(C)Masato Abe
日本百名山 巻機山へのアクセス
日本百名山の巻機山は標高1,967m。頂上付近のなだらかな山容や天空に広がる池塘や高原など、独特の景観が魅力です。稜線を歩きながら高山植物や絶景も楽しめるので、山好きの方に大人気の山なのです。
(C)Masato Abe
巻機山へのアクセスは、JR上越線の六日町駅からバスで40分ほどの終点・清水バス停下車。そこから徒歩30分ほどで桜坂駐車場登山口に向かいます。車でアクセスする場合には、塩沢石打ICから30分ほどで登山口となる桜坂駐車場まで直接入ることができます。
(C)Masato Abe
天気のいい8月のこの朝も、あっという間に大きな駐車場が満車状態となりました。駐車料金は500円。トイレも駐車場にあるのでご安心ください。
(C)Masato Abe
関東近辺ではふつう植林された杉木立のなかを歩いて行くのですが、ここでは歩き出しから自然林のあいだを歩く印象で、気持ちのいい山歩きです。
(C)Masato Abe
3合目までは比較的緩やかで、4合目からやや急坂になっていきます。1時間半ほどで5合目たどり着くと、ようやく展望が開けます。
(C)Masato Abe
4合目から先には美しいブナ林が広がっていて、陽光を浴びた葉がみずみずしく輝いていました。
(C)Masato Abe
井戸尾根に出ると眺望が開けます。そして目の前の山が山頂かと思ってしまいますが、それはニセ巻機山とも呼ばれる前巻機山。山頂はさらにその向こうに隠れているのです。
(C)Masato Abe
ここから山頂までがちょっと長いのです。登り道は整備されていますが、延々と続く階段にうんざりするかもしれません。そんな時には振り返って周囲の美しい山並みを見渡してください。
(C)Masato Abe
巻機山の名前の由来は、頂上一帯が「御機屋(おはたや)」と呼ばれ、美しい女性が機を織っていたという伝説によるもので、ふもとの南魚沼市大木六地区には機織りの女神・栲幡千々姫命(たくはたちぢひめのみこと)が巻機権現として祭られているそうで、織物と穀物の神様なのですね。
(C)Masato Abe
五合目から2時間半ほどで9合目の前巻機山までやってきました。「ニセ巻機山」という奇妙な標識がありますが、尾根や遠くふもとから見える景色では、ここが山頂に見えてしまうのだそうです。
(C)Masato Abe
前巻機山のあたりで出会った登山者に教えてもらい、南を振り返ると、見えますか?写真の中央奥、はるか遠くになんと富士山がうっすらと見えているではありませんか! こんな遠くからでも富士山が見えるのですね。
(C)Masato Abe
ここからしばらくは、緑に覆われたなだらかな湿原地帯が続きます。木道歩きも気持ちがいいのです。
(C)Masato Abe
20~30分ほどで2階建ての避難小屋が見えてきました。トイレもここにあります。また山頂まではもう少しありますので、水が少なくなっていたら、この近くにある水場で飲み水を補充しておいてください。
巻機山 天空の楽園を歩く
(C)Masato Abe
さきほど、頂上一帯は御機屋(おはたや)と呼ばれていて、美しい女性が機を織っていたという伝説があると書きました。避難小屋から少し登ったところに織姫池(おりひめいけ)という池があります。
写真の右側、草原の緑が静かな湖面に写り込んで同化していますね。
(C)Masato Abe
風もない日だったので、今度は静謐な湖面は青空を映し出していますね。現場でなければ実感できないのですが、本当に絶景なのです。
昔むかし、山歩きをしていた村人が美しい織姫に出会う白日夢を見たとしても不思議はありません。
(C)Masato Abe
織姫池を過ぎて周囲を見渡すと、はるか越後の山なみが遠く広がり、気持ちのいいこと。まさに天空の楽園です。
(C)Masato Abe
そしてまもなく巻機山の山頂標識が見えてきました。とはいえ、ここが標高1,967m地点らしいのですが、なぜかその先にまだ、この場所よりも高い場所が見えるのです。
(C)Masato Abe
そして、さらになだらかな坂を進んでいきます。周囲にもいくつか池塘が見えていますね。もう頂上近いのですが。こんなところに池塘があるのは不思議。
(C)Masato Abe
そして山頂標識から20分ほどでようやく最高地点に到着。ケルンが積んであるので、すぐにわかりました。周囲を見渡してもここが一番高い場所のようです。登山口からここまで合計4時間20分ほど。ああ、長かったという実感ですが、それだけに達成感も半端なかったのです。
登録有形文化財 松之山温泉凌雲閣
下山後に向かったのは車で1時間ほど、十日町市にある松之山温泉凌雲閣(りょううんかく)です。松之山温泉は有馬温泉、草津温泉とともに温泉療養の効果があるとされる「日本三大薬湯」と称されているのです。
(C)Masato Abe
実は凌雲閣には以前から何度もお世話になっています。風情のある3階建ての建物や客室も魅力ですが、周囲の木立や棚田は新潟らしい田園風景で、夏休みに田舎の親戚の家に遊びに来たようで、とても落ち着くのです。
(C)Masato Abe
本館は昭和13年(1938年)に建てられた木造3階建ての建物で、平成17年(2005年)に登録有形文化財に指定されました。玄関から廊下、そして客室などすべてに渡って懐かしい昭和の雰囲気。
古いとはいえ、すみずみまで掃除が行き届いていて、とても清潔感があります。
(C)凌雲閣
また内装にこだわりがあるのだそうです。最初に建物を建てる時に、初代のご主人が群馬県から何人もの宮大工さんを呼び寄せたといいます。そして一人一部屋ずつ、それぞれに趣向を凝らした造りを依頼し、各宮大工さんの創意工夫が施されているというのです。
(C)凌雲閣
一見したところは昭和の趣としか感じませんが、ほかの部屋も含めて気を付けて見まわしてみると、それぞれ細かい内装が施されていることに感心するのです。
(C)凌雲閣
新館には洋室と和室があるそうです。旧館の部屋はトイレが共同ですが、新館の部屋はトイレ付きになりました。
(C)Masato Abe
新館のサンデッキからは田園風景が見渡せます。のんびりする風景で、ここからの眺めがとても気に入っています。
(C)凌雲閣
さて温泉です。松之山温泉は近くに火山もない山間地にあるにもかかわらず、塩分濃度、泉温ともに高い温泉です。泉質はナトリウム塩化物泉で薄緑色、塩分濃度も高く濃厚なお湯は、ただものではない印象なのです。
というのも1200万年前の海水が地殻変動で地中へ閉じ込められ、深い地中にあるマグマによって温められた「ジオプレッシャー型温泉」と呼ばれる日本では珍しい温泉なのだそうです。そんなことを想像しながら温泉に浸かっていると太古の海水を浴びているような気分になります。
(C)Masato Abe
上の写真は家族風呂。こちらの浴槽は100%源泉かけ流しだそうです。空いていれば無料で入浴できます。2~3人でちょうどいいくらい。
ちなみに本当に体が温まり、冬場はポッカポカ。夏場はお風呂から上がった後も汗がずっと引きません。
(C)Masato Abe
夕食は田舎のごちそう。方言では「ごっつお」。山菜に野菜、お魚にお肉、品数もたくさんあって量もたっぷりです。きのこ・山菜採りの名人でもある料理長が、旬の食材を使って作ったこだわりの料理。個人的にシンプルな野菜料理と山菜料理が大好きなのです。