
正式名称は東京大学大学院理学系研究科付属植物園

小石川植物園の正式名称は東京大学大学院理学系研究科付属植物園といいます。東大の付属施設のひとつで、植物についての研究を行う施設です。とはいえ研究施設でありながら、国の名勝および史跡にも指定されています。正門で入場料500円を支払い、門をくぐります。訪ねたのは去年の4月初めでしたが、今年の開花はずっと早そうですね。

正門を入ってすぐ登り坂となりますが、少し歩いた左手にソテツの木があり、その脇に桜の木があります。下の写真は正門を通り過ぎ、振り返って上から見たところで、右手にソメイヨシノの古木があります。これが最古級の染井吉野だといわれています。

日本で最も古い染井吉野といえば、弘前公園で明治15(1882)年に植えられた染井吉野とも、また福島県郡山市の開成山公園の染井吉野は明治11(1878)年に植えられた可能性があるともいわれているそうです。とはいえ江戸時代末期に江戸郊外の染井村(現在の豊島区駒込)で誕生した染井吉野は明治の初めに全国に広がり始めました。

その染井吉野1本がここにも植えられて、いまも淡い薄紅色の花びらを見せてくれます。明治8(1875)年、文部省教育博物館附属小石川植物園となった時、園丁長の内山富次郎らが染井村から苗木を担いで運んで植えたという記録も残されているそうです。

たしかな事実としては明治30(1897)年、小石川植物園の初代園長となった松村任三東京帝大教授が染井吉野の学名PrunusyedoensisMatum.の名付け親なのです。そして松村教授はここで染井吉野の観察をしていたはずです。

ハッキリした年代は分からないようですが、もしその当時のものだとすれば少なくとも樹齢120年以上と考えられます。最古かどうかはともかく、染井吉野としては最古級といえます。
美しく大きな染井吉野の古木が並ぶ

染井吉野の古木を通り過ぎると、平らな広場に出ます。園内は広々。161,588m2といいますから東京ドームの3.5個分、日比谷公園と同じくらいの広さです。20番通りと呼ばれるここにも大きな染井吉野の古木がずらっと並んでいます。

植物園の芝に覆われたふかふかの土で健康的に育った染井吉野。花の輝きも艶めいて、アスファルトの道路に植えられたものとはどこか違うように見えます。

ここはもともと江戸幕府によって作られた「小石川御薬園」が始まりです。医療に使う薬草を栽培して研究する施設でした。

そのなかに「小石川養生所」と呼ばれる医療施設も建てられました。山本周五郎の小説「赤ひげ診療譚」、そして黒澤明監督の名作「赤ひげ」の舞台となった場所です。その養生所で使われていた井戸がいまも残されています。関東大震災の時はこの井戸水のおかげでたくさんの避難者が救われたとか。

園内は染井吉野だけでなく、多様な桜が植えられています。またたくさんの花々や樹木など、ありとあらゆる植物や薬草が植えられている印象です。実際は4000種の植物といい、下の写真の、ニュートンが万有引力に気づいたあのリンゴの木のおすそ分けもあります。

千鳥ヶ淵や靖国神社などは花見に季節になると大勢の観光客でにぎわいますが、ここは地元の方々の憩いの公園になっているようです。

近所に住む子どもたちでしょうか、家族連れや友だちと連れ立って昼食を楽しんでいました。ここではお酒は厳禁ですが、ささやかな売店もあり、芝生で飲食を楽しむことはできるのです。
桜の名所 播磨坂桜並木も目の前

さて、この近くに花見の名所がもうひとつあります。小石川植物園を出てすぐの播磨坂桜並木。江戸時代、この辺りに松平播磨守の上屋敷であったことから、坂の名が付けられたそうです。

500mの坂道には染井吉野を中心に戦後まもなく桜が植えられ、春になると120本の桜を見ようと観光客でにぎわい、周囲にはおしゃれなお店も並んでいます。
お腹がすいたら オススメのお店

ちょっとお腹が空いてきましたね。おやつに何か食べたいときには植物園の近くにある和菓子屋、岡埜栄泉本店の豆大福はいかがでしょう。住所は文京区小石川1-24-4です。

虎の門の岡埜栄泉と同じような上品な甘さで、美味しく頂けます。現在は建て替え中のようで、隣の仮店舗で営業していました。

さあランチを頂きます。播磨坂を上り切ったところにあるキノーズマンハッタンニューヨークでサンドイッチ。

デリバリーやテイクアウトのお店ですが店内に椅子席もあり、ニューヨークスタイルのボリュームたっぷりのサンドイッチを頂くことができます。
美しく咲く染井吉野とおいしいサンドイッチで、心もお腹も大満足するに違いありません。
[All Photos by Masato Abe]

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Masato Abe 還暦特派員
大学を卒業後、およそ30年間テレビ番組を作ってきました。57歳の時に、主夫となり、かつ自由人として旅に生きることを決意して早期定年退職。登山を始め、東京の街歩きガイドや温泉めぐり、豆大福探訪などなど60歳の還暦を迎えて好奇心が高まっています。
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