86階からの絶景と味わう最高級の台湾グルメ
台北101の86階に位置する「饗 A Joy」からの眺めは、まさに絶景。
席により街並みや山々など景色が異なり、夕日、夜景も美しいので、ランチでもディナーでもそれぞれの時間帯であらゆる台北の表情を楽しめます。
「饗 A Joy」で絶対に外せない10品
さまざまな特色を持つ「饗 A Joy」ですが、まずは気になる食事をチェック。レストラン自慢のメニューから、絶対に外せない10品を厳選してご紹介します。
一鴨三吃(北京ダック 3種のメニュー)
塩を加えて一晩寝かせ、砂糖と赤酢を塗って高温で焼きあげた北京ダック。ビュッフェカウンターでフランベの様子を見ることができます。
「饗 A Joy」では贅沢にも3種類の北京ダック料理がラインアップ。まずはシンプルにそのまま味わって。
「火焰片皮鴨捲(ダック春巻き)」は、葱を使用した手作りの皮でレタス、きゅうり、葱と一緒に巻かれています。中華料理の調味料である甘麺醤(テンメンジャン)を炒めることで、香り豊かなソースに仕上げたそう。
「火焰鴨皮握油飯(ダック握り)」は、葱油で風味を加えた餅米に、パリパリの皮をのせたもの。
食感が異なる3種の北京ダックはすべて試す価値あり。ガツンと主張してきそうなメニューですが、素材を生かすシェフのテクニックでどこかやさしい味わいでした。
松露・蟹黃小籠湯包(トリュフ・蟹味噌入り小籠包)
2種類のトリュフで香り高く仕上げた「トリュフ小籠包(左)」と、蟹の身と味噌を炒め、豚肉とともに包んだ「蟹味噌入り小籠包(右)」。外せない10品のなかでも、とくに筆者のイチオシです。
薄い皮とジューシーな餡、そして細かなヒダが繊細で、ひと口で頬張ればたちまち染み渡る肉汁にうっとり。ゴージャスな食材が主張しつつも、いくつでも食べられそうなほど軽やかでした。
小籠包や香港点心の手作りの様子も見ることができます。小籠包は食感のためにヒダは21折で統一するこだわりも。
ちなみに小籠包で有名な「鼎泰豊」は18折で、「(決して数字が多いほうがよいわけではないが)21折は台湾内でも最高数に近いはず」とシェフが話していました。
姿燒抱卵香魚(子持ちアユの塩焼き)
大人気の「子持ちアユの塩焼き」も目を引く逸品。
日本人にとって珍しいメニューではありませんが、なかなか食べる機会がないという人も多いのでは。塩気があるのでお酒のアテにもおすすめです。
酥皮花膠佛跳牆(サクサクパイと魚の浮き袋入り仏跳牆)
「仏跳牆(ぶっちょうしょう)」とは、修行僧が塀を飛び越えてしまうほどおいしいと言われているスープです。
「饗 A Joy」では、そんな仏跳牆をアレンジ。サクサクのパイで作られた蓋をのせて、つい手が伸びてしまうビジュアルに仕上げています。ナイフでパイをカットしてみると……
澄んだスープには高級食材が。魚の浮き袋や鮑も入っていました。たくさんの食材から出た複雑な出汁によって深みのある味わいなのに、美しくまとまっていて、すっきり端正でもあります。
麻油雞炊米糕(胡麻油と鶏肉の蒸しもち米ご飯)*冬季限定
4種類の米を使い、ごま油で煮込んだ逸品。消化をよくするため、2種類の餅米に加えて玄米と赤米も加えたのがシェフのこだわりだそう。
現沖台和牛肉湯(台湾和牛の煮込みスープ)
台湾の「温体牛」と和牛を使った、ぜいたくな煮込みスープ。
豚骨、牛肉、大量の野菜を8時間以上煮込むことで、食材から出たうま味をしっかり感じられます。ネギの名産地、宜蘭地方で採れた「三星葱」をのせて。
炆燒龍虎斑佐鳳眼果(ハタの煮込み 鳳眼果添え)*冬季限定
