山の中の和モダンなホテルで気軽に“禅”体験!坐禅編「永平寺 親禅の宿 柏樹関」【福井】

Posted by: ロザンベール葉

掲載日: Oct 28th, 2020

山の中でゆっくり過ごしたいと思い、福井県にある曹洞宗の大本山・永平寺の門前にある「永平寺 親禅の宿 柏樹関」に滞在してきました。昨年オープンした和モダンで快適なホテル空間で、禅体験をできるのが魅力です。体験しなくても、ただ豊かな自然の中に滞在するだけで心身が癒やされるはず。3回に分けて体験ルポをお届けします。今回は最終回「坐禅編」です。

坐禅1
(C) 永平寺 親禅の宿 柏樹関

4つの“禅”体験

“禅”体験の内容は、坐禅、写経、永平寺での朝のおつとめ、精進料理です。今回は体験した「坐禅」を中心に、他の体験をご紹介します。

調身・調息・調心がポイント「坐禅」

坐禅2

筆者は宿に到着して少し休んでから、普段着(パンツならOK)で参加しました。当日は宿内の「開也の間」が会場で、参加人数は5人。ほかの人は部屋に用意されている作務衣(さむえ)を着ていました。

筆者が行った9月下旬は「開也の間」が会場でしたが、2020年10月1日からは法要がある時以外、基本的には永平寺で坐禅ができるそうです。寺内だとより本格的な体験ができそうですね。

まずは禅コンシェルジュが、合掌から坐禅の仕方、心構えなど、一連の流れを教えてくれます。その後、実際に坐禅を組み、最後にそれぞれが感想を述べてそれにコンシェルジュが答えてくれます。全てで約1時間です。

こちらは曹洞宗の坐禅で、宗派により細部は異なるようですが、下記の「調身・調息・調心」がポイントです。

●3つの「調う(ととのう)」
調身(ちょうしん):姿勢を整える
調息(ちょうそく):静かにゆっくりと呼吸をする
調心(ちょうしん):様々な思いにとらわれず、追いかけず、身体と息を整えて坐る
※姿勢が調い、呼吸が調うと、自然に心が調います。

永平寺の坐禅では、僧侶が肩を軽く打つ「警策(きょうさく)」があるそうですが、これは罰ではなく、眠くなったりした時の励ましの意味を込めてだそうです。

禅のいろは
(C)ロザンベール葉

約1時間、久々に何もせず座るだけというゆっくりとした時間を過ごしました。筆者は時々ヨガをしているのですが、わりと似ている気がします。永平寺で体験すれば、また違った印象になるのかもしれません。目を開いた坐禅は初めてで、これが意外と「調える」ことに集中できません。目からの刺激は強いんですね。頭の中には仕事やら家事やら雑念が次々にわき起こり、当然ですが“無”にはほど遠い・・・。

禅コンシェルジュによると、雑念がわくのは当然のことで、よほど修行を積んだ高僧でないと“無”になるのは難しいそうです。「調身・調息・調心」ができれば立派な坐禅で、難しく考える必要はないとのこと。それを聞いて気が楽になりました。

ほかの参加者は「足や体が痛くなって集中できなかった」「10年前に体験して日常に取り入れようと思いつつ出来ていないが、これを機に取り入れようと思う」「坐禅を続けていると背筋が曲がってしまい、姿勢が悪いのを実感した」「目を開けているのに眠くなってしまった」と感想はさまざま。眠くなるのはリラックスしている証拠だから良いことだそうです。

日常生活の中でまとまった時間を取り、静かな時間を過ごすのは難しいですよね。でも、いつでもどこでも誰でもできるのが、坐禅の良いところ。椅子でもできるそうなので、時には「調身・調息・調心」に意識を集中してリラックスすることは心身に良さそうです。

ヨガや瞑想の原点でもあるので、ヨガをしている人ならわりと入りやすいと思います。参加者の皆さんはほぼ初心者で気が楽でしたよ。少しでも興味があれば、参加することをおすすめします!

