
ゆっくり起きて朝食

「アートの島」としての直島を知っている方は、「直島での日常」というものがなかなか想像できないのではないでしょうか。筆者も直島に引っ越してくる前はそうでした。そこで今回は、「直島のとある休日」をレポートしたいと思います。
筆者は夫と2人暮らし。夫は出勤時間が早く、下手をすると筆者がまだ寝ているときに家を出ていくのですが、週末は2人で朝食をとります。
直島に住むようになって非常に重宝しているのが、冷凍パン。宅配食材のOisixで未焼成の冷凍クロワッサンなどを購入して、家で焼いて楽しんでいます。
しばらく室温で置いた後オーブンで焼くので、焼き上がりまでに時間がかかるのですが、これがとってもおいしいんです! フランス直輸入、さらには焼きたてなので、正直いって日本のほとんどのパン屋さんで買うよりもおいしいクロワッサンが食べられます。
冷凍パンを買うようになったのも、近くで手に入るものが限られる直島に住むようになってから。直島にもベーカリーはありますが、気軽に歩いていける距離ではないので、朝から車に乗って買いにいくよりも家で焼いたほうが気がラクです。
「離島に住まなかったら冷凍パンのおいしさを発見することもなかっただろうな~」と思うと、不便な生活もデメリットばかりではありませんね。
「ベネッセハウス ミュージアム」周辺をお散歩

この日は、「ベネッセハウス ミュージアム」のカフェでランチをすることに。ベネッセハウス ミュージアムは、専用車や宿泊客を除き、車両の乗り入れができないので、駐車場に車を停めてからがけっこう遠いんです。ミュージアムのすぐ前まで行けるバスに乗り換えるという手もありますが、お天気が良ければ海辺の景色を眺めながら歩いていくのもいいものです。

「つつじ荘」前の駐車場からベネッセハウス ミュージアムにいたる道には、「泊まれる美術館」として知られる「ベネッセハウス」の宿泊棟の一部があったり、屋外アートがあったり……。製錬所がある関係で離島にしては車通りが多い道もある直島ですが、ここはほとんど車が通らないので、とっても静か。のんびりとした気分で散歩が楽しめます。

海を眺めながらのんびりできるベンチもあります。これぞ「離島」のイメージ通りではないでしょうか。このあたりは筆者が住むエリアからは少し離れているため、同じ島内の風景といえども新鮮な気持ちになれます。
「ベネッセハウス ミュージアム」のカフェでランチ

この日のお目当ては、アートというよりもベネッセハウス ミュージアム内のカフェ。ミュージアムショップを併設しており、本格的なレストランというよりはちょっとした軽食やお茶を楽しむような感じですが、直島でも指折りのロケーションが魅力なんです。

窓の向こうは瀬戸内の海! もう少しあたたかくなってきたら、外のテラス席も最高でしょう。「離島」というと「海カフェ」をイメージされる方もいるかもしれませんが、直島には店内から海を眺められる飲食店はあまりありません。
海を眺めながら軽いランチやお茶を楽しみたいなら、ベネッセハウス ミュージアムのカフェのほか、地中美術館のカフェもいいですよ。

日頃は離島生活の不便さに悶々としてしまう瞬間もありますが、やはり海を眺めると素直に感動します。瀬戸内の一番の魅力は、やさしい海の風景と穏やかな空気感。この土地を離れたら、きっとこの海が恋しくなるんだろうなと思います。
直島に住んで週末が長く感じるように

ランチを終えて帰宅したら、あとはNetflixで海外ドラマを観たり、読書をしたりと、家の中でのんびり(「ダラダラ」ともいう)。直島に引っ越してきてから、妙に「土日の2日間って長いな」と感じることが増えました。
なぜだろうと考えると、家からちょっと離れたところに出かけたり、夫以外の人と会ったりすることが少ないからです。以前は街の中心に出て食事や買い物を楽しんだり、友だちとランチやお茶を楽しんだりすることも少なくなかったのですが、直島では時間を使う場所もそんなにありませんし、友だちがいないので、日常生活で人に会う機会もほとんどありません。
都市部に住んでいれば、ぶらぶら街を歩いてカフェに入ったり、ウインドーショッピングを楽しんだりするだけでもすぐに時間が経ちますが、「行くところがあまりない場所で充実した休日を過ごすというのはなかなか難しいものだなぁ」と感じています。
離島に住むと自分が「楽しみ上手」かすぐわかる

都会にいると「お膳立てされたエンターテイメント」がいくらでもあるので、あまり意識することはありませんが、離島のように物質的にあまり豊かではないところに住むと、自分が「楽しみ上手」かどうかがすぐわかってしまうのです。
そういう意味で、「まだまだ自分は、何もないところから楽しみを生み出すのが下手だなぁ」と実感する今日このごろ。「一日中海を眺めるだけで幸せ」という人にちょっぴり憧れますが、まだまだいろんな欲を手放せない筆者には、仙人のようなスローライフはできなさそうです。
[All photos by Haruna]

Haruna ライター
和歌山出身、上智大学外国語学部英語学科卒。2度の会社員経験を経て、現在はフリーランスのライター・コラムニスト・広報として活動中。旅をこよなく愛し、アジア・ヨーロッパを中心に渡航歴は約60ヵ国。特に「旧市街」や「歴史地区」とよばれる古い街並みに目がない。半年間のアジア横断旅行と2年半のドイツ在住経験あり。現在はドイツ人夫とともに瀬戸内の島在住。
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