台湾の高級魚であるハタを煮込んだ逸品。注目したいのは、横に添えられた丸い身「鳳眼果」。日本名で「ピンポンノキ」として知られる栗のようなもので、3層にもなる皮の下処理が難しいのだとか。手間ひまかけて調理された珍しい食材をぜひ味わってみてください。
晶凍開水白菜、香椒豬腳凍佐皇帝豆、鹹豆漿蝦泥凍(3種のジュレ)
台湾料理だけでなく、洋食のバラエティも豊富です。「饗 A Joy」の洋食シェフは、すでにある料理の食材を分解して再構築するスタイルを得意としており個性的なオリジナル料理がたくさん並んでいました。
左:「晶凍開水白菜(白菜のクリスタルジュレ)」
四川料理「開水白菜」の食材を使った創作メニュー。イベリコ豚を煮込んだスープで作ったジュレに、乾燥ホタテや白菜、ハムをのせたスタイルで、開水白菜をリデザイン。漬物のようなシャキシャキ感を楽しんで。
右:「鹹豆漿蝦泥凍(塩豆乳とエビのジュレ)」
台湾で日常的な朝食として食べられる鹹豆漿(シエントウチャン)をモデルにした逸品。日本では「塩豆乳」とも呼ばれ、豆乳、小海老、大根干し、揚げパン、ラー油、酢などで作られるのが一般的ですが、これらの食材を使用して新たな洋食メニューに昇華させています。少し酸味があり、つるんと食べやすい冷菜です。
上:香椒豬腳凍佐皇帝豆(豚足のピリ辛ジュレ 皇帝豆添え) *冬季限定
通常ならオリーブやパセリを加えることの多いフレンチメニュー「豚足のジュレ」を、青唐辛子の漬物やパクチーを使ってローカライズさせたメニュー。台湾で冬季によく食べられる皇帝豆で作ったペーストがソースとして添えられています。
鱔魚義麵佐百年醋晶球(アナゴのパスタ 百年お酢のジュレ添え)
台湾の麺料理をモデルに、イタリアのブカティーニ(中心に穴のあるパスタ麺)で洋食メニューにアレンジされたアナゴのパスタ。砂糖、葱、ワインを炒めたソースに、まるでイクラのような酢ボールが特徴的です。
主廚精燉牛肉麵(牛肉麺)
台湾を代表するソウルフードのひとつ「牛肉麺」も発見。スパイスがほどよく、麺の柔らかさが絶妙で癖になる一品でした。「饗 A Joy」では各料理を少量ずつ楽しめるので、未経験の台湾料理があれば積極的にトライしてみてくださいね。
ライターおすすめのメニュー
まだまだおすすめのメニューが盛りだくさん。ライターがピックアップした注目のコーナーをご紹介します。
新鮮なシーフード
「饗 A Joy」はとにかくシーフードが大充実。新鮮な海の幸がずらりと並ぶ姿は圧巻で、目移りしてしまいます。
牡蠣、北海道産ホタテ、伊勢海老、タラバガニ、鮑など、高級食材も飽きるまで味わえます。
なかでも日本から訪れる観光客におすすめしたいのが、台湾で採れた旬の刺身です。
筆者がいただいた4種はどれも台湾の食材で、日本国内ではなかなか出会えない珍しい魚もそろっていました(一部は沖縄周辺で見られるそうです)。つい刺身や寿司ゾーンはスキップしてしまいそうになりますが、台湾特有の食材もあるのでお見逃しなく。
主役級のスイーツ
魅力的なメニューが多すぎて、つい満腹まで食事を進めてしまいそうになりますが、どうかスイーツを楽しむ余裕はキープしてほしいのです。
たとえば、アイスクリームコーナーでは、パッションフルーツ、タロイモ、ピーナッツなどの地元の食材をつかったアイスが味わえます。
手作りのオリジナルチョコレートは、台湾の食材を組み合わせた珍しいフレーバーが勢揃い。おすすめは香りが抜群によい「ウーロン茶」と、フルーティーな「パイナップルウイスキー(水分たっぷりなので、ひとくちで食べるのがおすすめ)」。
一見ハードルが高そうな「フライドエシャロット」は、さっくりとした食感がグッド。チャレンジャーは「パクチー」なんていかが?