永平寺での坐禅体験
10:00~、13:30~(恩金:一人500円)
宿泊者は15:30~(無料)で永平寺まで送迎あり。
※新型コロナウィルス感染症対策のため、人数によっては禅堂以外を使用することもあります。
※永平寺の坐禅体験が中止の場合、宿内「開也の間」で禅コンシェルジュのサポートで開催。

集中して気分スッキリ!「写経」

坐禅3
(C)ロザンベール葉

宿内「開也の間」かお部屋で、好きな時に写経体験ができます。無心に写経をすることで雑事を忘れて、気持ちがスッキリすることでしょう。

写経
費用:用紙代
場所:「開也の間」か客室

寺内に僧侶の読経が響き渡る「朝のおつとめ」

日の出前から永平寺で多くの僧侶が務める「朝のおつとめ(朝課(ちょうか))」。多くの僧侶たちが一斉に唱える読経を聴く体験です。夜が明ける前(午前4時~)に永平寺の法堂で聴く、僧侶たちの読経は迫力があり荘厳ですらあります。それぞれのハーモニーが重なっていきます。祈りと共にようやく朝が明け、一日の始まりに背筋がピンと伸びる思いになれるはずです。

実は筆者は朝に弱い根性なしで、こちらには参加しませんでした。永平寺での僧侶たちの読経を目の前で見られるのは貴重な機会です。写真を掲載できないので、その様子はHPの「朝のおつとめ」(https://www.hakujukan-eiheiji.jp/zen-experience/)をご覧ください。

永平寺での朝のおつとめ
時間:午前4時~
料金:無料
※希望者はチェックインの前日までに要申し込み
※冬季は冷え込むので、暖かい服装で参加しましょう

ほかにも禅にちなんだ体験、講話などイベントの開催を予定しているそうです。詳細は下記HPをご覧下さい。

“禅”の心を学ぶ

永平寺1
(C)ロザンベール葉

禅といってもいくつかの宗派があり、永平寺は道元禅師が開いた曹洞宗の大本山です。修行僧にとっては、坐禅、朝課(朝のおつとめ)、行鉢(ぎょうはつ・正式な作法に則る食事)、作務(さむ・掃除などのこと)、睡眠に至るまで、日常生活にただひたすら打ち込むことが、禅の修行になるそうです。

私たちにとっても仕事、家事、子育て、人間関係などの日常生活がそのまま修行になっているのではないでしょうか。禅の基本は「心と身体を調える」こと。そのために坐禅をしたり、食材に感謝しながら丁寧に料理すること、他人を思いやる礼儀作法などを時には振り返ってみることが大切なのかもしれませんね。体験をしてみて、現実とのバランスを取りながら、できることから始めればいいのかなと思いました。

永平寺2
(C)ロザンベール葉

筆者は精進料理と坐禅のみの体験でしたが、こんな気楽な滞在ができるのもこの宿の魅力です。前にご紹介したホテル編、精進料理編とあわせてご覧いただくと宿の全体像をおわかりいただけるかと思います。

最近ではスティーブ・ジョブズをはじめ、世界のビジネスパーソンや欧米人らに注目され、見直されている“禅”。瞑想、ヨガ、マインドフルネスなどの源でもあります。

コロナ禍で「ニューノーマル」な生き方を模索する今の私たちに、禅の思想が「心を調える」ためのヒントを与えてくれるかもしれませんね。

永平寺 親禅の宿 柏樹関
住所:福井県吉田郡永平寺町志比6-1
予約:050-3504-9914(9:00~19:00)
問い合わせ:0776-63-1188(9:00~19:00)
URL:https://www.hakujukan-eiheiji.jp/
PROFILE

ロザンベール葉

ロザンベール葉

主に横浜・東京で育ち、縁あって京都に在住。美術書出版社勤務を経て、フリーランスライター歴20年余り。フランス人のパートナーと共に、フランスとイタリアを中心に気ままな旅をする。海はどこも好きだけど、「地中海」という響きに憧れる。マイペースが好き。

主に横浜・東京で育ち、縁あって京都に在住。美術書出版社勤務を経て、フリーランスライター歴20年余り。フランス人のパートナーと共に、フランスとイタリアを中心に気ままな旅をする。海はどこも好きだけど、「地中海」という響きに憧れる。マイペースが好き。

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