買える便利な社会と、それを家まで届けてくれる宅配業者さんに、感謝、感謝です。

[All photos by Haruna]

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春奈

Haruna ライター
和歌山出身、上智大学外国語学部英語学科卒。2度の会社員経験を経て、現在はフリーランスのライター・コラムニスト・広報として活動中。旅をこよなく愛し、アジア・ヨーロッパを中心に渡航歴は約60ヵ国。特に「旧市街」や「歴史地区」とよばれる古い街並みに目がない。半年間のアジア横断旅行と2年半のドイツ在住経験あり。現在はドイツ人夫とともに瀬戸内の島在住。


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