台北101を模った「女王蜂龍眼蜜雞蛋糕(竜眼蜂蜜入りベビーカステラ)」は、モチモチでしっとりしたベビーカステラのようなスイーツ。やさしい蜂蜜風味です。
もち米で作った真っ赤な生地に小豆餡を詰めてカメに似た形にする台湾の伝統菓子「貝比紅龜粿(ミニ紅亀ケーキ)」も並んでいます。従来のサイズ感よりかなり小さくアレンジされているので、観光客でもチャレンジしやすいですね。パイナップルケーキや龍の髭もありました。
そして目玉は、注文してから目の前で作ってもらえるプレートデザート。2つのスイーツ店とコラボレーションして開発されたオリジナルメニューです。フランス菓子店「法朋 Le Ruban Pâtisserie」とコラボレーションした「嫣紅」は、グァバムースにロマージュブランアイスクリーム添えた甘酸っぱいひと皿。薔薇の花びらシロップを加えることで、華やかな香りがただよいます。
ジェラート専門店「Double V」とコラボレーションした「蜂蜜檸檬愛玉」は酸っぱくて爽やかな蜂蜜レモンスイーツ。食事のいちばん最後にスッキリ整えてくれそうな清涼感です。
大人気のアルコールと、世界一のコーヒー
ビュッフェとはいえ侮れないのがドリンクのコーナーです。食事とは独立したエリアを設け、プロのバーテンダーが注文ごとにカクテルを作ってくれます。
フルーティーなカクテルが好きな人は、爽やかな「「日光莫希多(パイナップル×マーガオ)(左から1番目)」か「碧綠之根(台湾バジル×グァバ×梅パウダー)(左から3番目)」がおすすめ。
エキゾチックなカクテルに挑戦したい人は、ピンクペッパーのアクセントが効いた「夏露南風(ピーナッツ×パッションフルーツ)(左から2番目)」か、台湾コーラを使ったアジアンテイストな「「島嶼冰茶(タイワニーズロングアイランドティー)(左から4番目)」にトライしてみてほしいです。
また、賞味期限がたった18日間ということで知られる台湾の生ビール「18 Days」は現地で大人気のビール。同店ではその日に造られたものが工場から直送され、できあがって24時間以内のすっきりしたフレッシュさを味わえるのは台湾で同店だけ。必ずチェックしたい一杯です。
食後のスイーツタイムには、同店が人気カフェ「Simple Kaffa」とコラボレーションしたカフェのコーヒーを味わって。「Simple Kaffa」は世界チャンピオンに輝いた経歴を持つバリスタが手がけたカフェで、同ビル88階にも入店しており、こちらを目的に台北101を訪れる人もいるようです。そんなカフェのコーヒーを同店で飲み放題で味わえるなんて贅沢ですよね。
台湾の芸術や文化も感じられる
五感を刺激するさまざまな仕掛けや空間デザインも秀逸です。店に到着し、暗いエントランスを抜けると、山をイメージしたロビーエリアへ。
植物を多用した空間はとてもフォトジェニック。「饗 A Joy」は東南西北をぐるりと一周できるつくりになっていて、それぞれが「山」「海」「原」「城」のテーマに沿ってデザインされています。
複数名のアーティストが携わった空間はセクションごとにムードが異なり、飾られている多彩な作品がゲストを包み込みます。たとえばこちらの「海」のエリアでは、青を基調としたインテリアが涼しげです。
「原」のエリアは瓦や陶磁器を多用し、光や炎をモチーフにした重厚感のあるデザインに。食事も焼き物や揚げ物が多く並んでいます。
こちらは近未来感がただよう「城」エリア。毎日定時に天井のアートがBGMに合わせて動くパフォーマンスも行われます。光や音の演出で五感を刺激される体験には、まるでテーマパークにいるかのような高揚感を感じました。
なぜ「饗 A Joy」が愛されるのか
実際に訪れた人々からは「値段に匹敵する価値がある」「申し分ないサービス」「これまでで最も素晴らしいビュッフェ」という声があがっていて、満足度の高い食体験には定評があるようです。
筆者が訪れた取材時は平日のランチタイムで満席状態。予約制にもかかわらず、入店を待ちわびるゲストでオープン前から受付には行列ができていました。
ランチ3,280台湾ドル、ディナー3,880台湾ドル(それぞれ15,766円、18,650円 *2024年12月時点)とビュッフェとしてはかなり高額でありながら、なぜここまで多くの人を惹きつけるのでしょうか。
ひとつは間違いなく食材や料理のクオリティでしょう。今回、複数のシェフにインタビューをしたところ、なぜその食材を使い、そのように料理をデザインしたのか、全員が並々ならぬこだわりを持っていることが伝わってきました。一流の食材を用いて熟考された食事を味わえるのが「饗 A Joy」の特徴です。
また、クラフツマンシップも人々を惹きつけるポイントです。「饗 A Joy」では、さまざまな職人による調理が目の前でおこなわれ、できたての料理を直接受け取ります。
技術の魅せ方は言わずもがな、通常のビュッフェでは身近に感じることのできない「作り手」の存在によって一品ずつに「あたたかさ」が生まれ、満足感に繋がっているのではないかと思いました。
台湾の豊かな食文化と、技が光る彩りに満ちた逸品を、まるごと味わえる「饗 A Joy」。台湾ビギナーにもリピーターにもおすすめしたい「究極のビュッフェ」です。
110 台湾 Taipei City, Xinyi District, Section 5, Xinyi Rd, 7號86樓
(台北101ショッピングセンター内)
ウェブサイト:https://www.ajoy.com.tw/en-global
海外からの予約:https://www.klook.com/ja/activity/115483-a-joy/
©︎Yukika Sonoda